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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
南進

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10年後の信長

真田幸隆「しかし珍しいですな。」

私(村上義清)「何がだ?」

真田幸隆「殿自らがいくさを仕掛けることでありますよ。」

私(村上義清)「そうだな。大抵お前らに引きずり込まれる形だからな。」


私(村上義清)「(幸隆が言っていたように、私の残された命を計算しなければならない時期に入ったのかもしれない。史実では、私も幸隆も1574年までの命。まだ10年以上の時間があるとも言えるが、10年しかないとも言える。当面の障害であった武田晴信はもうこの世に存在しない。現状、周辺勢力で信濃に攻め込むことの出来る勢力はない。その唯一の存在とも言える上杉輝虎とは同盟関係にある。今後成長が見込まれ、のちに天下を獲った松平家康との関係も虎綱の機転により良好なものとなった。あとは織田信長。彼についていけば信濃は安泰となる。私が生きている間に限った話ではあるが……。)」


私(村上義清)「(問題は私が亡くなったあとどうなるか?幸隆が亡くなったあとどうなるか?信長と敵対した美濃の斎藤に越前の朝倉並びに北近江の浅井は滅び、更には今は僧籍にあるのちの15代将軍足利義昭は京から追放されている。かろうじて一向宗が頑張ってはいるのだが、信長の戦力が集中して来たらひとたまりもない。畿内で信長と覇を争うことの出来る勢力は既に居ない。そうなるとどうなるか?朝廷を支えるのは信長しかいない。信長しかいないと言うことは京から発信される公式文書の全てを信長が握ることになる。信長の意見がそのまま反映されることになる。)」


私(村上義清)「(そして厄介なことに、信長は更なる勢力の拡大に乗り出すことになる。遠い大陸の地まで。大陸の地までを想定しているのだから当然ここ信濃にも矛先が及ぶことになる。そして実際にそうなった。そのため四郎(武田勝頼)は『朝敵』の汚名を被せられ天目山で散ることになってしまった。国清や幸隆の子供たち。四郎や虎綱に残された選択肢は信長に従うか。抵抗を試みるも物量作戦に屈し滅亡するかの2つに1つ。)」


私(村上義清)「(しかし信長はまだいい。従いさえすれば基本権益を認めてくれる。ただし独立した勢力としてではない。信長から送り込まれた家臣の傘下に収まる形ではある。結果、国清が今の権益の全てを担うことは出来なくなる。とは言え国清も幸隆の子供たちも四郎も虎綱も織田信長の一家臣として、それなりの所領を以て生き残ることが出来る。ただ問題なのは、その信長も家臣に暗殺されてしまうことにある。)」

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