誰が悪い
言いたいことです。
上手く言えないことです。
いつからか、僕の周りには誰もいなくなった。
きっと僕は嫌われているんだとそう思った。
いつからだろう。
どうしてだろう。
僕は全く悪くないのに。
それからは人を見る目が変わった。
あいつばかりずるい。どうしてあの人ばかり上手くいくのか。あの子よりも僕の方が優れているのに。
誰に対してもそんなふうに思ってしまう。口には出さない。僕は大人だから。こいつらとは違う。
青春なんてクソだ。はしゃいでいるあいつらは馬鹿みたいだ。頭の悪い奴らが騒いでいるだけだ。
いじめられた。心の中で何度も彼らを返り討ちにした。ざまあみろ。
大人な僕は手を出さない。
偉い。
そうだ。
その通りなんだ。
恋人なんていらない。面倒くさい。
友達だっていらない。面倒くさい。
一人の方が楽だ。
だってみんなが僕を責める。
僕は悪くないのに皆が僕を責める。
みんなが悪い。この世が悪い。
――僕は悪くない。
本当に?
本当に僕は悪くない?
みんなが上手くいくのは、僕が頑張っていないだけじゃないのか。
僕は大人なのか?
違う。
ただ怖がって声も出せないだけなんだ。
友達も恋人も欲しい。
みんなが羨ましい。
青春の真ん中に僕がいて欲しい。
一人は、寂しい。
どうして僕は一人?
僕が悪いから。
人に優しくできない、僕が悪いから。
下を見ることしか出来ない僕が弱いから。
僕が悪い。
優しくなりたい。
優しくなるにはどうしたらいい。
優しい人の真似をすればいい。
手の届くみんなに優しくすればいい。
誰かを見下すのはもうやめた。
誰かのせいにするのはもうやめた。
自分を責める振りをするのももうやめた。
誰が悪い。
誰が悪い。
誰のおかげで。
自分のおかげで。
僕の優しさは、誰かのおかげで。
誰かの喜びを、僕のおかげで。
「誰が悪い」
強い振りをする僕はもうやめた。