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プロローグ
プロローグを飛ばしていたので。
やっとだーーー。
「それ」は暗闇の中でほくそえんだ。
長きにわたる願いが、夢が、やっと実現する。
そのために気が遠くなるほどの時間を費やしてきたのだ。
失敗など、奇跡が起きない限り、あろうはずがない。
いや、そもそも許されない。
「それ」は昂る心を落ち着かせようとゆっくりと息を吐き出した。
しかし、その興奮は覚めない。
恐ろしい笑顔で「それ」は拳を握る。
暗闇で彼を照らすぼんやりとした燭台の炎が、彼に応えるかのように一際大きく揺れた。