表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

363/420

〇〇は『赤き雪原』に向かうそうです その132

 俺がナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)と共にアジトまで戻ってくると、玄関にうるさい吸血鬼がいた。


「ただいまー」


「おかえりなさい、ナオト。シャドウに何かされなかった?」


 は? 俺がそんなことするわけねえだろ。

 こいつは……ナオトは死にたくても死ねないんだから。


「え? あー、うん特に何も」


「そう。なら、確かめさせて」


「え? 確かめるって、どうやって?」


「そんなの決まってるじゃない」


 ん? こいつはいったい何をする気なんだ?


「あー、えーっとシャドウがとなりにいるんだが」


「だから?」


「いや、だからその……は、恥ずかしいから玄関じゃなくてお前の作業部屋か寝室でしてほしいなー……なんて」


 ミノリ(吸血鬼)頼むから俺の言う通りにしてくれ。


「うーん……無理! あーむっ!!」


「ちょ! いきなり噛みつくなよ! ビックリするから!」


 吸血鬼は吸血衝動にあらがうことができない。それは知っていた。

 けど、こんなにおいしそうに血を吸うものなのか?

 もっとこう血を吸い尽くす勢いで吸うものだと思っていたのだが。


「まったく、少しは慣れなさいよ。あっ、もしかして血を吸われるのが気持ちよくなっちゃったの?」


「そ、そんなことあるわけないだろ! まったくお前って本当に意地悪だよな」


「意地悪? あたしはただ、あんたの反応が面白いからからかってるだけよ」


「そ、そうなのか?」


「ええ、そうよ」


「そうか。なら、大目に見てやろう」


「ありがとう。あと、ごちそうさま」


「ど、どういたしまして」


 何なんだ? こいつら。

 まるで恋人みたいだ。

 まあ、俺は今まで誰とも付き合ったことはないが。

 べ、別にうらやましくはない。

 そんなこと、あるわけ……ない。


「シャドウ、おーいシャドウ。何ボーッとしてるんだ?」


「え? あー、すまない。少し考え事をしていただけだ」


「そうか。なら、いいんだが」


 ナオトはそう言うと気絶しているモンスターたちを台所まで運び始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ