表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
南進

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

284/653

開港

春日虎綱「私が殿に献上するのはあくまで東濃の土地で育った産出物であります。それにつきましては私が手を付けることはありません。全て殿に献上いたします。その代わりに認めていただきたいものがございます。」

私(村上義清)「『ヒトとモノの流れに関する利権は譲らない。』と言う事だな。」

春日虎綱「はい。現状私は奥三河と信濃の南部を管轄しています。土地はありますし、資源に乏しい場所でもありません。しかし当地は大きな問題を抱えています。それが何か殿もご存知のことと思われます。」

私(村上義清)「(信濃南部から兌換することの出来る京へ持って行くのにあたり)最も効率的に運ぶことが出来る(東三河の)御津と(遠江の)掛塚湊が今川領だからな……。」

春日虎綱「以前はそれでも問題ありませんでした。(今川と)盟約を結んではいませんでしたが、敵対していたわけではありませんでした。普通に行き来することが出来ていました。しかし今はそうではありません。我らが進出した奥三河は今川の影響下にあったことに加え、今川と袂を分かった松平家康との関係を強化したことにより、2つの港を経由しての物資の行き来は出来なくなっています。(家康が治める)西三河にも港はありますが、そこへ運ぶためには一度陸揚げしなければなりません。加えてそこは、つい先日まで一向宗と対立していた場所でもあります。家康もまだ自由に使うことが出来ておりません。」

私(村上義清)「新たな道のりを開拓しなければならない状況に迫られている。と言う事だな。」

春日虎綱「はい。そこへ降って湧いた岩村城からの救援要請。これを活かすことは出来ないか?と思案しておりました。」

私(村上義清)「それで信長を(武節城に)引き寄せる方策を練ったと言うかな?」

春日虎綱「左様に御座います。」

私(村上義清)「それで信長と交渉して、俺の承認を待っている状況にある?」

春日虎綱「はい。」

私(村上義清)「申してみよ。」

春日虎綱「はい。『木曾及び東濃から産出されたものの全てを尾張経由で出荷したいと考えています。それにあたり尾張の港の1つであります津島を利用させていただきたい。』と申し入れをしました。」

私(村上義清)「信長の反応は?」

春日虎綱「損になる取引ではありませんので。」

私(村上義清)「奥三河と南信濃の物資はどうする?」

春日虎綱「家康が今後どのようになっていくのかによります。場合によっては我らが今川領の切り取りを目指す可能性もありますので、これにつきましては玉虫色。臨機応変に対処していきたいと考えています。」

私(村上義清)「その荷役の仕事に遠山のものを使いたい?」

春日虎綱「はい。利益が生まれれば殿に献上することも出来るようになるかと思われます。」

私(村上義清)「わかった。ところで。」

春日虎綱「何でしょうか?」

私(村上義清)「尾張の港には熱田もあると思うのだが、そこは拒絶されたのか?」

春日虎綱「いえ。こちらから提案したのは津島だけであります。」

私(村上義清)「なぜ津島だけにしたのだ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ