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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
越後の龍

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長野業正の死

 上杉政虎不在の上野から便りが。


真田幸隆「殿。長野業正が亡くなりました。」

私(村上義清)「一番大事なこの時にか。」

真田幸隆「はい。」


 西上野の箕輪衆を束ね山内上杉家を支えるも、河越城の戦いに敗れた憲政を見限り北条家に降り、その後の上杉政虎の関東入りに呼応する形で上杉家に帰還を果たした長野業正でありましたが。


私(村上義清)「生き残るためとは言え憲政、氏康双方を裏切り。更には頼みの政虎が上野に常駐していないこの難しい局面で、絶対に居なくてはならない業正がこの世を去ってしまったのか。ところで後継者は?」

真田幸隆「(三男の)業盛が家督を継ぐことになりました。」

私(村上義清)「生前から既に決定事項として動いていたのか。」

真田幸隆「いえ。元服してまだ間もない17歳であります故。」

私(村上義清)「(嫡男の)吉業の死が響いてしまったか。」


 長野業正の嫡男吉業は河越城の戦いにおいて討ち死に。もし生きていれば三十路を迎えた年齢。


真田幸隆「そうですね。試運転を終え、一本立ちするのに丁度良い年齢でしたね。」

私(村上義清)「箕輪衆はどうしている。」

真田幸隆「こちらに問い合わせが来ています。」

私(村上義清)「と言うことは。」

真田幸隆「我らが動けばの状況にはあります。しかし。」

私(村上義清)「我々と政虎の関係を考えると動くわけにはいかない。」

真田幸隆「はい。餌に食いついた瞬間に北信濃が不安定なものになってしまいます。軍事面は勿論のこと。青苧の供給など物資の移動が遮断されることになってしまいます。ですから『今、接収に伺うことは出来ません。』と断りを入れることにしました。」

私(村上義清)「『当面は業盛を盛り立ててくれ。』と。」

真田幸隆「はい。」

私(村上義清)「ところで業正は業盛へどのような言葉を遺したのだ。」

真田幸隆「まとめますと『戦え!』であります。」

私(村上義清)「今の状況だとそうなるか。しかし闇雲に戦うわけでは無いだろう。どこと手を結んで誰を敵とするのかについては。」

真田幸隆「いえ。『敵対するもの全てと戦え。降伏してはならない。敗れたら潔く討ち死にせよ。』と伝えたそうであります。」

私(村上義清)「本当に!?」

真田幸隆「えぇ。」

私(村上義清)「今の不安定な状態を自分で作っておいて。」

真田幸隆「はい。」

私(村上義清)「それに対し業盛は。」

真田幸隆「仕方ないでしょう。それが遺言なんですから。」

私(村上義清)「それについて箕輪衆は。」

真田幸隆「ですから問い合わせが殺到しています。」

私(村上義清)「それに対するお前の答えは。」

真田幸隆「『うちと政虎の関係がありますので兵を出すことは出来ません。』」

私(村上義清)「もし出して欲しいのであれば。」

真田幸隆「『業盛をもう一度北条に降らせてください。そうすればうちも動きやすくなりますので。』」

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