わかってたけど、自己紹介であからさまに沈黙するのやめてもらえますか?
投稿が少し遅れてしまいました。
すみません。
朝食を終えて、私は学校に向かった。
今日は馬車に乗っての登校である。
なかなか尻が痛い。
「そういえばさ、あなた、名前とかないの?いつまでもあんたとかお前とかいうの不便なんだけど」
『ふむ、名前くらいはあるぞ。リグナリスじゃ。好きに呼んでくれて構わんぞ」
「リグナリス、ねえ…なら、リグちゃんで!」
『ちゃんは要らん、ちゃんは』
「何よ、自分からそんな可愛い依り代選んでおいてちゃん付け拒否はないんじゃない?」
『…好きにしろ』
なんだかんだで、いつのまにか学校に着いた。
さっさと馬車から降りて、指定のクラスを見つけ入る。
扉を開けて、席に座ると隣の女性が話しかけてきた。
「ちょっとあなた」
「はい、なんでしょう?」
私よりも歳は少し上だろうか、なんだか喧嘩っぽい口調で話しかけてきた。
「トリプルだからって調子に乗らないことね。魔法は属性数ではなく完成度が物を言うのよ。この学園での一番の魔法使いはこのマルラ・ガウィルだということをよく覚えておきなさい」
一瞬吹き出しそうになった。
まさにラノベのテンプレ。最初傲慢なんだけど最後は改心していい人になる的な。
この人とは良き友になれそうである。
ん?というか…
「なんで私が〔トリプル〕だって知ってるんですか?」
そう。まだ私は、自己紹介もしていなければ学園内でトリプルという言葉を一度も発していない。
「私のお父様がこの学園の副学園長なのよ。そのくらいの情報は入ってくるわ」
なんと。副学園長のご令嬢だったとは。
「決して慢心はいたしません。精一杯努力いたします」
予想外の返答だったのか、マルラは一瞬驚いたような顔を見せると、微妙な顔でそっぽを向いてしまった。
すると、教室のドアが唐突に空いて、ひとりの若い女性が入ってきた。
「はーい、注目。今日からこのSクラスを担当することになりました、ヴィエラ・ポルポートです、よろしくね。さて、まあ今日はこのクラスになって初めての日だから、自己紹介からいきましょうか」
そうして自己紹介が始まった。
ここでは、成績下位のものから順に自己紹介していくらしい。
中には年齢が10歳くらいの人もいて、びっくりした。
そして、次は次席。ということは…
「皆さん、はじめまして。マルラ・ガウィル、8歳ですわ。魔法の適性は火と緑の〔ダブル〕ですわ。魔法の腕にはそこそこ自信があります。まあ、一年間よろしくお願いしますわ」
〔ダブル〕。
とても希少なその存在が8歳という若さで自分たちの目の前にいる、それはクラス全員を沸かせるのには十分な材料だった。
しばらくそのザワザワは止まらず、5分ほど時間を食った。
「あなた、ダブルだったのね」
「トリプルに言われても嬉しくないわ」
そうしていると、
「さて、最後はみんな知ってると思うけど、本年の学園入学生首席の人です。それじゃ、お願いね」
「は、はい!」
いきなり言われて、少し驚いた。
立ち上がると、男子はその美貌に釘付け。
視線が痛い。
「リ、リィ・ファルスフォード、歳は6歳です。適性は火、水、光のトリプルです。一年間の目標は…友達をたくさん作ることです!よろしくお願いします」
シーン…
教室が静まり返る。
6歳。トリプル。
一生に一度見れる確率もとてつもなく低いあの伝説の存在が、今この空間に存在している。
中には泡を吹いている者もいた。
教師もこの事は知らなかったようで、驚愕していた。
「…は、はい!それじゃあ一通り自己紹介が終わったわね!それじゃあ、魔力測定も兼ねて最初の魔法の練習を行うので、みんな外に出てください!」
それでも、未だに気絶しているものもいる中で最初に正気を取り戻したのはヴィエラだった。
一同はその言葉でハッとし、そそくさと校舎外に向かった。
残ったのはマルラと私。
「…はぁ。もうなんとなくわかってたけど…あそこまであからさまに距離置かれると傷つくわぁ…」
「当たり前でしょう。トリプルだなんて、そんな雲の上の存在に軽々と話しかけられるやつなんて、この私くらいよ」
「そっかぁ…じゃあ、あなたは私の友達第1号って事で」
「はあ!?なんでそうなるんですの!?」
「いいじゃない、あなたは私と対等に接してくれるんでしょ?」
「当たり前じゃない、あなたを格上とは認めないわよ」
「じゃあ今日から友達ね」
「だからなんでそうなるんですの!」
マルラがそう叫んだ瞬間、私は外に向かって逃げ出した。
「あ!こら!待ちなさい!!」
そうはいうが、マルラも実際見ていると少し楽しそうに見える。
境遇が私とほぼ一緒である以上、友達もなかなかできなかったのだろう。
楽しい学校生活になりそうだ。
何気なく管理ページを見てみると総合評価が2桁。
…2桁!?
いきなり増えたのでびっくりしました。
ありがとうございます。
しかしもう…まじでネタ切れ。
やべえぇぇぇぇぇ(^◇^;)