めんどくさくなりそうですなぁ
前回のあらすじ。
魔族登場。
突如現れた魔族に、生徒たちは大混乱。
初めて本物の魔族を目の当たりにしたリィも、少々動揺していた。
しかもその魔族の正体が、ヴィエラなのだから。
「愚かだなぁ…人間ども…ここに入って着た時点でお前らの死は確定してんだよ!フハハハハハハハハ!!」
…ヴィエラが魔族だったというのは完全に予想外。
どうにかならないこともないが…
できれば殺したくない。
どうにかならないものか…
「フヒ…フヒッ…フフフフッ…」
…ん?
「フ…ッハハハ……フ…」
…様子がおかしい。
しばらくすると声だけでなく、体の様子もおかしくなってきた。
何か…何かに抵抗しているような…
「フ……ッッ………ハ……ヤク………」
んん!?
「…ハヤク………コロシテ!!!」
…どういうことだろうか。
ヴィエラは魔族…本当に?
……乗っ取られている!?
ならなおさら、殺すわけにはいかない。
(魔法創生!対象物を完全に浄化!)
《承知。最上級浄化魔法…生成……完了。神域【パーフェクト・プリフェクション】発動》
久しぶりの魔法創生。
それなりに大魔法だったようで、体内から魔力がごっそり無くなっていく感覚があった。
しかしその分、効果は覿面。
ヴィエラの肉体から魔族を綺麗に引き剥がした。しかもかなり弱っている。
それにしても…神域魔法で倒れないとは…
「…コノ…コノワタシガ……ジョウカサレルトハ…」
喋ったぁぁぁぁぁぁ!?
「キサマ…イマノハシンイキマホウダナ…?ナゼダ…ナゼツカエル…ヒトノウツワデ!!」
…もうこの魔族は瀕死。何か攻撃すればすぐに死んでしまうような状態。
なら、教えてやってもいいだろう。
「…いいよ。教えてあげる」
(魔法創生、音声遮断)
《承知。絶【インターセプション】発動》
そして私は、魔族と私以外の音を遮断した。
「…ハハ……ココマデトハ…オドロイタナ」
「…今のが、魔法創生魔法。それが全てよ」
「…マホウ…ソウセイ!!?ソンナ…ソンナコトガ……」
「…この魔法はこの世界の理を完全に無視した禁忌。本当だったら誰にも話さないんだけど…あなたにならいいでしょう?」
「ソウダナ…ドチラニセヨモウシヌミ…ワタシノミノウエモイチオウ、キイテモラオウカ」
「……どうぞ」
「ワタシハ…ジルディル帝国、魔王城直属護衛軍総司令官、ミリス・アドマリストイウモノダ…ジットシテイルノガキライナモノデナ…チョットヒマツブシニノリウツッタツモリガ…ハハッ、トンデモナイビンボウクジダッタヨウダ…」
…ちょっと待って?
今この人…総司令官って言った?
魔王城…直属護衛軍…総司令官!!?
とんでもない偉い人じゃん!
人じゃないけど。
「…ドウシタ?コロスノデハナイノカ?ワタシハオマエノヒミツヲシッタノダカラ」
「…言われなくても今そうするわよ」
しかし、魔族とはいえ、人の形をしたものを殺すのは初体験。
すこし、心が痛むのもまた事実。
躊躇していると、
「…ヤレヤレ…コンナコトデドウスル。サッキモイッタガ、ワタシハ総司令官。オソラクワタシガシンダトワカレバ、マゾクノグンゼイガコノクニニオシヨセテクル。マゾクノイッピキヤニヒキ、カルガルトコロセルヨウデナイトイッシュンデヤラレルゾ」
「…分かってるわよ!殺せばいいんでしょ!殺せば!」
「……ハァァァァ…マゾクイッピキコロスタメニナミダヲナガストハナ…サキガオモイヤラレル」
「…え?」
気づくと、私の頬を雫が一滴伝っていた。
…本当は、殺したくない。殺す感覚なんて一生味わいたくない。
けれど…やるしかない。
「…ごめんなさい」
「…ハハッ…コノクライオヒトヨシダトギャクニスガスガシイナ…」
そう言って私は魔法を創生した。
せめて、苦しまないように死なせてあげたい。
《承知。対象の脳内麻薬の分泌量を最大に調整…完了。安楽死魔法…超絶【ヘヴンズゲート】発動》
「……じゃあね」
ミリスの意識が遠のいているのがわかる。
その後、ミリスの心臓は…完全に停止した。
最後にミリスが、「アリガトウ」と言った気がした。
……………
その後、遺体の処理を終わらせた私は、【インターセプション】を解除した。
するとそこには、未だ倒れているヴィエラとそれを取り囲む生徒の姿が。
「…ちょっとごめん…通らせて」
急いでヴィエラのもとに向かうと、顔が青白く、危険な状態に陥っていた。
周りでは上級生が、必死に回復魔法をかけているが、一向に効果が見られない。
むしろ、どんどん悪化してきている。
「…先輩、ちょっとどいてもらえますか?」
「何を言っている!入学したてのひよっこが出しゃばるんじゃない!」
小太りした男子が、偉そうな口調で答えてくる。
…ムカっとした。
「神域【ヒール・サンクチュアル】」
すぐに神域魔法を発動。
すぐにヴィエラの体は、眩い光に包まれていった。
「…なっ!?これは…神域魔法!!?そんな…バカな…!」
光の中からヴィエラが見え始めた頃には、血色もすっかり良くなり、正常な状態に戻っていた。
そのかわり、周りは騒然としている。
「えっ…今のが…神域魔法!!?」「すげー!俺初めて生で見たよ!」「当たり前でしょ!!神様しか使えないはずなんだから!」「でもじゃあ、なんであの子使えるの?」
…まずい。まずいまずいまずい!
《目撃者の記憶を削除しますか?》
お願いします!
すると、キィン…と耳鳴りにも近い音が響き、私以外の全員が倒れた。
そしてすぐに起き上がったが、もう先ほどの魔法に関しての話をしているものはいなかった。
「はぁぁぁぁぁ…助かったぁぁぁ…」
《お役に立てて光栄です》
一件落着でございます。
…と思ったら。
「失礼します!リィ・ファルスフォード様!リィ・ファルスフォード様はこちらにいらっしゃいますか!?」
突然、男の人の声が響く。
声の下にいるのは、鎧を着た兵士。
恐る恐る近づいていく。
「あのぉ…私がリィ・ファルスフォードですけれど…」
「おお!よかった!それでは早速ですが、国王の命によりあなたを王宮へ招待いたします」
………。
はあ!!?
先輩脇役ワロタ




