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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
統一

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競争

 仁科盛能館。


「殿。通行料収入が……。」

仁科盛能「どうした。」

「それが……。通るものが皆。村上直属を示す札を持っておりまして、徴収することが出来ませぬ。」

仁科盛能「村上め……。謀りやがったな……。」


 少し前。


真田幸隆「(千国)街道と姫川を利用する商人と荷役に従事するもの全員を、殿の直属にする。と……。」

私(村上義清)「そう。」

真田幸隆「しかし呑みますかね。」

私(村上義清)「まず私の直属になるのだから、(家臣の)仁科が料金を支払わずに通る人と物の流れを妨害することは出来ない。勿論、通行料を払う必要は無い。」

真田幸隆「しかしそれでしたら、殿も得ることが出来ませぬが。」

私(村上義清)「そこで登録料。節季ごとの更新で良いと思う。年に2回。これを支払いさえすれば、あとは自由に人と物を無料で動かすことが出来る。見方によっては動かせば動かすほど支払った登録料を安くすることが出来る。」 

真田幸隆「でもそんなことをしますと仁科が怒りますよ。」

私(村上義清)「仁科が登録していないものから徴収することについて、こちらが干渉することはない。これまで通り。」

真田幸隆「しかし登録するものが増えれば、当然通行料収入が……。」

私(村上義清)「うん。それについては軌道に乗って来たところで……。」


 少しして……。


仁科盛能「登録料事業をこちらに譲る。と……。」

真田幸隆「はい。殿がそう申しておりました。ただ登録者情報はこちらが管理します。勿論、仁科様に隠すことはありません。共有します。そして……(登録料収入の内、村上義清が受け取る割合を提示する真田幸隆)。」

仁科盛能「これで宜しいのでありますか。」

真田幸隆「はい。『仁科様には、登録者の拡充並びに千国街道と姫川の更なる発展に務めていただきたい。』と殿が申しておりました。」

仁科盛能「それでありましたら……。」


 戻って……。


真田幸隆「仁科が喜んでおりました。」

私(村上義清)「こっちとしては面倒な人と物の管理を無くしながら収入源を確保することが第一なんで……。」

真田幸隆「盛能が認めれば、最も行き来が多い仁科のものも取り込むことが出来ますので、自動的に仁科領内を把握する助けにもなります……。そうですね……。うちで織っている麻織物も姫川経由に変更しましょうか……。」

私(村上義清)「……いや。それは今まで通り(村上義清の収入源の)千曲川を……。お願いします。」

真田幸隆「陸路を使って松本平まで持って行った方が安くなりそうですから……。」

私(村上義清)「……善処します。」

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