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〇〇は『赤き雪原』で…… その4

 なんでカオス様は俺のことが好きなんだろう。


「あ、あのー」


「な、何ですか?」


「どうしてカオス様は俺のことが好きなんですか?」


「わ、私が生まれて間もないあなたを見た時、私は生まれて初めて見ただけで絶頂しました」


 ええ……。


「は、はぁ、そうなんですか」


「そ、それからずっと私の頭の中はあなたのことでいっぱいです。今も、そしてこれからも」


「え、えーっと、つまり、カオス様は生まれたばかりの俺に一目惚れしてしまったというわけですね?」


「そ、そんなはっきり言わないでください。恥ずかしいです」


 うーん、かわいいけど、全身影みたいに真っ黒だから表情分からないんだよなー。


「えっと、残念ながら俺には心が決めた人がいるのでカオス様の恋人にはなれませんよ?」


「そ、それは白の神『アイ』のことですね?」


「はい、そうです」


「あ、あの子はモンスターチルドレンという名のこまを使ってあなたの子どもをたくさん産ませるつもりです」


「え? それは本当ですか?」


「ほ、本当です。幼女をモンスターチルドレンにする薬の中に入っている彼女の血が動かぬ証拠です」


 そうか……。アイ先生、俺との子どもたくさん欲しいのか。


「あ、あと、彼女は気づいていませんが、全てのモンスターチルドレンがあなたを好きになるのはその血に入っている彼女のあなたに対する『恋心』が全てのモンスターチルドレンに植え付けられているからです」


「なるほど。つまり、モンスターチルドレンは少子高齢化対策として生み出されたわけじゃなくて、実は俺とアイ先生の子どもをたくさん産ませるために作られた存在だということですね」


「は、はい、そういうことです」


「けど、その薬のせいでカオス様のように真っ黒になった子たちがたくさんいますよね? あの子たちはどうしてモンスターチルドレンになれなかったんですか?」


「え、えーっと、まず処女じゃないとモンスターチルドレンにはなれません。あと、心身共に健康じゃないとダメです」


「へえ、でも、それって、だいたいの子は大丈夫ですよね?」


「ま、まあ、そうですね。しかし、最後の条件が結構きついのです」


「最後の条件?」


「は、はい。それは『あなた以外の異性を一生、二足歩行している何かだと認識できるかいなか』です」


「あー、それは結構きついなー」


「ま、まあ、そうですね。しかし、モンスターチルドレン同様、あなたの心臓を不適合者たちに食べさせればみんな元の人間に戻れます」


「そうなんですか!」


「は、はい。なので、なるべく早くここから出た方がいいです」


「分かりました! では、失礼します!」


「だ、ダメです! あなたは私のものなんですからここから出たらダメです!!」


「ええ……いや、でもなるべく早くここから出た方がいいって」


「そ、それはそれ! これはこれです!!」


「じゃあ、どうすればいいんですか?」


「あ、あなたは私と一生イチャイチャしてればいいんです!」


「イチャイチャですかー。うーん、じゃあ、側室でどうですか?」


「う、うーん……ちょっと考えさせてください」


「はい、分かりました」


 今のうちにここから出ようかなー。あー、でも多分カオス様の許可がないと出られないようになってるだろうから出たくても出られないなー。


「う、うーん……じゃあ、私と一つになってください」


「え?」


「そ、そうすれば、私はずっとあなたといられますし、あなたの体の中であなたを感じながら一生生きられますし、それにあなたの体の中には色々いますから退屈しないと思います」


「分かりました。じゃあ、さっそくやりましょう。あっ、それの副作用って何かありますか?」


「ふ、副作用ですか? えーっと、特にありませんね。まあ、一体化に限らず無許可で私に何かしようとしたらこの空間に食べられてしまいますが」


「へ、へえ、そうなんですかー」


 恐ろしいな……。まあ、原初の神がいる空間だからそれくらいの機能があっても不思議じゃないな。


「え、えっと、今すぐあなたの中に入ってもいいですか?」


「別に構いませんが、どこから入るんですか?」


「あ、あなたの心から入ります」


「心ですか。それってどのへんにあるんですか?」


「こ、心の入り口は胸骨付近にあります。まあ、他にも入り口はたくさんあるので心の入り口はほぼ全身にあると思ってください」


「はい、分かりました」


 そんなにあるのか。隙だらけじゃないか。


「え、えっと、では、失礼します」


「はい、どうぞ」


 うーん、ちゃんと一体化できたのかなー? 全然実感ないなー。


「カオス様ー、ちゃんと一体化できましたかー?」


「は、はい! ちゃんと一体化できました! 特に異常はありません!」


「分かりました。えっと、この空間の出口ってどこにあるんですか?」


「そ、それはあなたの目の前にあります! 扉を開けるような動作をすれば出られます!!」


「ありがとうございます。えーっと、こうかな? おっ、開いた。えーっと、もうここから出ても大丈夫ですか?」


「は、はい! 大丈夫です! え、えーっと、す、末永くよろしくお願いします!!」


「はい、こちらこそよろしくお願いします」


 その後、俺は……いや、俺たちはミノリ(吸血鬼)たちの元へと向かい始めた。

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