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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
統一

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空位

私(村上義清)「その結果がこれだろ……。」


 自領の地図を広げる村上義清。


真田幸隆「殿の領土……。ほとんど広がっていませんね……。」


 版図としては佐久地方を除く信濃の東半分を手に入れているのではありますが、実際のところは国人たちの連合組織。村上義清はその代表者に過ぎないのが実状。


私(村上義清)「一応代官を置き税の徴収し、葛尾に集めてはいるのだが正直割に合う仕事ではない。」

真田幸隆「外から攻め込まれたら追い払う義務を負っておりますからね。」

私(村上義清)「それだけならまだね……。面倒なのは国人同士の争いの調停。こちらとしては折角出来た縁だから仲良くやっていきたいんだよ。でもさ、みんなが満足する回答を出すのは正直な不可能なこと。かと言って俺の領土を割いてしまうと、今度は自分の力を弱めることになってしまうし、俺にも家臣は居る。それこそ上杉に養子を送り込もうとした伊達や、三河における今川のような状況になってしまう。あれだけの力を持っている大名であったとしても……。ましてや俺みたいな……。」

真田幸隆「どこの馬の骨だかわからない殿に従う奴なんか……。」

私(村上義清)「いや少なくともお前よりはしっかりしておるぞ。」

真田幸隆「存じ上げております。」


 村上氏は河内源氏の出。


私(村上義清)「それに官位だって(先代の村上義清が)20年前に正四位上を任官しておる。」

真田幸隆「それから朝廷との付き合いのほうは……。」

私(村上義清)「(本当は付き合いかたがわからない。)……武田との絡みに集中していたこともあり疎遠となっておる。」

真田幸隆「殿は正四位上でありまするか……。」

私(村上義清)「何を考えているのだ。」

真田幸隆「それなら……資格があるわけでありますね……。」

私(村上義清)「どうしたのだ。」

真田幸隆「殿。」

私(村上義清)「なんだ。」

真田幸隆「信濃守を手に入れましょう。」

私(村上義清)「信濃守なら既に使っておるし、もっと言えば(小笠原)長時も使っておる。」

真田幸隆「それは自称であり僭称でありましょう。私が申し上げているのは正式なものであります。」

私(村上義清)「そんなの使い物になるのか。」

真田幸隆「それは小笠原の信濃守護も同じことであります。その権威にひれ伏すものなどおりませぬ。なぜなら幕府が何の役にも立っていないのでありますから。しかし殿はそんな小笠原の肩書を気にしておられる。信濃を治める正式な肩書が無いからと。ならば本来幕府以上の権力を有している朝廷が持っている信濃を治める資格を手に入れれば良いだけのこと。幸いにして信濃守は、長尾為景が亡くなってから空位となっております。」

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