『……』
時刻は午後7時。エセ外国人とエセ店員の会話が聞こえてくる。
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「ナニタノメバヨイカ、アイドンノー。プリーズ、オシエテクダサイ」
「ほらほら、接客よろしく」
「お客様、何を注文すれば良いか分からないのですか?」
「イエス、アイドンノー」
「でしたらお客様。当店自慢の三つのバーがオススメですよ」
「スリー、バー? アイドンノー」
『お前アイドンノーしか知らないだろ』
「説明させて頂きます」
「種類豊富なドリンクバー」
「季節の野菜たっぷりのスープバー」
「杖で殴ってくるババー」
『一個いらないのがあるよね』
「ワオ。ババー、エラブト、ドウナルノ?」
「ババーと相席になれます」
『メリットなしかよ』
「相席バーババーバージョンだね」
『バーバーうるさいな』
「OKプリーズ、ババー、クダサイ」
『変な外人だな』
「ババーノ、オドリグイ、スキ。オレ、クウ」
『お前外人というより人喰い部族だろ』
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「店長〜皿が割れました」
「割れた、じゃなくて割った、でしょ。ちゃんと謝りなさい」
「急にママみたいな怒り方しないでよ……」
『リアルに凹んでんじゃん』
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「店長〜腕の肋骨が折れました〜」
『【肋骨 どこ】で検索してみろ』
「腕の骨折くらいで帰れるわけないでしょう? 社会人としての自覚を持ちなさい。首の骨が折れても帰れないからな」
『ブラック気質すごいな』
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「お客様〜。熟成カレーを注文された方にアンケートのお願いをしております」
『アンケート?』
「カレー味のうんことうんこ味のカレー、食べるならどっちですか?」
『そのアンケート何に役立つんだよ』
「あとこのカレーはどっちだと思います?」
『どっちでも最悪だろ』
「ウンコアジノウンコ、クウ」
『人喰い部族帰ってくれ』
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「うーん、ファミレス店員って難しいねー」
「真面目にやってないだけでしょー」
「こんな事せずにさ、もっと楽に儲ける方法ないのかなぁ」
「やっぱり詐欺かな」
「よーし、詐欺の練習を」
「しない」
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『……』
俺も、楽に儲けたいなぁ。注文したアイスブリュレを口に運びながら、そんなことを考えた。