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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
甲斐の虎

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最前線で活躍するのは定年間近の役員2人

私(村上義清)「城に誤算があったとは言え、山内上杉の援軍は3千。武田も対処をしなければ……。」

真田幸隆「籠城側が打って出ることは出来ない状況にありましたので、武田はある程度の兵を迎撃に向かわせることは可能であったと思われますが、相手はこれまでの信濃の国人とは異なり関東の戦乱を戦い抜いてきた者ども。武田晴信になってからは初めてとも言える同格ないし格上の相手。」

私(村上義清)「撃退することが出来れば戦功第一の栄誉に与ることが確定するのであるが、如何せん未知の相手。『ぜひとも私めが!!』とはなかなかならないだろうな。」

真田幸隆「『もし負けたら。』『討ち死にでもしようものなら。』の空気が晴信陣営に流れた事かと思われます。」

私(村上義清)「そんな嫌な仕事を晴信が頼むことの出来る相手となると……。」

真田幸隆「板垣信方と甘利虎泰の2人になります。」


 板垣信方と甘利虎泰は、武田信虎の追放並びに晴信の擁立に動いた中心人物で宿老。


私(村上義清)「信方はお前の元上司だよな。」

真田幸隆「はい。」


 その時、甘利虎泰は50歳。板垣信方は……。


私(村上義清)「59歳。還暦間近の爺さんを酷使するなよ。晴信……。」


 人間50年とうたわれた当時。今の感覚で言いますと後期高齢者と呼ばれても不思議ではない年齢。


真田幸隆「板垣も甘利も自分たちが晴信に当主になることをお願いした手前、断ることが出来ない弱さがあります。」

私(村上義清)「占領地である諏訪と佐久の統治に防衛。更には最も危険な先兵として彼らを使う指揮官としての任務……宿老がやるような仕事では無いよな。」

真田幸隆「本貫地でのんびりしながら、たまに甲府に出仕して書類を見ずに印鑑を押すだけでお金を貰ってもいい立場ですよね。」

私(村上義清)「『また俺たちかよ。』と言っていたのかな。」

真田幸隆「でも2人とも現場仕事が好きではありましたからね……。」

私(村上義清)「好きすぎて信虎を……。」

真田幸隆「はい。諏訪との戦いに敗れ、甲信国境に流れる境川で『もう二度と諏訪には手を出しません。』とわざわざ諏訪頼満が運んできた諏訪明神の前で誓わされた信虎の姿に板垣は幻滅したと言っていましたからね……。」

私(村上義清)「晴信がいくさを続ける理由の1つが……。」

真田幸隆「えぇ。外征をしなければ父信虎のように自分が追いやられることになることを晴信は知っていますので。」

私(村上義清)「……そんな理由で攻め込まれるこっちの身にもなってくれってんだよ。」

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