『……』
人数が増えにわかに盛り上がりを見せてきた後方での会話。
デザートメニューを注文しつつ、俺は背後へと意識を集中させた。
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「そういえば、私が来る前って何の話してたの？ 盛り上がってたみたいだけど」
『大した話はしてなかったぞ』
「将来に向けた建設的な話だよ！」
「ちゃんと仕事できるか不安だから、みんなでお仕事の練習しようって話をしてたんだよ……」
「へぇ、アンタ達の割にマトモな話してたのね」
「あすかちゃんはやりたい仕事とかある？ メルカリ配信者？」
『仕事というにはちょっと苦しいぞ』
「やりたい仕事は思いつかないけど……恐らく、やることになる仕事なら思いつくわね」
「……やることになる、って？」
「例えばこの、ファミレスでの仕事よ。就職するより先に高校大学でアルバイトを経験するでしょう？ 」
「なるほど。そしたら、上位候補に上がってくるのがコンビニとかファミレスのバイトって事だね」
「いいね、私、店員さんの練習やりたい！」
「ふふっ、私も〜」
「じゃあ私もて「あすかちゃんは偉そうでうるさい所が店長さんっぽいから店長さんやってね」
「……」
「私は働きたくないからお客さんで良い……」
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「いらっしゃいませ〜」
「エアロスミス〜」
『空耳下手くそか』
「お待ちのお客様どうぞ〜」
「お次は、4名でお待ちのバイキンマン様〜」
『出た、内輪ノリの団体』
「あのー、梅薗満なんですけど」
「も、申し訳ございません！」
『悪いの店員かよ』
「お次は……村のたたり様〜」
『物騒だな』
「あのー、村野崇なんですけど」
「も、申し訳ございません！」
『悪いの店員かよ』
「クビ」
『罰が重い』
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「そういえばファミレスって、外国人のお客さん来ることあるよね〜」
「英語わかんないよ……」
「そういえばファミレスって、外国人のお客さん来ることあるよね〜」
「……」
「ハ、ハローエブリワーン」
『負けんな』
「ヘイヘイ。アイアムライテンナウ。プリーズザセキ、シットダウン」
『ほぼ日本語だろ』
「店長、敵性語を使うお客様が来ました」
『まだ戦争してんのか』
「Follow me please.We'll guide you to the seat」
「……」
「……エイゴ、アイドンノー」
『負けんな』
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『……』
なんとなく、少女たちそれぞれの性格が分かってきた気がするぞ。
無意味な達成感を感じつつ、俺は背後の会話へと意識を没頭させていく。
