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〇〇は『赤き雪原』に向かうそうです その141

 暴走した固有武装を倒してミノリ(吸血鬼)の体の中に戻さなければならないのだが、やつはミノリ(吸血鬼)の体の一部であるためかなり強い。

 このままではいつまで経ってもやつを倒せないと悟ったミノリ(吸血鬼)は自分の全力をやつに叩き込むことにした。


「これがあたしの全力よ! くらいなさい!」


 ミノリ(吸血鬼)が自身の血で作った日本刀の切っ先は確実に雲の上まで届いていた。

 触れずとも分かる。この刀に触れたら確実に切られる。

 俺はその日本刀とそれを頭上で構えているミノリ(吸血鬼)の姿に圧倒されていた。

 こ、これが、ミノリ(吸血鬼)の全力……なのか。

 確実にやつを倒すという気迫がひしひしと伝わってくる。

 ミノリ(吸血鬼)が味方で本当に良かった。

 あんなの受け取められる気がしない。

 あんなのくらったら、ひとたまりもない。

 おそらく万物を断ち切るであろう鮮血の大太刀が今、やつを断ち切ろうと動き始めた。


「フルパワー……!!」


 やつの頭上にその刀身がジリジリと近づいていく。


「ブラッドォオオオオオオオ……!!」


 やつは逃げも隠れもせず両手でそれを受け止める構えをした。

 嘘だろ!? こんなバカでかい刀を受け止められるわけがない!!

 あいつはバカなのか!? 死にたいのか!?

 ミノリ(吸血鬼)が渾身の力を使ってその大太刀を振り下ろす。

 彼女の叫び声と共にこの世の全てのものに「あたしの全力でこいつを絶対に断ち切る!」という強い決意が身体中を駆け巡った。


「ブレェエエエエエエエエエエエエエエエエド!!」


全身全霊全力鮮血刀フルパワーブラッドブレード』。

 ミノリ(吸血鬼)が放った渾身の一撃。

 誰もくらいたくないその一撃は当たれば確実に切られる絶対断裁、略して絶断。

 その一撃を受け止めようとしているのは暴走しているミノリ(吸血鬼)の固有武装。

 彼女の体の一部でありミノリ(吸血鬼)の武器でもある彼女の欲望から生まれた存在。

 まあ、いくらやつでもこれをどうにかできるほどの力は持っていない。

 防ぎようのない一撃。

 敵を倒すという目的を果たすためだけに作られた殺意のかたまり

 そんなものを向けられたら大抵のやつは戦意を喪失する。

 しかし、例外がないわけではない。

 そう、今まさにそれをどうにかしようとしているやつが俺とミノリ(吸血鬼)の視界にいる。

 さぁ、見せてくれ。

 お前の全身全霊全力の足掻あがきってやつをさ。

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