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〇〇は『赤き雪原』に向かうそうです その58

 四月二十二日……午前十時……。

 ナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)は寝室で『個人面談』をしている。


「え、えーっと、じゃあ、始めようか」


 彼が水色のショートヘアとテニスウェアのような服と水色の瞳が特徴的な『トワイライト・アクセル』さんにそう言うと、彼女はニコニコ笑いながら元気よく返事をした。


「はい! いいですよ!」


「……はぁ……まあ、あれだ。最近、困ってることとかないか?」


「うーん、特にないですね」


「そうか。じゃあ、俺にして欲しいことは……」


「あります! たくさんあります! そして、できればそれらを全てして欲しいです!」


 トワイライトさんが彼に迫ると、彼は苦笑した。


「そ、その……できれば、一つにして欲しいなー」


「えー、そんなー。別にいいじゃないですかー。他の子たちより要求が多くてもー」


「……あのなー、そういうわけにはいかないんだよ」


「えー、どうしてですかー?」


「それはな、そんなことをしたらふすまの向こう側で聞き耳を立ててるミノリたちが暴走する可能性があるからだ」


「あはははは! ナオトさん、それは大袈裟おおげさですよー。あの子たちがそんなことするわけないじゃないですかー」


「いや、そうとも限らないから言ってるんだよ。いいか? あいつらは普通、俺たちが勝てるようなやつらじゃないんだよ。見た目は可愛い女の子でも、一度暴れ出したら手に負えないような存在だ。というか、あんたもそれくらいは知ってるだろ?」


 彼がそう言うと、トワイライトさんは少しうつむいた。


「ええ、もちろん知っていますよ。あの子たちの圧倒的な強さは。でも、恋する乙女にとっては、そんなことどうでもいいんですよ。見た目や強さなんて、ただの飾りです。大事なのは、その人のことを一途に思う『好き』という気持ちの大きさがどれほどのものかというだけです。相手にそれをどのように伝えるか、ライバルたちをいかに出し抜くかが重要なんです。こいというのは、いわば戦争なんですから」


 彼は彼女がまともなことを言ったため、少し感心した。


こいは戦争か。なるほどな、たしかにそうかもしれないな。けど、俺はみんなと仲良くしたいから、できるだけ争わないで欲しいな」


「ナオトさんは、お人好しですねー。まあ、そういうところがいいんですけど……」


「えっ? そうなのか?」


「はい、そうですよ。ということで、まずは服を脱いでください」


「おう、分かった……って、誰が脱ぐか! まったく、せっかくいい雰囲気になってたのに台無しじゃねえか!」


「まあまあ、そんなに怒らないでくださいよ。ほら、バンザーイ!」


「はーい! ……って、俺を子ども扱いするな! 今はこんな見た目だけど、俺は立派な大人なんだぞ!」


「へえ、童貞で恋愛経験ゼロで彼女いない歴=年齢の人は立派な大人なんですねー」


「うっ! そ、それは……」


 彼が彼女から目をらした瞬間、彼女は彼の背後に一瞬で移動した。


「はい、つーかまえたっ!!」


「なっ! し、しまった! く、くそ! 離せ!!」


「ふふふふ……離しませんよー。こんな機会、あと何回あるか分かりませんからー」


 彼がもがけばもがくほど、トワイライトさんは彼をギュッと抱きしめる。


「く、くそ! 離せ! ショタコン! 俺があんたの言いなりになるとでも思っているのか!」


「いえ、そう簡単にナオトさんを攻略できるなんて思っていませんよ。でも、やろうと思えば逃げられますよね? ねえ、ナオトさん。もしかして……期待してるんですか?」


「そ、そんなわけないだろ! 俺があんたに期待なんて」


 彼女が彼の左耳に近づき、優しく甘噛みすると彼は小さくねた。


「ひゃん!? や、やめろ、左耳は弱いんだ……」


「あー、いいですねー。その涙目になりつつ、快楽を我慢している顔。私、とっても幸せですー」


「くっ! この変態! ショタコン! 痴女ちじょ!」


「あー、いいですねー。もっとののしってくださいー。ものすごく気持ちがいいのでー」


「あ、あんたはショタコンの上にドMなのか? まったく、あんたは救いようのない変態だな!」


「あー、もうー、好き! 可愛い! 今すぐ○○したり、○○したいですー!」


「だ、誰か助けてくれー! 年上に犯されるー!」


 彼がそう言うと、彼女は彼を抱きしめたまま、横になった。


「お、おい! いったい何をするつもりだ! 離せ!」


「ナオトさん、私のお願いを聞いてくれるんですよね?」


「え? あー、まあ、そうだな。ただし! あんまり過激なことはするなよ!」


「分かってますよー。では、このまま私の抱き枕になってください」


「はぁ? だ、抱き枕? まさかとは思うが、俺に変なことをする気じゃないだろうな?」


「正直に言うと、したいです。でも、しません。それでナオトさんがいやな思いをすることくらい分かってますから」


「そうか……」


「はい……」


「じゃあ、その……なんだ……。少しの間だけだからな?」


「はい、もちろんです。ムギュー!」


「あっ! こら! あんまりくっつくな! ……って、もう寝たのか。はぁ……やれやれ」


 彼はため息をくと、少しの間だけ彼女の抱き枕になることにした。

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