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割と一大事

王宮に着くと、私とアリシアはすぐに特別訓練場に向かった。

特別訓練場は、宮廷魔導師団のためだけに作られた強度の高い訓練場だが、私たちが着くとそこにはすでに宮廷魔導師団全員が集合していた。


「此奴らが、我が国が誇る最高戦力、宮廷魔導師団じゃ」


アリシアが軽く説明すると、一人の男性が前に出てきた。

どうやら、魔導師団の前総長のようだ。


「初めてお目にかかるな、リィ総長。私がエスタシス王国宮廷魔導師団前総長、ギリウス・メルシアだ。よろしく頼む」


総長ということは魔法の腕もこの中で一番立つのだろうか。

魔力量が飛び抜けていた。


「リィ・ファルスフォードです。この度、国王陛下の命により宮廷魔導師団総長を務めさせていただくことになりました。よろしくお願いします」


「ああ、堅苦しいのはもうなしだ。とりあえず今日は初日だから、いつもの訓練を体験してもらう形になるが、いいか?」


「はい!よろしくお願いします!」


……………


と、いうことで訓練が始まった。

訓練は、新魔法開発などをしている者以外は模擬戦闘となる。


「さて、リィ殿は私とだ」


前に出てきたのは…ギリウス。

いきなり総長格と対戦…。


「どうぞお手柔らかに…」


「ハッハッハ!!あの国王陛下が直々に総長に推薦するほどの実力者が何をいう!こちらが胸を借りさせてもらうつもりで行くぞ!」


そういうと、ギリウスは【ウォーターウェーブ】、上級【ボルテージショット】を同時にはなってきた。

隊長格ともなると、複数同時発動は容易いようだ。

しかも一つが上級魔法となるとまた格段に難易度は上がる。

さすがといったところだろう。


「…反射付与、【魔力障壁】」


無駄な魔力を使うのも好きではないので最小限の魔力で対応して行く。


「…ぬっ!?」


私の狙い通り、ギリウスの魔法は完璧に反射されてギリウス自身を襲う。

しかし、自分の魔法でやられるはずもなく…


「…この程度か?」


余裕で立っていた。

まあ、この程度かとまで言われて黙ってはいられないので、


「強化付与、【ファイアウォール】、超級【ハイボルテージショット】」


超級も混ぜて二つ発動する。

すると、ギリウスの顔が一気に驚きに染まる。


「超級魔法…!?バカな…私でさえたどり着けなかった境地へ、もう足を踏み入れているというのか…!」


「世界は広いってことですよ」


そう言って私は、容赦なく魔法を叩き込む。

周りの隊員は、まさか本当に打ち込むとは思っていなかったようで、急いで隊員に駆け寄っていた。

しかし、中から出てきたのは…無傷で呆然としているギリウス。

魔法が到達する直前、強化魔力障壁をギリウスの前に展開しておいたのだ。

しばらくして、ギリウスが正気に戻ると…いきなり頭を下げてきた。


「試すような真似をしてすまなかった。正直、6歳という若さで総長就任というのは信用できなくてな、少し確認してみたかったのだ。まずは非礼を詫びよう」


「いえいえいえ!頭を上げてください!私もまだ戸惑っているんですから、皆さんの方が動揺していらっしゃるのは当然です!」


「…そう言ってもらえると助かる。これからよろしく頼むぞ」


「はい。よろしくお願いします!」


「さて…本当に大事な話はここからなんだ。落ち着いて聞いて欲しいんだが…」


「それについては私から話そう」


「…!陛下…」


ずっと訓練を見ていたようで、仲間外れにされて少し不機嫌だった。


「さすがじゃな、リィ。やはりお主に任命して正解じゃったのう。して、今回なぜいきなり総長に任命したかというと…」




「今このエスタシス王国が存亡の危機に瀕しているからなんじゃ」



…存亡の危機。

あまりに突飛なワードが出てきて、わけがわからなくなる。


「実はのう…恐れていた通り、この間お主が倒した魔族が所属する国、ジルディル帝国がこちらに向かって侵攻の準備を始めたようなんじゃ」


ああ、やっぱり…


「今の宮廷魔導師は、王国のなかでは飛び抜けた強さを誇るものの、魔族に単独で勝利できるほどのものが一人も居らぬ。そこを、なんとかお主に鍛え上げてもらいたいんじゃ」


「一つよろしいでしょうか、陛下!」


魔導師の内の一人が手をあげる。


「うむ、構わぬ」


「先程、リィ殿が魔族を討伐したようなことをおっしゃられていましたが、それは本当なのでしょうか?正直、いくら実力があるとは言っても、まだ6歳の少女にそんなことができるとは思えないのですが…」


「ああ、それは私が保証する。しかも、倒したの魔王城直属護衛軍の総司令官。それも、単独でじゃ」


「「「「「!!!」」」」」


ただでさえ単独で討伐するのは難しいと言われている魔族。

その幹部を単独で討伐したとなると、宮廷魔導師が束になってかかっても倒せない実力者。

一瞬にしてその実力差を悟った魔導師団の団員は、震え上がっていた。


「私からも質問よろしいでしょうか?」


今度は…女性の隊員である。

少数ではあるが、女性魔導師も混ざっているようだ。


「その…リィさんの適性はなんなんでしょうか?」


「ああ、リィの適性は創s…火、水、光じゃ」


「火、水、光…〔トリプル〕!!!?」


「「「「「!!?」」」」」


二度目の衝撃。


「それはもう人じゃないんじゃ…」


「失礼な!れっきとした人間ですよ!」


……………


「そういうわけじゃ。情報では、魔族が侵攻を開始するのは一週間後じゃ、それまでに頼むぞ」


「わかりました。一週間後ですね…って、一週間後!?それだけしかないんですか!?」


「まあ、お主ならなんとかやってくれるじゃろ」


「そんな無茶な…」


そういうとアリシアは、王宮の方へ行ってしまった。



「一体どうしろってのよ…」


いつもブックマークありがとうございます。

20話まで行ったら別の作品も始動しようかな…なんて。

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