表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
統一

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

120/653

土地勘

 急ぎ塩尻峠へと部隊を動かす春日虎綱の旗印を確認した小笠原長時。春日虎綱が向かっている。と言うことは高遠頼継が敗れたことを意味している。頼継との挟み撃ちに最後の望みを託していた長時の本陣に動揺が走る。しかし目の前に居るのは村上義清だけ。その村上義清隊に動きは見られない。春日虎綱と合流するまでは兵を展開することは無いであろう。まだしばらく時間の猶予がある。背後は長時の本拠地である松本平。今回は敗れてしまったが、幸いにして自らの手勢に被害は少ない。再起を図ることは可能。全軍に『撤退』の指示を出す小笠原長時。これを受け退く準備を始めたその時……。


「放て!!」

の号令を合図に小笠原長時本陣の背後から一斉に銃撃が……。味方しかいるはずの無い松本平側から何故!?と困惑の表情を浮かべる長時の本陣。そこへ……。


私(村上義清)「保科殿。」

保科正俊「はい。」

私(村上義清)「そなたにお尋ねしたいことがある。」

保科正俊「なんでありましょうか。」

私(村上義清)「ここ塩尻峠の土地は……。」

保科正俊「(高遠もその一族である)諏訪の用事で行き来をしておりましたので、全く知らないわけではありません。」

私(村上義清)「それならば1つお願いしたいことがある。」

保科正俊「なんでありましょうか。」

私(村上義清)「今、我が隊の一部を小笠原長時の背後に回しておる。」

保科正俊「はい。」

私(村上義清)「これはあくまで長時を混乱させるための材料の1つとして考えておった。」

保科正俊「はい。」

私(村上義清)「ただ……これ(春日虎綱からの報告)を見て考えが変わった。もう少しすれば虎綱が姿を現し、こちらへと兵を動かす。そうなれば長時は撤退を選択する。」

保科正俊「そうなりますと背後に回った部隊が危険……。」

私(村上義清)「至急戻るよう指示を出そうかとも思ったのであるが……。」

保科正俊「はい。」

私(村上義清)「ここで1つ提案なのであるが。」

保科正俊「はい。」

私(村上義清)「此度のいくさにおいて、保科殿の部隊の活躍により頼継を討つことが出来た。これは大きな功績であることに間違いない。」

保科正俊「ありがたいお言葉。」

私(村上義清)「ただその中にあって、画竜点睛を欠くことがある。」

保科正俊「なんでありましょうか。」

私(村上義清)「そなたが手柄を立てる機会を用意することが出来ていないことである。」

保科正俊「それは勿体ないお言葉。」

私(村上義清)「そこでお願いなのでありますが……。」


 村上義清は本隊を更に分け、その一部を保科正俊に付け。既に小笠原長時の背後に回っている部隊との合流を指示。しばらく身を潜め、小笠原長時が撤退の動きを見せたところで……。


保科正俊「逆賊小笠原長時を討ち取るは今ぞ!!」


と小笠原長時本陣の背後に襲い掛かったのでありました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ