転職を繰り返す……
私（村上義清）「よりによって何でまた仇敵である板垣信方のところにいたんだ。」
真田幸隆「それは貴方が私の土地を奪ったからでしょう。」
天文十年。村上義清は武田信虎、諏訪頼重と手を結び、真田幸隆がいる小県郡に進出。この戦いにより真田幸隆は故郷を追われ、上野へと逃れるのでありました。
私（村上義清）「……と言うことは自動的に山内上杉の家臣となった……。」
真田幸隆「正確には西上野を束ねる長野業正の支援を受けることになりました。」
そこで発生したのが甲斐国主武田信虎の追放。甲斐の混乱に乗じた真田幸隆は、長野業正と共に信濃に進出。失地奪回を目指したのでありましたが……。
真田幸隆「業正が諏訪と和睦したため、私は上野へ戻らなければならなくなりました。それが無ければ今頃は……。」
私（村上義清）「（自分を指差し）こんな奴の下風に立たされることも無かった。と……。」
真田幸隆「仰せの通りにございまする。」
私（村上義清）「……そこまで正直に言わないでおくれ。で、そこからどうやって板垣信方のところに？」
真田幸隆「簡単に言えば『武田は今。村上義清の首を狙っている。そのためには村上配下の小県のことが分かる、それもそれなりの身分の者を必要としている。適当な人材は見当たらないか。今燻っている者の中で……。』で板垣が探していたところ、武田の山本勘助の仲介もあり登用される運びとなったのでありました。」
縁故で入った就職先が早々に倒産。上位の取引先に拾ってもらうも待っていたのは厳しい現実。幻滅し、登録した転職サイトから届いた元ライバル企業の子会社からのプライベートオファーに飛びついた……。
私「（たまたまそこのトップ。板垣信方と更に上位の武田晴信が立派だったから良かったものの普通だったら……）。」
地縁血縁のある上田が武田領となると同時に放逐される憂き目に遭っていたんだろうな……。
私（村上義清）「板垣信方の元で働いてどうだったのだ？」
真田幸隆「板垣のところに、私同様。新規に採用された諏訪の衆が居たことも関係したかと思われますが、古参新規分け隔て無く接していただきました。勿論新規の者に汚れ仕事が回って来るのでありましたが、成果に対する報酬もきちんとしていました。そして何より板垣自らが率先して危険な役目の先頭に立って行動されておりましたので『この人のためなら。』と皆団結し、働いておりました。」
私（村上義清）「辞める理由が見当たらないのであるが……。」
真田幸隆「そうなんですよ。なんで今ここに居るのか？が定かではありません……。」
