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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
南進

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仕事

私(村上義清)「本願寺との繋がりが出来れば大きな富を生み出す可能性があるのに加え、そこから軍事費を捻出する必要も無くなる。」

春日虎綱「勿論実働するのはこちらでありますので、全て空誓のものになるわけではありません。」

私(村上義清)「ただ働かなくてもお金だけが入って来るとなると……。」


 騙されて散在してしまい、身上を潰してしまうのは良くある話。


春日虎綱「そうなりますと土倉を選択することも可能ではありますが、出来ることでありましたら領内でのお金の貸し借りはやめていただきたいものであります。」


 当時の金利は年5割から7割。


私(村上義清)「かと言って『よそに融資して借金を返さなかったから、出来上がったものはうちのものね。』となった時、それを行使するのはうちだからな……。空誓からの上がりの内、ある一定程度はこちらのものにする。ただそのお金の全ては領内で使う。それも空誓を慕って集まって来た者たちが働いた対価として。で。彼らの仕事をどうするか……。」

真田幸隆「虎綱。」

春日虎綱「どうされましたか?」

真田幸隆「本證寺はどのような場所にあった?」

春日虎綱「矢作川(今の矢作古川)の流れが西から南に変わるところにあります。」

真田幸隆「寺の防御態勢はどうなっていた?」

春日虎綱「先程述べましたように寺の南東方面は川に守られています。他方につきましては……湿地を利用しながら川から水を引き入れ、水壕で囲むことにより強化されていました。」

真田幸隆「その中の乾いた場所に寺が築かれていた?」

春日虎綱「そうなります。あそこに籠られましたら相当厄介なことになっていたと思われます。」


 一向宗の寺は湿地帯や川の合流地点を利用して建立されたものが多い。なぜそんなところに建てたのか?理由の1つが荷物の積み下ろしに便利であったこと。もう一つの理由が外の敵から守るため。ただそれを実現させるために必要となって来るのが……。


春日虎綱「ただ(一向宗と)同じことをうちが出来るとは思えませぬ。」

真田幸隆「うちには無い高度な土木技術を彼らは持っている。と……。」

春日虎綱「はい。」

真田幸隆「殿。」

私(村上義清)「どうした?」

真田幸隆「空誓を慕い集まって来た者の中で剛の者。並びに土木に長けた者を私に預けていただけないでしょうか?」

私(村上義清)「千曲川に手を加えるのか?」

真田幸隆「いえ。一瞬頭を過ったことは否定しませぬが、それを行うのでしたら土倉をやったほうが良いと思います。」

私(村上義清)「となると城の改修と港の整備に町作り……。」

真田幸隆「勿論有事の際、我らのために戦ってもらわなければなりませんので、その辺りの教育も施していこうと考えています。」

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