閑話:「ナポリタン、いただきまーす♪」
「ナポリ♪ タンターン♪ ナポリターン♪」
ご機嫌な様子で歌を口ずさんでいるエゼル。
その狼耳とふさふさの尻尾は、リズムに合わせてピコピコ動いている。
「ナポリ♪ タンターン♪ ナポリターン♪」
くるくると尻尾を回して、くるっとターンを決める狼耳天使。
ターンをしたのは、ナポリターンだから?
でも、子どもみたいにはしゃいでいるエゼルが何だか可愛く感じてしまったのは、俺の心の中だけの秘密だ。
『私ちゃんもターンをした方がいいでしょうか?』
俺の心の中を覗いたのだろう。テレパシーでディルが苦笑しながら聞いてきた。
それに笑顔を返して、俺は小さく首を横に振っておく。
『ううん、ディルはいつものディルで十分に可愛いから、ターンしなくていいよ』
『――っ、ありがとうございます(///ω)!』
一瞬で顔を真っ赤に染めたディルだったけれど、それに気付きもしないでエゼルは3回目の言葉を口にする。
「ナポリ♪ タンターン♪ ナポリターン♪」
……うん、エゼルはテンションが高いなぁ。狼耳天使はナポリタンが真の主食なのかもしれないって、おにーさん勘違いしちゃうよ?――なんていう冗談は横に置いておいて。
取りあえず、こんなに嬉しそうなら、エゼルにアノ提案をしてみてもいいかもしれない。
「エゼル? そんなに楽しみなら、エゼルがナポリタンの取り寄せをやってみる?」
ナポリタンは某レストランからDPで取り寄せるのだけれど、現状ではディルと、ディルから教えてもらった俺しか取り寄せができない。
でも『DP召喚図鑑の更新』という方法を使えば、エゼルもDPで某レストランのナポリタンを取り寄せることが出来るようになるのだ。
俺の言葉に、エゼルの目がきらきらと輝いた。
「良いのかっ!? エゼルが注文したら、大盛りを取り寄せるかもしれないぞ!?」
「大丈夫だよ。でも、ちゃんとみんなで食べきれる量にしてね? せっかくのナポリタンを残してしまうのはもったいないから」
「もちろんだ(≡ω)b そこら辺の絶妙なバランスは、エゼルに任せてくれ!」
「うん、分かった。それじゃ、エゼルの分の【DP召喚辞典】の更新をするね?」
「よろしくなのだ♪」
そう言って頷くと、エゼルは両手を俺に向けてきた。
俺はエゼルに向かい合うと、彼女の両手に自分の手を重ねる。こうして手を合わせた状態で、とあるダンジョン魔法を使うと『DP召喚辞典』の更新ができるのだ。
なお、DP召喚辞典の情報を共有することで、お互いが取り寄せることができる物品リストや魔物リストは共有できる。もちろんリストは、全部じゃなくて一部だけを共有することも可能だ。
そのため、危険な現代兵器などはエゼルに情報を渡さないでおくこともできる。
核兵器とか、ついうっかり召喚されてしまうと、取り扱いに困ってしまうから。ダンジョンに吸収させて処分するにしても、ダンジョン内に核物質がドロップしたりしそうで怖い。
「よし、これでDP召喚辞典の更新はできたはずだよ。エゼル、さっそくだけれどナポリタンを取り寄せてみて?」
「了解なのだ♪ 『召喚・試食用一口ナポリタン♪』」
エゼルのDP取り寄せによって、俺たちの目の前のキッチンのカウンターに、小さなお皿に入ったナポリタンが現れた。
「とりあえずは成功だね♪ でも、エゼル、なんで試食用にしたの?」
俺の疑問に対して、エゼルがちょっとドヤ顔になりながら口を開いた。
「ナポリタンは、食べる直前に出した方が温かくて美味いだろ? 『本食用のナポリタン』は、食卓の準備ができて、スープを容器に注いでから取り寄せるのだ(≡ω)b」
1秒でも2秒でも、ナポリタンが冷める時間を短くしたいというエゼルの気持ち。
多分1~2分だったとしても、そんなにナポリタンに変化はないと思うのだけれど……楽しみにしているエゼルの気持ちを俺は大切にしたいと思った。
「そうだね、それじゃ、スープを注いで3人でご飯を食べる準備をしよ?」
「了解なのだ!」「はいです!」
重なったエゼルとディルの言葉を聞きながら、俺も晩御飯を食べる準備をする。
とは言っても、エゼルがランチョンマットとフォークをすでに持って移動しているし、ディルは注ぎ終わったスープを3人分お盆に入れて持っていっている。
俺ができそうなことは――うん、飲み物を用意しよう。ナポリタンとスープに合う飲み物といえば、やっぱりアレだよね。
「『召喚・クリームソーダ』♪」
俺の詠唱と同時に、透明なガラスのコップに入ったクリームソーダがお盆ごと俺の右手に現れた。
ちなみに、本当は詠唱をしなくてもDP取り寄せはできるのだけれど……自分以外のエゼルやディルを驚かせないためにも、緊急時以外はなるべく『|召喚・〇〇』と口にするようにしている。
ある意味、俺たちのダンジョンのハウスルールと言えるだろう。
俺はお盆を持ったままテーブルに移動して、ランチョンマットの上にクリームソーダを1つずつ置いていく。
「クリームソーダをチョイスするとは、水島おにーさんは最強だな(≡ω)!」
「私ちゃんも、クリームソーダ大好きです!」
エゼルとディルの嬉しそうな声を聴きながら、エゼルに本食用のナポリタンの取り寄せを頼むことにした。
「ありがと、2人とも。それじゃエゼル、アレをお願いね?」
「承ったのだ♪ 『召喚・ナポリタン』っ♪」
エゼルの声と同時に、テーブルに3つのナポリタンが並んだ。エゼルのは少しだけ大盛のサイズ、俺とディルは普通盛。まぁ、この分量ならエゼルもちゃんと食べきれるだろう。
「それでは、今日のご飯に感謝して――」
手を合わせながら口にしたディルの言葉に、俺とエゼルも手を合わせる。
この挨拶は、気が付けばいつの間にか俺たち3人がご飯を食べる時の習慣になっていた。
「3人仲良くいられることに感謝して――」
そこで言葉を区切って、ディルが俺とエゼルに視線を向ける。
3人でこくりと頷いてから、その言葉を口にする。
「「「ナポリタン、いただきまーす♪」」」
フォークに軽くパスタを巻いてから、口へと運ぶ。あぁ、美味しいなぁ♪
(次回に続く)
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※ナポリタン取り寄せ元(画像提供)※
作品名:『悪魔deレストラン ~レストラン経営で世界を統治せよ!~』
作者:scarlet様
(煮)「scarlet様、この度はナポリタンの画像の使用許可&提供をありがとうございます!」
(デ&エ)「「ありがとうございますっ! ナポリタンは、私ちゃん&エゼル&おにーさんで美味しく食べました(≡ω)ノシ♪」」
(煮)「なお、scarlet様の『悪魔deレストラン』は、クスっと笑える楽しい『異世界食堂経営』物語です。元魔王様が、経済面から世界征服するためにナポリタンを提供しています!」
(デ)「私ちゃんも大ファンなので、気になった方は『悪魔deレストラン』をぜひ読んでみて下さいね♪」
(エ)「確か、エゼル情報だと、毎日更新されているはずなのだ(≡ω)b それでは――」
(煮&デ&エ)「「「アディオス(≡ω)ノシ」」」
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