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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
統一

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役割

 春日虎綱が高遠勝頼に課した役割とは……。


私(村上義清)「頼継を殲滅することが出来れば理想ではあるが。」

保科正俊「はい。しかし突進する高遠頼継を真正面から。自分が得意としている用兵では無い形で。しかも実戦に投入するのは今回が初めてでありますので、敵を殲滅するとなりますとそれ相応の犠牲を伴わなければならなくなります。」

私(村上義清)「それを四郎に担わせるのは……。」

保科正俊「はい。しかも彼は初陣であります。」

私(村上義清)「虎綱も四郎にそれ(頼継の殲滅)を求めているわけでは無い。」

保科正俊「はい。春日殿の考えは、あくまで敵を自分に引き付けながらも犠牲を払うことなく安全な場所へ移動することでありますので。」


 高遠勝頼率いる騎馬隊は、長槍隊と激突している高遠頼継の前線部隊の横を攻め、敵をかき乱しながら追い払う。その隙に長槍隊は兵をまとめ前線から離脱。既に移動を終えた種子島隊の後ろに合流。それを確認した四郎勝頼は、


「あの旗印を目指し撤収せよ!!」

と号令。騎馬隊は掲げられた旗印目指し移動。これを見た高遠頼継は、

「怯むな!!四郎を討ち果たせ!!!」

 

 兵を立て直し、高遠勝頼の背後を追い掛けるのでありました。このやりとりを二度三度と繰り返し……。


保科正俊「あれだけのいくさの中。春日殿は、よく兵をまとめながら移動することが出来ますね。」

私(村上義清)「これが出来るから幸隆が虎綱に白羽の矢を立てたのであろうが……。」

保科正俊「ただ頼継も……。」


 前線をかき乱されてはいるが兵への被害は軽微なことに加え、ここを制し。塩尻峠の村上義清を撃破しなければ未来が無い高遠頼継は諦めることなく、春日虎綱を追い掛け続けるのでありました。


保科正俊「さすがにこのままですと種子島の玉薬が心配になるかと……。」

私(村上義清)「確かに……。」

保科正俊「いつか頼継に捉えられてしまうことになるのでは。」

私(村上義清)「虎綱も幸隆も『そのことは気になさらずに。』と口を揃えておった。」

保科正俊「その理由を殿は……。」

私(村上義清)「『殿は塩尻峠の小笠原長時に集中していただければ問題ありません。』と……。」

保科正俊「集中出来ていませんね。」

私(村上義清)「目の前があれ(鎧を纏わず寝入っていた小笠原隊)と言うのもあるが、後ろを守る虎綱があの状況だろ……。出来ると思うか。」

保科正俊「ですよね。しかも……。」


 その間にも春日虎綱と高遠頼継の戦いは場所を移しながら続き、村上義清と保科正俊の視界からその様子を伺い知ることが出来なく……。


私(村上義清)「(本当に気にしなくてもいいんだよな……。)」

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