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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
南進

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住居

 武田との関係や家康の方針並びに家康の家臣の意を汲んで空誓の引き取りを決めた春日虎綱。そこで問題となるのが……。


私(村上義清)「どこに住居を構えてもらおうか?」

真田幸隆「いつもでしたら殿の本拠。今ですと深志になりますが、ただ空誓は精神世界の人物でもあります。深志のど真ん中に彼の住居。寺院を建立してしまいますと他の宗派が騒ぎ出してしまいます。」


 信濃の国は様々な国と境を接していることもあり、禅宗や浄土宗など様々な宗派が分布。


私(村上義清)「かと言って信濃の別の場所に。となると彼らが得意としているものと、うち(に従っている国人)の富の源泉とが衝突することになる。」

真田幸隆「衝突するだけならまだ良いのかもしれません。恐れなければいけないのは国人と一向宗が結び付くことであります。」

春日虎綱「平素。我々の経済は地場の品物を京に向け発送し、京からの物資を地場で捌くことにより成り立っています。ただそれよりも対本願寺を相手にしたほうが大きな利益を生み出す可能性があります。」

真田幸隆「うちのところぐらいか……。こちらで値段を決めることが出来る特産品を持っているのは。」

春日虎綱「絹など取り組んではおりますが、そうですね。まだまだでありますね。むしろ本願寺のお墨付きを得たいぐらいであります。」

私(村上義清)「しかしあまり色を付けたくは無いな。」

春日虎綱「はい。末代まで本願寺の認証が必要となりますので。それは避けなければなりません。とは言え、空誓が自活出来ないような境遇に追い込みたくはありません。今回は『うちに来ることによってこういう特典がありますよ。』を畿内に轟かせる良い機会でありますので。」

私(村上義清)「そうなると空誓がのびのび活動することが出来るところが良い?と言う事になるのか……。そうなると三河……。」

春日虎綱「ただ奥三河は避けたほうが宜しいかと思われます。あそこは曹洞宗の強い地域であります。」

私(村上義清)「彼らを再教育させる意味も込めて空誓を送り込もうか?」

春日虎綱「……管轄するの私なんですからそれだけは勘弁してください。」

真田幸隆「と言う事は足助を考えているのか?」

春日虎綱「空誓の得手を踏まえれば足助が最適な場所であると思います。ただ流石に足助になりますと家康を刺激し過ぎることになってしまいますし、一向宗から軍事力を奪う。必要のない状況にするためにも足助はこちらで管理しますし、家康領での活動もこちらで行います。空誓はもう少し奥の菅田和に居を構えていただきまして、我らの支援並びに対本願寺をお願いする予定であります。」

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