みんな私が6歳って事忘れてるでしょ…。
次の日の朝。
「はぁぁぁ…学園開始早々イベントだらけだなぁ…」
『しょうがないじゃろう、フラグを毎回のように乱立してるのはどこの誰じゃ』
「返す言葉もございません…」
学園に着き、教室に入ると、
バッッ!!
…いつかのデジャヴを感じる。
席に座ると、マルラが隣で読書をしていた。
「おはよう、マルラ」
「…ああ、やっときたんですの…それじゃあ、どういう事か聞かせてもらいますわよ?」
「へ?どういうことって…」
「とぼけないでくださいまし!あなたが昨日王城に急遽呼び出されたことはこの学園の生徒は全員知ってますわよ!さあ、洗いざらい吐くのです!」
そっか…あの兵士の声量なら知れ渡っててもおかしくないか…。
しかし、まだ爵位を与えられたことは誰にも話していない。
まだ話すわけにはいかないので…
「昨日は、…ええと…その…何というか…」
言い訳をしようとするも、いざとなると言葉が出てこない。
「…わかりました。話せない事情があるのなら引きますわ」
…案外マルラはしつこくなかった。
その後、授業を一通り受け、魔法訓練の時間。
しかしこの日も初級魔法からの訓練だったので、マルラにとっては退屈な授業であった。
そして私はというと…こっそりラスターナのところに来ていた。
「ねえ、リィちゃん…」
「ん?どうしたの?」
「魔法自体は発動できるんだけど、なかなか威力が上がっていかないの…」
「んー…何でだろう…一回なんかやってみて」
「えっと…それじゃあ、【魔力球】!」
ラスターナがそういうと、不可視の魔力の球が壁にぶつかる。
そして、壁は「ドンッ」という音を立てるも、平然と立っていた。
「ほら…前にリィちゃんに教えてもらった時よりも威力が落ちてる…」
「うーん…ちゃんとイメージはしてる?目の前の自分の魔力が放たれるイメージ」
「…イメージ?」
「そう。結局魔法は最後は想像力がものを言うんだから、ちゃんとイメージしないと。こんな風にね」
そう言って私は、目の前に魔力球を生み出した。
この間のものよりもさらに禍々しく、本来不可視であるはずのその存在は、濃すぎる魔力で周囲にも異常なオーラを放っていた。
生徒の中には気絶してしまうものも…。
「こういう風に、イメージだけで魔法はいくらでも変貌するの。ほら、やってみて」
「うん…だけど、私はリィちゃんみたいに沢山魔力持ってないし…むりだよぉ…」
「そっか…ちょっと手を貸して」
「え?いいけど…」
そう言ってラスターナが右手を差し出してくる。
私はその手に自分の右手を重ね、すぐさまラスターナの魔力の解析を始める。
「あのー…リィちゃん?何やってるの?」
「…うん、解析完了」
「へ?なんの?」
「まあ見てて」
そう言って私は、自分の魔力を変換し、ラスターナに与え始めた。
初めての感覚に、ラスターナも少々困惑している様子。
「え?え!?なにこれ…身体中から力が溢れ出てくる…」
「今、私の魔力を少し分けたわ。これでもう一度魔力球を作ってみて」
「う、うん…【魔力球】」
そうすると、リィのものとまではいかないものの、少し魔力球に色がついた。
少し、だとインパクトが薄いようにも感じるが、実は少し魔力球に色をつけるだけでも、とんでもない密度の魔力が必要なのだ。
今ラスターナが作った魔力球は野球ボールくらいの大きさのものだが、この中にこのクラスの全員の魔力が集合しているくらい、といえばわかりやすいだろうか。
とにかく物凄いことなのだ。
「すごい…私の魔力球が…色付いてる…!」
「どう?感覚がわかった?」
「うん!ありがとうね、リィちゃん」
「いえいえ、どういたしまして」
……………
「でも…こんなすごい量の魔力なのに、リィちゃんにとっては少しなんだね…」
「あっ…いや、そんなこともないわよ?えーと…」
この後慰めるのに少しかかった。
……………
「今日はこれで終わります!それでは皆さん、また明日」
やっと学園が終わった。
パカラッ パカラッ パカラッ パカラッ…
馬の走る音…。
嫌な予感しかしない。
まさか…
「リィ!リィはおるか!」
やっぱりアリシアだった!
周囲の視線が集中する中、急いで彼女の元へ駆け寄る。
「これは『国王陛下』。本日はどのような…」
国王陛下と呼んだことで、アリシアも少し気を使ってくれたようで、
「うむ。本日は、頼みたいことがあって参ったのじゃ」
と言った。
「私なぞに頼み事とは…私にできることならばなんでもいたします」
「うむ。よく言った。それでは、本日をもってお主を宮廷魔導師団の総長とする」
………。
「…申し訳ありません国王陛下、よく聞き取れなかったのでもう一度お願いします」
「お主を我が国の宮廷魔導師団の総長とする」
「いやいやいや!!なんでですか!いきなりすぎるでしょう!」
もはや敬語なんて忘れて、必死に問いかける。
敬語を使わなくても大丈夫なのは、周りのものが皆衝撃で放心状態であるからというのは言うまでもないだろう。
「まあ、詳しい話は王城にてしよう。とりあえず馬車に乗れ」
「…わかりました」
(まさか2日連続で王城に出向くことになるとは…)
渋々馬車に乗り込む私。
それを見送るものは、誰一人として声を発することができなかった。
そして生徒が正気を取り戻したのは、それから一時間ほど経ってからだったそうな。
またまた微妙な切り方…。




