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〇〇は『赤き雪原』に向かうそうです その68

 服を作る際に必要となる『イビルシープ』の体毛をゲットするためにナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)とその仲間たちは久々に地上に舞い降りた。


『メェー! メェー!』


ひつじさーん、おとなしくしててくれよー」


 彼が野生の『イビルシープ』の群れに近づくと、ひつじたちは全力で彼から離れ始めた。


「えっ?」


 彼が別のひつじたちの群れに目をやると、その群れも一斉に彼から離れ始めた。


「んー?」


 彼が別の群れに目を向けると同時に、その群れに突進し始めると、その群れも他の群れと同じ行動を開始した。


「……ううっ……どうして、逃げるんだよ。お前たちは時間がてば経つほど、強くなるんじゃないのかよ」


 彼が四つん這いになっていると、シオリ(白髪ロングの獣人ネコ)が彼の肩に手を置いた。


「ナオ兄、どうしたの? 疲れたの?」


「いや、違うよ。なんか俺が近づくと、ひつじたちが逃げていくんだよ。俺は『ワ○パチ』かよ」


「うーん、じゃあ、逆にそれを利用すればいいんじゃないのかな?」


「逆にそれを利用する?」


「うん、そうだよ。シャチみたいにジリジリと獲物を追い詰めていって、獲物が弱るまで獲物をボールみたいに扱って、弱ったところを」


「待て待て待て。俺はそこまでやろうとは思ってないぞ?」


「えっ? そうなの?」


「ああ、そうだ」


「そっか。じゃあ、追い詰めるところまでやってみようか」


「そうだな。何事も挑戦してみないと、どうなるのか分からないよな」


 彼はスッと立ち上がると、中規模の群れに目を向けた。


ひつじさんたちー! 俺と戦おうぜー!」


 彼が走り始めると、ひつじたちは彼から全力で逃げ始めた。


「待て待てー!」


『メェー!』


「逃げるなー! 戦えー!」


『メェー!』


「クソー! どうして逃げるんだよー!」


 彼が群れに追いつき、ひつじたちの群れの周りを走り始めると、ひつじたちは急停止した。


「マナミちゃん、マナミちゃん」


「ん? どうしたの? シオリちゃん」


 シオリがマナミ(茶髪ショートの獣人ネコに声をかける。

 彼女はナオトの方を指差して、そのことを伝えた。


「えっと、シオリちゃんはあれが何か知りたいの?」


「うん」


「え、えーっと、あれはたしか……」


「追い込み漁よ」


 そう言いながら、二人のところにやってきたのはミノリ(吸血鬼)だった。


「そ、そうそれです!」


「どれだけ大きな生物だろうと、行動範囲をせばめてしまえば狩るのは容易よ。まあ、ナオトはそんなことこれっぽっちも考えていないだろうけどね」


 彼女がそんなことを言うと、ナオトが気絶させたひつじたちを大量に運んできた。


「大量! 大量!」


「そうね、大量ね」


「えーっと、一匹、二匹、三匹……」


「マナミちゃん、寝ちゃダメだよ」


「あっ、そうだったね。ありがとう、シオリちゃん」


「どういたしまして」


 シオリはそう言うと、ひつじの体毛にダイブした。


「もふー♪」


「そうだなー。もふもふしてるなー。いやされるよなー」


 彼がひつじの体毛を枕にしていると、シオリもそれをマネした。


「ちょっと二人とも。まだまだ体毛が必要なんだから寝ちゃダメよ……って、もう手遅れみたいね」


「そうですね。もう二人は夢の中みたいですね」


「はぁ……仕方ないわね。マナミ、他のみんなに伝えて。ナオトとシオリが起きるまではりを続行するって」


「分かりました!」


 マナミはそう言うと、目にも留まらぬ速さで走り去った。


「体はともかく精神年齢までおさなくなられたら困るんだから、しっかりしてよね」


 彼女が彼の頬を指でつつくと、彼は「んなぁ……」と言った。

 彼女はしばらくそれを何度も繰り返し行っていたという。

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