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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
南進

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余命

 織田信長とのいくさを密かに決意する村上義清。それを見透かしたかのように……。


真田幸隆「殿!義康から聞きましたよ。信長といくさをするって。」

私(村上義清)「お前のところも訪ねたのか?」

真田幸隆「そりゃそうでしょう。殿に何の力も権限も無いことは皆知っていますから。」

私(村上義清)「……まぁそうだけど、ところで俺の役割って何?」

真田幸隆「何かあった時に差し出す首以外御座いますか?」

私(村上義清)「……わかったよ。ただ虎綱が三河の仕置きに忙殺されておるし、そなたはそなたで東側を見てもらっておる。そこに来ての義康からの依頼。応えなければならぬことはわかっているだろう。」

真田幸隆「確かに。しかし殿。」

私(村上義清)「どうした?」

真田幸隆「いくさに敗れてしまいましたら元も子もありませぬぞ。」

私(村上義清)「俺が行ったら負けると?」

真田幸隆「殿の力でありましたら、個々のいくさでは勝てるかもしれません。しかし殿の実績を見てみますと勝つには勝った。勢力圏も拡げることが出来た。でも殿が戻った瞬間。頭を下げたはずの国人が皆寝返ってしまう。これを繰り返した来たように思われます。」


 先代の村上義清の話。


私(村上義清)「ならお前が信長とのいくさを担当して、その間俺が東側の面倒を見るのか?」

真田幸隆「いやそれは止めましょう。甲斐や上野の衆を不安にさせるだけでありますので。」

私(村上義清)「どう言う意味?」

真田幸隆「今回のように『時機が来た!!』とばかりに上野に向け兵を動かすことが目に見えておりますので。」

私(村上義清)「じゃあ俺が信長と戦うしかないだろう。」

真田幸隆「そうですね……。総大将は殿になりますでしょうか?」

私(村上義清)「何か考えでもあるのか?」

真田幸隆「殿。」

私(村上義清)「どうした?」

真田幸隆「殿は還暦を過ぎ、私も五十路を迎える歳になりました。共に健康に過ごすことは出来ておりますが、世間では寿命を迎えるものも多い齢に差し掛かってまいりました。」


 人間五十年の時代。


私(村上義清)「そうだな。」

真田幸隆「そろそろ代替わりを考えてもよい頃かと思われます。」

私(村上義清)「家督は国清に譲っておるが。」

真田幸隆「確かに。ただ国清様には特に対外に向けての名刺となる実績が不足しているかと思われます。国清様を危険な場所でいくさをさせてはいけないと思う親心。重々承知しております。しかしいづれ殿の寿命は尽きます。その時、対外勢力はどう考えるでしょう?」

私(村上義清)「侮って来ることが目に見えておるな。」

真田幸隆「はい。ただここ数年。私どもで国清様が実績を積むことになるような大きないくさはありませんでした。」

私(村上義清)「その絶好の機会が訪れたってことか?」

真田幸隆「そうです。」

私(村上義清)「なら総大将は国清に……。」

真田幸隆「いえ。それはなりませぬ。」

私(村上義清)「どうしてだ?」

真田幸隆「そうしてしまいますと、もし何かあった時差し出さなければならない首が国清様になってしまいますので。」

私(村上義清)「(……そう言うことね……。)」

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