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〇〇は『赤き雪原』にある洞窟に向かうそうです その22

 誕生石たちの試練は終わったが、新たな試練が俺の目の前に立ち塞がった。ちなみにそれはミノリ(吸血鬼)のことだ。


「な、なんでお前がここにいるんだ?」


「なんで? そんなの決まってるじゃない。あんたがあたしたちにろくな説明もせずに家からいなくなったからよ!」


「そ、そうだったな。ごめん……」


「ごめんで済むと思ってるの?」


「いいえ、思っていません」


「そう。なら、あたしの奴隷になりなさい」


「え? 奴隷?」


「ええ、あんたは死んでもあたしの奴隷よ」


「そ、それはちょっと……」


「なに? いやなの?」


「いや、嫌というかちょっとそういうのはやりたくないというか」


誕生石たち(そいつら)とは色々やってたクセに」


「え? なんだって?」


「ここでのあんたの様子は一部始終見てたって言ったのよ。まさかとは思うけど、あたしの水晶の性能、忘れてないわよね?」


「忘れてないよ。えっと、俺をミンチにする前に誕生石たちを体内に取り込んでもいいか?」


「ええ、いいわよ」


「ありがとう、ミノリ。ということで、みんな俺の中に入ってくれ」


 誕生石たちはミノリ(吸血鬼)から溢れ出ている冷たい殺気に気づいていたが、気づいていないフリをしていた。多分そうしないと一撃で破壊されてしまうと思ったからだろう。


「……終わった?」


「ああ、終わったぞ」


「そう。じゃあ、覚悟はいい? まあ、あんたがどんな状態でもミンチにするんだけどね」


「だろうな。あっ、そうだ。おい、チエミ。しばらく洞窟ここから出ておいた方がいいぞ。俺、今からミノリにミンチにされるから」


「は、はい! 分かりました!!」


 よし、これでもう誰も邪魔できないな。


「ミンチにする前に言っておくけど、今のあたし手加減できないわよ」


「ああ、いいぞ。思い切りやってくれ」


「そう。じゃあ、遠慮なく……」


 俺は彼女の怒りを心身で受け止めた。たった数時間家を開けただけでこんなに怒るってことは浮気なんかしたら間違いなく殺されるだろうな。

 俺の意識が戻った時、俺の目の前には俺の真っ赤な体液で真っ赤に染まったミノリ(吸血鬼)の姿があった。


「もういいのか?」


殴打おうだの時間は終わったわ。でも、今からもっとひどいことするわよ」


「それって吸血だろ?」


「ええ、そうよ。よく分かったわね」


「当然だ。今、俺の目の前にいるのは吸血鬼なんだから。さぁ、早く俺の血を吸え。もう我慢できないんだろ?」


「よく分かってるじゃない。それじゃあ、いただきます。はむっ!」


 全身の細胞が悲鳴を上げている。特に痛いのは首筋だ。なぜなら彼女のきばが俺の首筋に突き刺さっているからだ。


「……ごちそうさまでした」


「……やっと……終わったか」


「ええ、終わったわよ」


「そうか……」


「一人で立てそう?」


「無理……だ」


「そう。じゃあ、あたしがおんぶしてあげるわ」


「おう……頼む」


 ミノリ(吸血鬼)は干物になってしまった俺を巨大な亀型モンスターと合体しているアパートの二階にある俺の部屋の寝室のベッドまで運んでくれた。


「ナオト、大丈夫?」


「大丈夫だ……。明日になったらきっと元に戻ってる」


「でしょうね。それじゃあ、おやすみなさい。ナオト」


「ああ、おやすみ……ミノリ」


 あー、そういえば明日から五月だなー。

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