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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
南進

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戦闘停止

 首尾よく織田信長の確保に成功した春日虎綱。しかし当時は今と異なり通信手段が未発達な時代。即座に連絡を取ることは出来ません。そこで……。


春日虎綱「(三番手の)国清様の眼前に生死にかかわらず信長の姿を確認することが出来なかった時、もしくは信長が岩村城の織田家臣の部隊への合流を目指していない。合流していなかった場合、間違いなく信長は撤退していると判断してください。」

私(村上義清)「もし信長が残っていたらどうする?」

春日虎綱「その時は決着をつけるだけのことであります。」

私(村上義清)「で。居なかった時はどうする?」

春日虎綱「まず相手の戦意を喪失させることが第一であります。ただ織田の戦い方は良くも悪くも信長次第であります。信長が乗り込んだところに集まった兵を用いて相手の攻略を目指すものであります。その信長が居なければ織田方は機能不全に陥ります。その状況に陥っても立ち向かって来るもののみを叩いてください。それだけで結構であります。」


 これを受けて深志城。


真田幸隆「『戦意を失ったものを追い込むことは、不測の事態を招くことになる恐れがありますので停戦を目指したほうが良い。』と虎綱が申しているのでありますか……。それでしたらその役目を国清様(岩村城周辺の織田家臣)と四郎(明知城ほかに駐屯する織田家臣)に担っていただきましょう。」

私(村上義清)「信綱も加えるか?」

真田幸隆「不調に終わった場合の備えとして残しておきましょう。」


 いくさ前の武節城。


春日虎綱「信長の家臣に伝えていただきたい項目は……。」


1、信長は無事であり、今武節城に居ること。

2、そこには(織田方の)水野信元も居ること。

3、(織田信長と同盟を結んでいる)松平家康にも話が通じており、尾張へ安全に戻ることが出来る段取りが付いていること。

4、ただその条件として美濃に居る織田家臣の全てが武装を解除し、停戦に合意する必要があること。

5、停戦に合意した全ての織田家臣を村上国清と高遠勝頼が責任を持って尾張に送り届けることを約束。

6、合意出来ない場合は村上義清自らが成敗に乗り出します。


 これを受けて深志城。


真田幸隆「殿が得意とする元の姿に戻す作業に乗り出すことが出来るわけでありますね。」

村上義清「(俺がやったことは一度としてないぞ。)どちらかと言えば(幸隆の長男)信綱のほうが得意だとおもうのだが。」

真田幸隆「次代を担うものにそのような汚れ仕事を擦り付けてはなりませぬ。」

村上義清「(『汚れ仕事』と言う自覚はあるのね……。)その後の虎綱の言ったことがふるっていてさ……。」

真田幸隆「何て言っていますか?」


 いくさ前の武節城。


春日虎綱「1から5までの項目が完了しましたら、殿自ら武節城へ報告にあがって下さい。信長共々お待ち申し上げております。」


 君主改めパシリ。

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