表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
越後の龍

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

206/653

落城

 上杉輝虎は北条氏康に攻められた松山城を救うべく、大雪の三國峠を越え上野に辿り着くも間に合わず陥落。


私(村上義清)「関白が急に居なくなったり、越中のことを思えば仕方がないことなんだけれども……。」

真田幸隆「ただ関東のものからすれば『輝虎は松山城を見捨てた。俺たちも同じ扱いをするかもしれない。』と判断することになります。」

私(村上義清)「氏康の狙いもそこにある?」

真田幸隆「はい。つい先日まで輝虎が忙殺されていました越中は勿論のこと。広い越後の国の中にも『輝虎が居ない時であるならば。』と思うものが出て来るやもしれません。ところで殿!」

私(村上義清)「なんだ?」

真田幸隆「うちはどうなさいますか?」

私(村上義清)「あいつの本拠地(春日山)から最も介入しやすい他国がうちだぞ。」

真田幸隆「ならば一度の勝利で彼の拠点を奪うことが出来ることになりまする。」

私(村上義清)「そのために必要な原資が何処から来ているかわかっているよね?」

真田幸隆「ならば尚更狙うべき場所とも言えまする。」

私(村上義清)「越後の広さを考えて見ろ?仮に一度や二度勝ったところで拠点を転々とされている内にこっちが干上がることになってしまうぞ。」

真田幸隆「それを聞いて安心しました。」

私(村上義清)「試していたのか?」

真田幸隆「いえ。」

私(村上義清)「もし越後を狙うと言っていたら?」

真田幸隆「それなら先に上野を抑えましょうとお伝えする予定でした。」

私(村上義清)「武蔵がほぼ氏康の手に渡ったとなると……。」

真田幸隆「北条は勿論のこと。北条と一緒に行動している武田が上野を狙うことになるのは必定であります。」

私(村上義清)「輝虎からすればそうはさせたくない?」

真田幸隆「そうなります。」

私(村上義清)「そのためには、北条と武田は勿論のこと。関東に居る上杉方北条方双方の勢力に輝虎の力を見せつけなければならない。」

真田幸隆「はい。ただ松山城は落ちてしまいました。松山城には既に北条の兵が入っていますので、そこを奪い返すには多大な犠牲を覚悟しなければなりません。」

私(村上義清)「それをやっても奪い返すことが出来るわけではない。」

真田幸隆「はい。仮に奪い返すことが出来たとしましても、落城前に籠っていた兵を見殺しにした事実を覆すことは出来ません。」

私(村上義清)「『自分の直轄地とするために、輝虎は落城するのを待っていたのではないのか?』と……。」

真田幸隆「はい。関東管領のやることではありません。」

私(村上義清)「厄介な仕事だな……。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ