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第40話:「頑張って下さい! おにーさんなら絶対に出来ます」

『エッチなのはいけないと思うぞ(≡ω)ノシ~♪』

 真面目に怒っていそうなディルと、「押すな押すな(結局、押せ!)」状態を期待しているような声色のエゼル。

 何というのか、ちょっとだけ脱力してしまう俺がいた。


『……うん、二人ともゴメン』

『誤って住むのなら、衛兵は要らないのです!! 私ちゃん、プンプンですよ!?』

『プン・プカ・プンなのだ(≡ω)v』

 ちょこっと本気(マジ)で怒っていそうなディルは、後でちゃんとお話をして分かってもらうとして。

 問題なのは、それを煽るようにして楽しんでいるケモ耳天使の方だ。この『駄犬』には躾とお仕置きが必要かもしれないって、思ってしまうのは仕方がないよね?


『――っ!? ちょ、お仕置きって何をするつもりだ』

 俺の思考をディル経由で読んだのか、エゼルが抗議の声をあげてきた。抗議するくらいなら、そもそも煽らなければいいのに。

『エッチなのはイケnai――『そんなことしないから』――え~~、そんなんじゃつまらないぞ~?』

 尻尾をフリフリしてご機嫌な様子のエゼル。

 一瞬だけ、マジでエッチなお仕置きをしてやろうかという考えが頭を過ったけれど、それは流石に絵面的にNGだと思って止めておいた。女子高生くらいの外見の女の子には、年上のおにーさんとして優しくしてあげないといけないと思うから。


 小さく息を吸ってから、俺は判決を言い渡すことにした。

『エゼルだけ「おやつ抜き」が妥当かな? 今のコレが終わったら、日本の美味しいお菓子やパフェを3人で食べる予定だったけれど……俺のこと、いじめてくるエゼルには不要だったみたいだかra――『いるっ! 食べるっ! 食べさせて下さいお願いしますゴメンなさい(Tω)ノシ』――そう? なら、これからは“なるべく(・・・・)”悪ノリしちゃダメだよ?』

 ちなみに、エゼルが悪ノリを止めるのは想像ができない。

 だから、なるべくという言葉を頭に付けたのだけれど……俺の忠告に、エゼルは首を縦にコクコクと何度も振った(イメージをテレパシーで送ってくる)。


『もうしない! エゼルは真面目なエゼルになるからッ! だから、おやつ抜きなんて止めてくれ(Tω)』

『……本当?』

『本当だ! 本当だとも! 本当です!! エゼルは新しい甘味のためには、真面目に取り組むからなッ!?』

『……それはそれで安っぽい気がするけれど――まぁ、エゼルの悪ノリの回数が落ち着くのならそれで良いや』

『うむっ♪ それじゃ、日本の美味しいパフェを後で食べさせてくれよな?』

『了解。良い子にしていてくれたね?』

『任せろ! 世界一良い子をエゼルは演じて見せるぞ(≡ω)b』


 良い子になるんじゃなくて……演じるんだ? というツッコミは野暮だからあえてしないでおく。まぁ、取りあえずコレでエゼルの方はOKだろう。問題は――

『私ちゃんが、問題なのですか?』

 ――ガチで怒っているっぽい、うちの大切なお姫様の方だ。


『た、大切ぅ……(///ω)ノシ ――いいえっ、そんな言葉では誤魔化されません!! 私ちゃんは、プンプンなのです!』

『ディルは怒っているの?』

『怒っていますよ!?』

『えっと、何か理由があるのかな?』

『それは、おにーさんが……他の女の子に……色目を使うから……。そう、私ちゃんは悪くありません!!』

『そっか。でもさっきまで「ぶちゅっと行っちゃえ~」とか、エゼルと一緒に煽っていたよね……?』

『うっ、それは……』


 そして広がる、大きな沈黙。

『ディル、ゴメン。後できちんと話をするから――今はちょっと待っていてくれないかな? 鹿島さんと話をしているから、いつまでも思考加速状態でいる訳にもいかない。思考加速状態の前後で、俺の雰囲気を変える訳にもいかないからさ』

『ぅぅ~』

 若干突き放すような俺の言葉に、ディルから不満げな雰囲気が伝わってくる。

 うん、でも本当にゴメン。今は、時間があまり無いんだ。


『……おにーさんにそんなことを思われてしまうと、私ちゃんが悪い子みたいじゃないですか(///Δ)ノシ』

『自覚があるのかな?』

 俺の言葉に、ディルが小さく言葉に詰まる。

『うっ……でも、うぅ……う~!』

 言葉に詰まるディルのテレパシー。彼女の葛藤が、俺の中にダイレクトに飛んでくる。俺が自分で想像していた以上に、胸の中で強い罪悪感が湧いてくる。


 だけど、時には厳しく接するのも、ディルには必要な事だと思う。

 ディルを甘やかすことは俺も楽しいし、可愛い女の子であるディルに甘えてもらえるのは嬉しいけれど――彼女が俺に依存するようになってしまうのは、お互いにもったいないと思うから。

 ディルには、凛とした「見る者の心臓を鷲づかみにするような」ディルらしさを持ち続けていて欲しい。そうじゃないと、俺とディルの関係は、300年ももたないかもしれない。

 

『ぼそっ(……おにーさん、ごめんなさい。私ちゃんがいけない子でした)』

 俺の心を読んでくれたのだろう。小さな声でディルが謝ってきた。

『ううん、俺も俺でディルを不安にさせてしまったのがいけなかったよ。他にも、もっと上手な方法があったかもしれない。だから、ごめん』


 ちなみに、ここで「この世界ではハーレムが許されているよね?」というのは空気が読めない男だろう。

 人間、好きな人は独占したくなるのが普通だから。俺がディルの立場なら、他の人の事なんて見て欲しくないから。

『はぃ、私ちゃんはおにーさんを独占したいです。――でも、おにーさんは私ちゃんとエゼルさんの2人だけじゃもったいない男性なのも、私ちゃんは知っています(///ω) だから。せーさいのよゆーが有れば、大丈夫なのですっ♪』


 ディルの言葉は、正直、俺を買いかぶり過ぎな気もしなくはない。そして、ディルに無理をさせてしまっているのかもしれない。

 でも、ディルとエゼルは、俺にとって大切な存在なのは間違いない。

『ディル、ありがとう』

『はいっ♪』

 可愛く返事をしてくれたディルが、言葉を続ける。


『それじゃ、鹿島さんの囲い込みを頑張って下さい! おにーさんなら絶対に出来ます』



(次回に続く)

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