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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
越後の龍

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一瞬で

 元々越中の守護は畠山氏。しかし他国同様守護は京に在中。実務は家臣の神保氏と椎名氏が担っていました。時代を経るにつれ、これも他国同様在国の家臣が台頭。特に神保氏の勢いは凄まじく、対処に困った守護の畠山氏は、隣国越後の長尾氏に支援を要請。景虎の祖父である長尾能景はこれを受諾し出兵。これに神保氏の専横を快く思っていなかった椎名氏も長尾氏側に加担。以来、神保氏と長尾氏。神保氏と椎名氏は敵対を続けて来たのでありました。そして……。


春日虎綱「神保が椎名の居城を……。」


 越中の一向宗と手を結んだ神保長職は椎名氏の本拠地松倉城を攻めたのでありました。窮状に陥った椎名康胤は長尾景虎に救援を依頼。これを受け景虎は3月26日に越中に出兵。そのわずか4日後……。


私(村上義清)「……長職が(拠点である)富山城を放棄した……。」

春日虎綱「早過ぎますね……。」

私(村上義清)「こんな奴といくさしたいか。」

春日虎綱「……そうですね。」


 富山城を得た景虎の勢いは止まらず、(長職が)逃れた増山城を攻囲。ここでも神保長職は抵抗らしい抵抗を見せることなく城を脱出。馬や武具を城に残したまま、五箇山方面へと逃亡。景虎は10日と掛からずに越中の神通川以東を獲得したのでありました。しかし……。


春日虎綱「景虎と神保長職が……和睦……?それも……。」


 神保長職は隣国能登の畠山氏に和睦の仲介を依頼。その結果……。


春日虎綱「いくさの前の状態のまま……なぜ?」

真田幸隆「景虎の中に『他国を統治する。』と言う考えが無いのかもしれぬ。」

春日虎綱「支援を依頼するほうとしては安心。」

私(村上義清)「ただ統治する気が無いわけであるから、いくさの場所となったところは……。」


 根絶やしすることも厭わない。


私(村上義清)「敵に回すのは……。」

春日虎綱「……ですね……。ただそうなりますと……。」

私(村上義清)「なんだ。申してみよ。」

春日虎綱「越後と接しています仁科と高梨……。」

私(村上義清)「それにここ(松本平の小笠原)についても……。」

春日虎綱「何か理由をつけて景虎に殿を狙わせようとすることも。」

私(村上義清)「十分にあり得る。ただ幸いにして誰も越後へ脱出しているわけでは無い。彼らの利権を損ねているわけでも無い。勢力を伸ばそうと考える危険性が残されてはいるが、うちと景虎の関係が良好であることを考えれば難しい。あとは……私と景虎を敵対させるよりも、両者が友好な関係を維持させているほうが得である(流通によるあがりを増やすことが出来る)ことを示し続けることが出来れば離反の危険性を薄めることが出来る。むしろ気にしなければならないのは……。」

春日虎綱「美濃尾張との関係が深い木曾。」

私(村上義清)「もしもの(木曾が離反する)時に備え、(木曾と隣接する)伊那高遠の基盤作り。頼んだぞ。」

春日虎綱「承知しました。」

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