チート能力、ふんだんに活用中
家に帰ると、すぐにメイドが迎えてくれた。
そのメイドに荷物を渡し、広間に向かうと母がいた。
「お母様、ただ今戻りました」
「あら、おかえり、リィ。それで、どうだった!?適性は?」
随分と気が早い。
しかし、母と父に二度説明をするのもバカバカしいので、
「その事なんですが、お父様が帰ってきてから発表させていただいてもいい?夕食の時にでも」
「…まあ、それもそうね。じゃあそうしましょう。はじめての学校で疲れたでしょう、食事まで休んでいなさい」
「ありがとうございます、そうさせていただきます」
……………
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、本当につかれたあぁぁ…」
『最近どんどんため息が長くなっておるのう、フォッフォッフォッ』
「あんたは気が楽でいいわよね…」
『…しかし、わしも慣れない器で少々疲れすぎた。ベッドを借りるぞ』
「あっちょっと…てかあんたがその慣れない器にわざわざきたんでしょうが!文句言ってんじゃないわよ!…ってかもう寝てるし」
しかし、なにかが乗り移っているとはいえ、姿は以前と変わらないままである。
愛らしいその姿を見ているだけで、疲労は回復していった。
そして、疲労が回復すると、色々と欲が出てくるものである。
「…魔法の練習しておきたいな」
襲撃者への対策も兼ねて、だ。
しかし、部屋の中でやるのは論外。
家の外もリィのような化け物が使えるような練習場はない。
となると…
「…能力で作るしかないわよね」
《承知。最上級対魔法防壁…10,000メートル四方、異次元空間に生成。隠蔽魔法、時空の歪み…修正。主人のみが通れるようになりました》
随分優秀になったものだ。
そして、それでは早速と私はその空間に向かった。
その中は、何もない真っ白な空間。
しかし、あまりにも変化がなさすぎて右も左も分かったものではない。
「何もないってのもなんだか不便ね」
といって、創生魔法に空間の修正を命令すると、
《承知いたしました》
といって、すぐに学園の訓練場と同じ感じにしてくれた。
「おお!さすがぁ!」
《光栄です》
そして、私は練習を開始した。
前世の記憶もあり、好奇心が絶えない中練習していたら、いつのまにか夜になっていた。
…え?練習中の様子?…難しいからカットで!
「…この空間ちゃんと現実とリンクしているのね。思ったよりハイテク…」
今回の練習で得た成果はいくつかある。
その主な内容はこんな感じだ。
・超絶【サモン】:その名のままだが、様々な動物を召喚できる魔法。魔物の召喚も可能。
・固有【アラウンドシー】:戦闘中の周りの様子を一発で確認できる。
・固有【オートファイト】:自動で最適な魔法を選択し、戦ってくれる便利魔法。
・超絶【スピードアップ】:思考速度、俊敏性等、スピードに関連するものは全て上昇する。
・固有【パラレルシンキング】:複数同時思考が可能。
全ての魔法が超絶以上という、異常な結果。
そして何と言っても今回の一番の収穫が、
・{【全知】}:全てを知り得ることのできる魔法。
どうやら神域魔法や固有魔法の域には収まらない為、このような表示になってしまうようだ。
創生魔法と同じようなものだが、この能力は全てを知り尽くしている。何を聞いても必ず答えてくれる。
創生魔法に関しても、だ。
今回の成果はこんな感じだが、とても有意義な時間になったと思う。
「失礼します。夕食の準備が整いました」
メイドの声まで聞こえてきた。
異次元なのにも関わらず。
やはりこの能力、なかなか使える。
《ありがとうございます》
…うん、一人でやるよりはいいってことにしよう。
そして私は、ダイニングに向かった。
……………
ダイニングに着くと、既に父も母も揃っていた。
もちろん、ピュリーも一緒にいる。
「おお、来たか。早く座りなさい」
「はい。遅れてしまいすみません」
うち自慢の料理長が作った料理は、いつもよりもなんだか少し豪華な感じがした。
どうやら、学園の入学祝いのようだ。
「それでは、冷めないうちにいただこう。…それでは、いただきます」
「「いただきます」」
そして、食事を食べ進み5分ほど経った頃。
「…さて、それではリィの適性魔法を教えてくれ」
と、父が切り出した。
しかし、考えてみれば父は学園長である。適性魔法くらい見ていそうなものだが…といったことを聞いてみると、
「学園全員分となると、量も半端がないからチェックは何日かに分けるのだよ」
と言っていた。
「…はい。それでは私の適性を発表させていただきます」
私はそういい、異次元で考えていたことを話すことにした。
「しかし、今から話す内容はくれぐれも内密にお願いしたいのですが…いいでしょうか?」
「…そんなにすごいものなのか?」
「…はい」
「…わかった。それでは、お前たちは少し席を外していてくれ」
と、父がメイドたちに言うと、すぐに部屋の外に出て行った。
「…さて、それではお話しします。私の適性魔法は…」
今日中にもう一本あげられたらいいなー…なんて