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第72話:『エゼル達の戦いはこれからだから!』※終わりません

『ディルが頑張っているのに、俺達が頑張れない理由は――どこにも無いよね?』

 俺の言葉に、魔物の幹部やエゼルの声が返ってくる。

『もちろんデス』『承知しました』『おねーさん、頑張るわ♪』『ボクもがんばるよ!』

『エゼルは言うまでもないな(≡ω)b』


 頼もしいみんなの声に、俺も心が熱くなる。でも、感慨に耽っている時間は無い。

 すぐに頭を切り替えると、俺は特級天使の対策をみんなと話し合うことにする。俺が考えている作戦とそのリスク、みんなが思い付いたアイディアやそのリスク、そして――総合的に考えられる「最良の打開策」を作りあげていくのだ。


 ◇


 話し合いを始めてから、思考加速状態の体感時間で、30分くらい経っただろうか?

 一通りの会議を終えた俺達は、みんなで気勢を上げていた。

『よしっ! それじゃ、みんな頑張ろう!!』

『『『『『おーっ!!』』』』』

 気合に満ち溢れている俺達に、ディルが小さく苦笑しながらテレパシーを飛ばしてくる。


『ちょっと、ちょっと、みんな熱くなりすぎですよぉ(///Δ)ノシ 今からそんなに気合を入れていたら、疲れちゃいますからっ! おにーさんも、最初から聞いていましたけれど、みんなを煽り過ぎるのはダメですっ!!』

 そう言って言葉を区切ると、ディルが少しだけ自慢げな表情を浮かべて、一気に今の状況を口にする。


『エゼルさんのおかげで、宝石型のダンジョンコアを手に入れることが出来ました。現在、12%はセッティングが完了しましたのでメンテナンスモード――つまり、「ダンジョンによる蘇生や回復」「ダンジョンの特殊空間(魔法無効化など)」の最低限の機能については、敵さんと接敵する時までには回復できると思います。いえ、私ちゃんが確実に回復させておきますっ! なので、メンテナンスモードじゃ「新規の罠の設置」とか「DPを使った物資の取り寄せ」は難しいですけれど、戦い方次第ではダンジョンシステム(30分)の再構成(過ぎるの)を待たなくても、大丈夫だと私ちゃんは思います!!』


 予定よりも早い段階でダンジョンシステムを再構築できつつあるのだろう、とても自慢げなドヤ顔のイメージをディルがテレパシーで送ってきた。これは「後でいっぱい褒めて下さいね?」というディルなりのおねだりと「万が一、死んでしまっても大丈夫なので安心して下さいね」というメッセージだ。

 何だか、ディルが無性に可愛く感じてしまって身悶えしそうになったけれど――頭をなるべく冷静にするように意識して、何とか対応することが出来た。


 ……それにしても、相方が優秀だと本当に困ってしまう。俺達に格好付けさせてくれないのだから。

 でも、始まる前にゆるぎない覚悟を決めておくという意味では、ここでみんなを煽っておくことも必要だと俺は思うんだ。思考力のある生物って、感情だけで自分の限界(リミッター)を超えることが、簡単に出来る生き物だから。

 そして、俺はとってもずるいダンジョンマスターなのだから、利用しないことは無い。


『ねぇ、みんな? うちのお姫様はこんなこと(・・・・・)を言っているけれど、どう思う? お姫様のリクエストを簡単に言うなら「私ちゃんがダンジョンシステムの再構築を済ませる30分よりも前に、みんなは特級天使を無力化してみせてよ♪ どっちが早いか競争だからねっ(≧ω)v」ってことみたいだけど――『ちがっ(///Δ)ノ ちがぃますッ!!』』

 ディルが慌てたように否定の言葉を重ねて来たけれど、俺はあえてソレをぶった切る。


『可愛い俺達のお姫様に、こんなリクエストをおねだりされたら、俺達も格好付けたいよね? 期待に応えたいよね? 胸の奥がドキドキするよね? だからさ――』

 さっきからディルが「違う! 違うのですッ!!」ってテレパシーを送ってくるけれど、俺はあえてみんなを煽る。

 みんなも、ディルのテレパシーは聞こえているみたいだけれど、真剣な様子で俺の言葉を聞いてくれている。


『――だから、みんなでディルをびっくりさせてあげよう! いっぱい頑張ってディルに褒めてもらおう! そして、みんなでドヤ顔をキメて、全員で爆笑しよう!』

 言葉を小さく区切ってから、俺はみんなを鼓舞する言葉を口にする。


『今回の相手さんは、正直、うちのダンジョンの中では俺達じゃないと足止めすらできない強敵だよね。でも、逆に言うならレベルを上げまくった今の俺達なら、「亜神」と言われるような特級天使でさえも頑張れば刃向かうことが可能なんだ。つい10日前に考えられたか? ダンジョン生まれの普通の魔物だったゴブリンが、コボルトが、スライムが、サキュバスが――神々に片足を突っ込んだ存在と十分に渡り合えるんだ。これはそう、チャンスだ。大きな大きな、チャンスだ』


 ――さぁ、仕上げの言葉を口にしよう。

『コレを乗り越えたら俺達の目標が現実のものになる。だから――『そう、エゼル達は気合を入れなければならない。だって、(エゼル)達の戦いはこれからだからッ(≡ω)b』――『ちょ、エゼルっ!! 美味しい所を持って行かないでッ! あと、それじゃなんか大切なモノ(この世界)が終わってしまう感じだからッ!!』――『ほぇ?』』


 俺の言葉に割り込んだ時のドヤ顔から一転、きょとんとした表情を浮かべるエゼル。

 いや、なんでそんな不思議そうな顔をするの? 美味しい所というか、重要なところをかっさらって、絶妙な天然ボケ(台無し)をかま()してくれるのは……まぁ、エゼルらしいと言えばエゼルらしいんだけれど……「その言葉」はちょっと不味いんですよ……otz


 とりあえず、終わらない、終わらないからねっ!



(次回に続く。――本当に、本当に、次回に続きますのでよろしくお願いします(Tω)ノ )

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