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〇〇は『赤き雪原』で…… その3

 あれ? サウナとか風呂に入った覚えないのになんか体が火照ほてってるな。うーん、まあ、いいか。おっ、もうそろそろラスボスがいる場所に着きそうだな。なるべく早く帰れるといいなー。


 *


 ラスボスの……。


「よっと……。あれ? 誰もいない。というか、広いなここ。しかも、どこ見ても白しかない」


「こ、こんにちは」


 耳元でささやいてほしいくらい可愛らしい声と共に俺の目の前に現れたのは黒いワンピース(?)を着ている全身が黒い幼女だった。


「あー、こんにちは。えーっと、君は」


「わ、私は混沌こんとんの神、かおちゅ……い、いひゃい! 舌噛んじゃいました!!」


 カオス様、緊張してるのかな?


「カオス様、大丈夫ですか?」


「す、すみません。誰かとしゃべるの久しぶりで」


 あー、それなんか分かるわー。まあ、引きこもってないとそんな状態にはならないけど。


「そうなんですか。まあ、ゆっくりでいいので俺に色々話してください」


「は、はい。えーっと、私は原初の神なので色々なものを生み出しました。奈落のタルタロス、大地のガイア、愛と欲望のエロース、暗黒のエレボス、夜のニュクス。あとは黒の神と白の神と『はじまりシリーズ』です」


 前半はまあ、いいとして。後半ちょっと分からないな。


「そうですか。ところで黒の神と白の神、あと『はじまりシリーズ』って何ですか?」


「く、黒の神はあなたの母親である『アユミ』です」


「えっ!? そうなんですか!?」


「は、はい、そうです。もしかして知らなかったんですか?」


「初耳です。人じゃないってことは知ってましたけど、そんな上位の存在だってことは知りませんでした」


「そ、そうですか。ちなみに白の神はあなたの高校時代の先生だった『アイ』です」


「えっ!? アイ先生も神だったんですか!?」


「は、はい、そうです。つまり、あなたは黒の神の子どもであり白の神と共に高校時代を過ごし、なおかつ生まれて初めて白の神に限りなく一割に近い力を出させ、しかも結果的に勝利した唯一の存在なのです」


 アユミさんがくしゃみをした時に飛んだ唾液だえきから複数の闇系の神が生まれたことは黙っておきましょう。


「そ、そうだったんですか。俺が神の子ども……。うーん、でも、なんか全然実感ないなー」


「な、なくて当然です。あなたはただの神の子どもではないのですから」


「え? そうなんですか?」


「は、はい、そうです。まあ、その話は『はじまりシリーズ』の話が終わってからにしましょう」


 はじまりシリーズ。いったいどんな化け物なんだろう。


「え、えっと『はじまりシリーズ』は地球という星を長生きさせるために私が作った存在のことです」


「へえ、そうなんですかー。ちなみにどんなのがいるんですか?」


「え、えっと『はじまりの果実』、『はじまりの針女はりおなご』、『はじまりの座敷童子』、『はじまりの吸血鬼』なんかがいます」


「なるほど。ちなみに、それらを作るきっかけってありますか?」


「え、えっと、きっかけは特にありません。何か作りたいなーと思ったらいつの間にかできていたんです。『はじまりシリーズ』という私の作品が」


 へえ、そうなんだ。


「なるほど。そういうことでしたか。ところで俺っていったい何なんですか?」


「え、えーっと、あなたは蛇神じゃしんの心臓と黒の神と人と花の妖精たちによって構成されている存在です」


「へえー、そうなんですかー。ん? 花の妖精たち?」


「は、はい、あなたの体の中にある蛇神じゃしんの心臓は神を殺せるほどの猛毒を生成してしまうので花の妖精たちの力がなければ、あなたは生まれたその日に死んでいました」


 そ、そうだったのか……。


「な、なるほど。ちなみにその花の妖精たちは今も俺の中にいるんですか?」


「は、はい、今もいます」


「そうですか。えっと、その花の名前は分かりますか?」


「え、えっと、クロユリとキョウチクトウとタンジーです」


「あー、誕生花かー。えーっと、クロユリの『呪い』とキョウチクトウの『危険』な毒で『呪毒』を作って、それをタンジーの力で『抵抗』力に変えて例の毒を中和させたって感じなのかなー」


「せ、正解です。よく分かりましたね」


「なんとなくそう思っただけですよ。えっと、ちなみにカオス様はラスボスなんですか?」


「ち、違います! 誰がそんなこと言ったんですか!!」


「アイ先生です」


「そ、そうですか。まあ、たまにラスボスというキャラ名で神々とゲームをしていますから間違いではありませんが。と、とにかく! 私はあなたと戦うつもりはありません!」


「本当ですか?」


「ほ、本当です!」


「じゃあ、今すぐ俺をみんなのところに転送してください」


「そ、それはできません!」


「どうしてですか?」


 カオス様は俺をギュッと抱きしめると涙を流しながら、こう言った。


「あ、あなたを私だけのものにしたいからです!!」


「……え?」


 いやいや、なんで俺なんかを好きになるんだよ。あー、そういえば、カオスに配偶神いないなー。もしかして、そろそろ結婚したくなったのかな?

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