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〇〇は『赤き雪原』に向かうそうです その120

 アパートを甲羅の上まで運ぶと俺はアパートの屋根の上に座った。


「いやあ、結構重かったなー。まあ、例の空中要塞より軽かったけど」


「ナオトー、生きてるー?」


「おう、生きてるぞー」


 俺がそう言うとミノリ(吸血鬼)は俺の手を触ったり胸を触ったりした。


「な、なんだ? 俺は別にどこも悪くないぞ?」


「あんたねー、もう少し自分の体に興味を持った方がいいわよ。あっ、別にナルシストになる必要はないわよ。あんたがそうなったら普通に引くから」


「お、おう」


 こいつが言いたいことはなんとなく分かる。

 要するに自分の体のメンテナンスをおこたるなということだ。


「で、でもさ、俺はもうお前らと似たようなものなんだぞ? 今さらそんなことしなくても……」


「甘い! 甘すぎる! あんたはこの世にたった一人しかいないんだから、もう少し危機感持ちなさいよ!」


 うーん、頭では分かってるつもりなんだけどな。

 でも、やっぱりこうして誰かに言われると気をつけないといけないなーって思えるな。


「そう、だな。そうだよな。ありがとう、ミノリ。俺、少し調子に乗ってたよ」


「分かればいいのよ、分かれば。で? これからどうするの?」


「うーん、そうだなー。今日はこれ以上進めないから服作りに専念するよ」


「分かったわ。じゃあ、あたしは先に戻ってるから」


「ああ、分かった」


 彼女が部屋に戻った直後、嫌な気配を感じた。

 誰かが俺を探しているのか? それとも部屋にいる誰かを狙っているのか?

 どちらにせよ警戒しておいた方がいいな。

 俺はそれに気づいていないフリをしながら部屋に戻った。

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