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……
悔しかった。
大好きなおにいちゃんがバカにされるのが、我慢出来なかった。
でも、おにいちゃんは、
もっと、悔しかったと思う。
――名無し、
親無し、だなんて。
おにいちゃんがお父さんの前で泣いているのを、
何度か、見たことが、ある。
――泣かないで。
心の中で、ひたすら叫んだ、幼いあの頃。
私の言葉は、届かなかった。
それも悔しくて、悲しかった。
――おまえ、なんでいつも俺についてくるんだ……
えっとね、りのえは、おにいちゃんといっしょにいたいの
だから、なんで……
おにいちゃんがだいすきだから! だからいっしょにいたいの
……俺はお前のことを好きじゃないよ
えっ
……それでも、俺のことを好きって言えるの?
すきじゃダメなの?
駄目じゃないけど……
じゃあ、ずっと好きでいる! おにいちゃんに好きになってもらえるように、りのえがんばる!
……何を頑張るのさ」
えっとね、……りのえが、おにいちゃんをまもってあげる! おにいちゃんが泣かなくていいようにまもってあげる!
だから、りのえを好きになってね