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〇〇は『赤き雪原』に向かうそうです その122

 四月二十五日……朝八時……。


「みんな、おはよう……って、まだ寝てたか」


 昨日の夜、みんな交代で見張りをしていたからな。

 眠くなるのは当然だ。

 みんなが目を覚ますまで何をしようかなー。

 うーん、外で体操でもしようかな。

 俺はみんなを起こさないように静かに部屋を出た。


「今日はいい天気だなー。絶好の洗濯日和(びより)だ」


 俺は屋根の上までジャンプすると遠くを見つめた。


「うーん、うまそうなモンスターはいないな。まだ寝てるのかな?」


 俺がそんなことを言った直後、黒い槍が俺めがけて飛んできた。


「おっと危ない。誰だ? 朝っぱらからこんなものを人に向かって投げたやつは」


 俺がそれを片手で受け止めるとそれは持ち主の元へと戻っていった。

 黒いマフラーのようなもので口元を隠し、全身を黒い衣服で覆い隠している小柄な人物はその黒い槍を黒い小太刀こだちに変形させた。


「俺に何か用か? 俺のファンってわけじゃなさそうだが」


 逆立った黒い髪。ちゅうに浮いているということは風魔法が使えるのかな?


「俺は賞金稼ぎ『影使いのシャドウ』。この世界にわざわいをもたらす存在であるお前の首をもらいに来た」


「なるほどな。でも残念だったな。奇襲は失敗に終わったぞ」


「昨日からずっとお前を見張っていた。お前を倒すために俺は思いつく限りの策を講じてきた。お前は今日、ここで死ぬ」


 こいつは賞金稼ぎというか暗殺者っぽいな。


「お前の目の前にいるのは人の形をした化け物だ。首を切断したり心臓を貫く程度じゃ、すぐ再生するぞ?」


「知っている。例の大会を見ていたからな」


 例の大会? あー、ケンカ戦国チャンピオンシップのことか。

 なつかしいなー、あの大会のおかげで結構強くなったもんなー。


「そっかー。見てたのかー。嬉しいなー。けど、あの大会に参加したせいで俺は賞金首になっちまったんだよな」


「バカなやつだ。おとなしく負けていれば見逃していたのに」


「それは無理だな。俺は負けず嫌いだから」


「そう、お前は負けず嫌いだ。そして仲間や家族を傷つけられると激怒する」


 しまった! こいつの狙いは俺だけじゃない!

 みんなにこのことを伝えないと!


「動くな!」


「ぐっ……!」


 そいつがはなった小太刀こだちが俺の足元の影に刺さる。

 その直後、俺は身動きが取れなくなった。


「少しでも動いたら、お前の部屋で寝ている化け物共の命はないと思え。まあ、ろくに動けないだろうが」


「いやあ、すごいなー。お前、俺のことよく研究してるんだなー」


「当然だ。無策でいどんでも返り討ちにされるだけだからな」


「うん、まあ、俺の首を狙っていると言ってみんなから注意をらしたところとか、俺の動きを封じるところとかはなかなか良かったな。けど、お前は奇襲に失敗した。その時点でお前の負けは確定している」


「何? ならば、お前はこの絶望的な状況をどうにかできるのか?」


「できるよ。よし、それじゃあ、今からそれを証明してやろう」


「ふん、やれるものならやってみろ」


 言ったな? よおし、やってやろうじゃないか!

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