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〇〇は寄り道をするそうです その17

 ____みんながようやく落ち着いてきた頃、カリンがこちらに歩いてきた。

 そして、あるのかないのか分からない胸の前で腕を組みながら、こう言った。


「ねえ、ナオト。この子たち、誰? もしかして浮気? それとも隠し子?」


 俺はそのままの体勢たいせいで、こう言った。


「いや、こいつらはさっき話してた俺の家族だ。モンスターチルドレンのチエミとシズク。四聖獣しせいじゅう玄武げんぶこと、ミサキ。『黒影を操る狼(ダークウルフ)』ことウーちゃん。そして、白魔女のルルだ」


「ふーん、そうなんだ……」


 カリンは全員の顔を見終わると、こう言った。


「あんたたち、バカぁ? そんな有様ありさまでナオトを守れるの? というか、私には、ただの幼女ガキにしか見えないんだけど?」


「お、おい、カリン! 初対面でそこまで言うことはないだろう! それに、これは俺のせ……」


 その時、俺は一列横隊でカリンに敵意を向けている存在が複数いることに気づいた。

 その後、俺はスッと立ち上がった。

 先ほどまで俺の周囲にいたはずのチエミたちが全員でカリンをにらんでいるのに気づいたのは、その直後だった。


「みんなを代表して言わせてもらうけど、君は何者なんだい? さっき、ご主人と一緒に『変な球体』の中から出てきたよね?」


 ミサキは水色のショートパンツに両手を突っ込んだまま、そう言った。


「私を封印した後、ずっと眠ってたせいで私のこと忘れちゃったの? ゲンキちゃん」


 俺はミサキの方に足を運ぼうとした。

 しかし、ミサキから放たれているみょうなオーラにはばまれてしまったせいで、身動きが取れなくなってしまった。


「……ようやく思い出したよ。ふふふふ……なるほど君は僕たち『四聖獣しせいじゅう』の力を合わせて封印した【イリュウ】だったんだね。道理でさっきから体がうずくわけだ」


 カリンは、ニシッと笑いながら、こう言った。


「そう……私が暴走したせいで、あんたたち欠陥品は眠りにつくことを余儀なくされた。だけど、それはあんたたちの力がその程度のものだったってことよね?」


 その直後、ミサキから放たれていたオーラが一気にふくれ上がった。

 それはミサキの『怒り』そのものだった。


「僕は基本的には怒ったりしないんだよ。疲れるし、めんどくさいからね……。けど、どうしても我慢できずに怒りをあらわにさせてしまうことが三つある。一つ目は、『ご主人を肉体的に傷つけること』。二つ目は『ご主人を精神的に傷つけること』。そして三つ目は『仲間を他人にバカにされた時』だ!!」


 ミサキから放たれたそのオーラは周囲にいるチエミたちにも影響を与えかねないと俺は思った。

 そのため、そこよりはマシな木陰こかげにみんなを誘導ゆうどうした。


「あんたは、まだ友達ごっこをしているの? いい加減にしないと、また、ご主人に逃げられるわよ?」


「大きなお世話だ! それに、今のご主人は決して僕を見捨てたり、裏切ったりしないよ」


「へえー、大した自信ね。そんなに今のご主人のことが、す・き・な・の?」


 その時、ミサキは完全に……キレた。

 ミサキはまるで瞬間移動を使ったのかと思うくらい、地面を思い切りると、カリンにこう言いながら襲いかかった。


「『攻防一体の玄武の拳オディフェンス・ブロー』!!」


 ※オフェンスとディフェンスを合わせた言葉。

 カリンは余裕の笑みを浮かべながら、こう言った。


「その程度で私を倒せるとでも思ったの? 身の程を知りなさい。『黄竜と麒麟の(ゴールデン・)力を秘めた拳(スマッシュ)』!!」


 カリンは金色こんじきの光を右手に宿すと、ミサキに向けて放った。

 どうしてこうなったのかは今のナオトには理解しようと思っても理解できなかった。

 銀のこぶしと金のこぶしがぶつかりそうになった時、ナオトは心の中で、こう思った。

【あいつ】なら、この状況をなんとかしてくれると。

 ____そう、あいつならきっと……。ナオトが再びそのもののことを考えた、その時……。


名取式なとりしき剣術……いちかた一番……『効果(こうか)抹消斬(まっしょうざん)』」


「……!! この声は、まさか!」


 俺がそう言い終わる前に、そいつは突如とつじょとして出現した。

 その後、そいつはミサキとカリンのおへその少し上をほぼ同時に横一文字に斬り裂いた。

 どうやら、そいつが斬ったのは技の効果のようだ。

 その証拠にミサキとカリンは何が起こったのか分からないまま、疑問符を浮かべていた。


「やっと……会えたな……ナオト」


 俺の顔を見るために振り向いたその顔には見覚えがあった。

 スラっとした体はサムライというよりニンジャに近く、なぜか前髪で両目を隠している。(髪の色は黒)

 服装は黒い服と白と黒が混ざったスニーカー。

 黒いさやを腰にぶら下げているが、その中身は彼の手に握られているため、今はからである。

 そのかたなの名は……【銀狼ぎんろう】。


「なあ、名取なとり。お前、どうしてこんなところにいるんだ?」


 俺が名取の方に歩み寄ると、名取は刀をさやに収めながら、こう言った。


「それは……こっちのセリフ……だ。ここにいたら……とても危険……だぞ?」


「そうか? 少なくとも俺はそう思ってないぞ」


「どうして……そう思う?」


「それはだな……」


 俺がそう言いかけた時、先ほどまでケンカをしようとしていたミサキとカリンを含めた全員が俺たちの左側に一列横隊で集合していた。

 その後、みんなは数秒間、名取を凝視ぎょうししていた。

 まるで何かを確かめるかのように……。

 その直後、全員が同じことを言った。


『もしかして、ナオト(ご主人・我があるじ)の知り合い?』


 俺は咳払いをすると、こう言った。


「こいつは『名取なとり 一樹いつき』。俺の高校時代の同級生だ。ちなみに『名取式剣術の使い手』で学生時代、あの小宮に、二回も勝利したほどの実力者だ」


 ※ナオトが名付けたとされる名刀【鉄華丸てっかまる】を所持している小宮式剣術の使い手……小宮こみや ひかり

 俺がそう言うと名取は、こう言った。


「ナオト……やめてくれ……別に俺は……」


「ん? 別に本当のことだろう? 隠す必要なんて」


「あれは……どちらも運が良かった……ただそれだけだ」


「運も実力のうちだ。それに、もっと自信を持てって学生時代にも言っただろ?」


「それは……そうだが……」


 名取は俺に背を向けながら、そのままその場から立ち去ろうとした。

 俺は、そんな名取の手首をつかんだ。


「おい、待てよ。せっかく十年と数週間ぶりにあったんだからさ、俺のアパートに寄って行かないか?」


 名取は、そのままの状態で、こう言った。


「いや……俺には……やることが……あるから……」


「そんな固いこと言うなよ。俺の家族にも紹介したいからさ」


「か、ぞく?」


「ああ、そうだ。吸血鬼。獣人の姉妹。変身型スライム。天使。妖精。ゾンビ。ドッペルゲンガー。巨大な亀型モンスター。白魔女。湖の主。あとは、そこにいる金髪ツインテールと今も気持ちよさそうに寝ている、狐の巫女だ。みんな俺の実の娘ではないが、俺にとっては大切な存在だ」


「『か○これ』で……『ひ○き』は俺の嫁であり、俺の娘だと言っていた……お前がか?」


「そ、それとこれとは話が別だ! そ、それにお前だって『い○づま』は俺の未来の奥さんだって言ってたじゃないか!」


「初期艦選びの時に……一目ひとめれしてしまったのだから仕方ない……」


「……そ、そうか。ちなみに、ここに来る前の時点で、お前の鎮守府ユートピアは、どんな感じだったんだ? ちなみに俺は、アニメと劇場版に登場したと潜水艦は全てカンストさせてある」


「とりあえず……俺のところにいる駆逐艦くちくかんと潜水艦のレベルは……全てカンスト済み」


「……お前も好きだな」


「お前もだよ……ナオト」


 その後、名取はこちらを向いた。


「それじゃあ、お言葉に甘えさせて……もらおう……かな」


「ああ、もちろんいいぞ。みんなー! 名取と一緒に帰るけどいいかー?」


 俺がみんなの方を見ると、首を異常なまでに何度も縦に振っていたため、大丈夫なのだと知った。


「よし! それじゃあ、帰るか! 俺たちの家に!」


『おー!』


 こうして、俺たちの長い寄り道は終わ……らなかった。


「なるほど、なるほど、なーるほど。どうやらあなたが最近、モンスターチルドレンと共に何やら不穏ふおんな行動をしている人物で間違いないようですね。まったく、手間をかけさせないでくださいよ」


「だ、誰だ! いったい俺に何の用だ! おとなしく出て来い!」


 俺たちは辺りを見渡したが、俺たち以外、誰もいなかった。


「まあ、今回は単なるあいさつに過ぎませんので、ご心配なく」


「お前、何者だ。『ブ○イブルー』のテ○ミみたいな口調で話しやがって。俺が何をしたって言うんだ!」


「おやおや、まだお気づきにならないのですか? あなたが脱走したモンスターチルドレンたちと共に旅をしているのは、お見通しですよ?」


「それがどうした! 見た目と身体能力はモンスターっぽいかもしれないが、心は間違いなく普通の女の子だ! 一緒にいて何が悪い!」


「それが問題なんですよ。それに、あなたのように複数のモンスターチルドレンと契約できた人間などいませんから、どんな人物なのかを確かめておき……」


「うるさい! さっさと失せろ!」


「やれやれ、仕方ありませんね。では、今回はこの辺にしておきましょうか」


「おい! 名前くらい教えろよ! また会った時になんて呼べばいいか困るだろ!」


「……それもそうですね。いいでしょう。今回は特別にこの天才の名をお教えしましょう! コホン、私は、とある裏組織の頭脳担当である『グレー・アイランド』と申します。あっ、ちなみに私の他に、『ブラック・ダイヤモンド』と『グリーン・コンペア』と『レッド・ネーム』という兄弟がいますから、そちらも覚えてくださいね? ではでは、お達者たっしゃでー」


「あっ! こら待て! まだ話は終わって……」


「……もう行ったようだぞ……ナオト」


「そう……だな。悪いな、久しぶりに再会したのに、なんか厄介なことに巻き込んじまった」


「それはいい……それよりもあいつらの名前から……分かったことがある」


「おっ、奇遇きぐうだな。俺もだ」


 俺たちは、同時にこう言ってからアパートに向かった。


『やつらの名前を考えたやつは『金○型四姉妹』を知っている人物で間違いない!!』


 それを聞いていたチエミたちは、この二人の思考回路はかなり似ているなーと思いながら、アパートに帰り始めた。

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