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閑話:「幸せを、手放したりなんかしない」

「効率の良いパワーレベリングの次は、ダンジョンの強化を始めなきゃだよね?」

 ――そんな水島おにーさんの独り言がエゼルの狼耳に聞こえてきた。

 ふむふむっ、ダンジョンの強化か♪ 水島おにーさんは、次はどんなことでエゼルをドキドキさせてくれるのだろうか?


 そんな期待を胸に閉じ込めながら、エゼル達は仲良く手を繋いで、拠点のログハウスに歩いていく。

 そう、水島おにーさんの手を握ったのは、ワザとじゃないんだ。気が付いたら、エゼルの右手が隣を歩いている水島おにーさんの左手を握っていただけなんだ。そう、右手が勝手に動いただけなんだ。


 でもさ、こうして3人で並んで歩いていると――胸の奥があったかくなる。

 天界でずっと1人で過ごしていた時には、殆ど感じることができなかった気持ち。

 エゼルは、今、とっても幸せなのかな?


「お家に戻ったら、私ちゃんはシャワーを浴びてくるのです!」

「了解♪ その間に、俺はお茶とお菓子の準備をしておくよ」

 エゼルと同じように、反対側で水島おにーさんと手を繋いでいるディル。そして両手に花状態の水島おにーさん。


 2人の会話を聞きながら、ディルも水島おにーさんもマメだよなぁと感心する。エゼルにはとても真似ができない。だから――

「エゼルは、ソファーでぐだっとしておくのだ(≡ω)b」

 なんてことを言ってみる。


「エゼルさん? エゼルさんも一緒にシャワーを浴びますか? 一応、『洗浄』でキレイにしましたけれど、女の子ですもん」

 一瞬、めんどくさいなぁと思ったけれど……これ、ディルのポワポワを鑑賞するチャンス到来かも?

 それに気付いたら、何かやる気が出て来た。


「うむっ♪ エゼルもディルと一緒におhuro――「やっぱり止めておきましょう! 何か、エゼルさんに悪戯されそうですから(///ω)ノ」――え~! せっかくディルと遊べるチャンスだったのに!!」

「遊ぶって、お風呂で私ちゃんと何をするつもりだったのですか?」

「何って、そりゃおっpai_kurabe――「はいはい! エゼルもデイルも、そこまでにしようねー♪」」

 ディルに対して返事をしている途中で、水島おにーさんがエゼルの言葉を遮ってきた。


 水島おにーさんは真面目だから、こういう話題は苦手らしい。

 でも――顔が少し赤くなっているから、全然興味がない訳でもないようだ。興味はあるけれど、我慢しているのだろうか?……そう言う人の事を、世の中では『むっつりさん』と呼ぶのだけれどな♪

 まぁエゼル的には、水島おにーさんがむっつりさんでも、幻滅はしないが。


 そう、エゼルはこの、手を繋いでいる男性の事が好きになった。

 出会ったのは、ほんの数日前。最初は、水島おにーさんとディルのことをエゼルは殺そうとしていた。

 いわゆる、敵同士ってヤツだったな。


 そして、水島おにーさんに倒されて、口車に乗せられて、白い粉遊びをして、仕方ないなぁと思いながら契約のキスをして、女勇者がやって来て、何だかんだで退出してもらって、ホッと一息ついて、一つ屋根の下で暮らすようになって……。

 うん、どのタイミングだったのかな? エゼルが水島おにーさんのことを好きになったのは。


 多分、出会った瞬間に惚れていた――なんていう『英雄物語』のようなことは無いと思う。

 でも、絶対的なレベル差を「機転と勇気とDMの力」を使って乗り越えた水島おにーさんのことは、すぐに凄い奴だなと認めることが出来ていた。

 おそらく、エゼルが水島おにーさんに惚れたのはその辺りだろう。

 気が付けば、水島おにーさんの声と笑顔と匂いで安心しているエゼルがいた。


 まだ1週間も経っていないはずなのに――300年くらい一緒に過ごしているような安心感を、水島おにーさんと一緒にいる時には感じてしまう。だから、エゼルは心に決めているんだ。


「この幸せを、手放したりなんかしないぞ(≡ω)b」


 ――ってな♪ 格好良いだろう?


(次回に続く)

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