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〇〇は『赤き雪原』に向かうそうです その154

 よし、気になるから教えてもらおう。俺はキミコ(狐の巫女)になぜ獣人型モンスターチルドレンは多重人格なのかをたずねることにした。


「なあ、キミコ」


「なんだ?」


「どうして獣人型モンスターチルドレンってみんな多重人格なんだ?」


「さて、どうしてだろうな。生みの親がそうなるようにしたのか、モデルになった獣たちの魂の叫びが影響しているのか。詳しいことは分からないが、これだけは分かる。私たちは皆、そうなりたくてなったわけではないということだ」


 人間の場合、ストレスだったり自己防衛をするために普段の自分とは違う人格が形成されるって噂を聞いたことがあるけどモンスターチルドレンの場合はどうなんだろうな。


「そっか。それで、今のお前はいったい誰の人格なんだ?」


「さて、誰なんだろうな。まあ、この狐の巫女に吸収された七人のうちのどれかだろうな」


「そっかー。あー、えっと、マナミとシオリの合体について何か知っていることがあったら教えてほしいんだけど」


「あの二人はすごい。しかし、あの二人だけではあんなことできなかった。ナオト、あれはお前がいたからこそできたことだ」


「え? そうなのか?」


「ああ、そうだ。そもそも合体というのはお互いを信頼し合っていないとまずできないと私は思う。しかし、それだけでは足りない。他にトリガーになるようなものがなければできない。そう、たとえば愛する者の温もりや愛、そういうものがなければきっと成功しない」


「え、えーっと、俺は二人のこと家族としては好きだけど、愛してはいないかなー」


「そうか。しかし、お前はお前が思っている以上に皆にとって大切な存在だ。そんなお前が酷い目にったり傷ついたり死んだりしたらどうなると思う?」


「えーっと、怒ったり悲しんだりするのかな?」


「違う。心のかせくさりが外れて暴走するんだ」


「う、うっそだー。そんなことあるわけ」


「私たちの体の中には『五帝龍』の力が宿っている。これが何を意味するのか、私が言わなくても分かるだろう?」


「精神が不安定になると力が暴走する、とかか?」


「正解だ。まあ、要するにモンスターチルドレンとは世界を滅ぼせる力を持っている爆弾のようなものだということだ」


「あ、あのー、そんなのがうちに十人以上いるんですが」


「そうだな。いくらなんでも好かれすぎているな。もしかするとモンスターチルドレンは皆、お前を好きになるようにできているのかもしれないな」


 いやいや、そんなことないだろ。ないよな?


「少し話が脱線したな。では、これから合体についての注意事項を伝える。分からないことがあればいつでも質問してくれ」


「あ、あのー」


「なんだ?」


「キミコは今、眠ってるのか?」


「さて、どうだろうな。獣人型モンスターチルドレンは一人につき必ず二つ以上の人格を持っているし私たちはこうして一つになってしまったから、正直誰がどの人格なのか分からないんだ」


「そっか。じゃあ、自分のことをわらわって言ったり俺のことをお兄ちゃんって呼んだりしていたやつは」


「この狐の巫女の中にある誰かの人格だが、誰のものかは分からないな」


「そっかー。でも、どのキミコもかわいいからもっとさらけ出してほしいな」


 なるほど。こいつはさらっと乙女の心に響くようなセリフを言えるやつなんだな。


「お前、面白いな」


「え?」


「いや、なんでもない。では、注意事項を伝えるぞ」


「おう」

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