表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

278/420

〇〇は『赤き雪原』に向かうそうです その47

『おっそーい!!』


 ユヅキとヒサメはそう言いながら、彼にせまった。


「ごめんな、二人とも」


 白髪ツインテールと金色の瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『ユヅキ』は、ひまわりの種を入れすぎたハムスターのようにほほを膨らませている。

 黒髪ロングと赤い瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『ヒサメ』は少し涙目になっている。


「ナオトのバカ! もう知らない!!」


「そ、そんなこと言うなよー。ユヅキー」


「ふんっ!」


 そう言いながら、プイッとそっぽを向くユヅキ。


「え、えっと、ヒサメ……」


「女の子を待たせるような人なんて、もう知りません。あと、これ以上近づいたら切り刻みます」


「そ、そんなー。許してくれよー、ヒサメー」


「無理です」


 そう言いながら、そっぽを向くヒサメ。

 ま、まいったな……。このままだと、気まずい空気のまま、面談が終わってしまう。

 さて、どうしたものかな……。

 彼が腕を組んでうなっていると、二人は彼の背後に回り込んだ。


「あれ? あいつら、どこに行ったんだ?」


 二人がいなくなったことに気づいた彼は、背後から忍び寄る二人に気づかなかった。


『だーれだ?』


 急に視界が真っ暗になったため、彼は目をパチクリさせた。

 その後、彼は問いの答えを考えた。


「え? あー、えーっと、ユヅキと……ヒサメかな?」


『大当たりー!!』


 二人はそう言うと、彼から離れた。

 そして、彼の頬にしたのか、しなかったのか分からないくらい短時間のキスをした。


「……なっ!? お、お前ら! 怒ってたんじゃないのか?」


 ユヅキはニコニコ笑いながら、彼の右腕に抱きつく。


「何言ってるの? あれは全部、演技だよー」


「え? そうなのか?」


「はい、そうです。まんまとだまされましたね」


 そう言いながら、彼の左腕に抱きつくヒサメ。


「なんだ、そうだったのか……。まったく、勘弁してくれよー」


 彼がほっと胸を撫で下ろすと、二人は顔を見合わせて、コクリとうなずいた。


『せーの……それー!!』


「うおっ!?」


 二人は彼を押し倒すと、ニコニコ笑いながら、彼の黒いパーカーをがせた。


「いやああああああああああああああああああ!!」


 彼は奇声のような悲鳴をあげると、別に隠さなくてもいい胸部きょうぶを両腕で隠した。


「へえー、ナオトの体って、こんなのなんだー」


「私たちより、強そうですー」


 彼の体をマジマジと見る二人。

 彼はその場から逃げようとしたが……ここで逃げれば、二人分の自己紹介を聞きのがすことになるだけでなく、二人の望みも叶えてあげられなくなるため、彼は珍獣を見るかのような二人の視線にえることにした。


「ナオトー、両腕それどけてー」


「ダ、ダメだ! これは、お前らに見せられるものじゃない!!」


「まあまあ、そう言わずに……。ほら、バンザーイしてください」


「い、いやだ! お前らに見せるくらいなら、引きちぎってやる!!」


 彼がおびえていることに気づいた二人は顔を見合わせると、ニッコリ笑った。


「ねえ、ナオトー。そんなに見せたくないのー?」


「あと三秒後に世界が終わるとしても見せたくない!」


「そうですか。じゃあ、私たちと見せ合いっこしましょう」


「……え? それはどういう意味だ?」


「そのままの意味だよー。私とヒサメちゃんの体を見せる代わりに、ナオトの体を見せてもらうってことだよー」


「お、俺はロリコンじゃないから、そういうのに興味はない」


 その時、ヒサメが彼の耳元でこうささやいた。


「ナオトさん、うそはダメですよー。本当は見たいですよね? あるのか、ないのか分からない……ちっちゃなむねとか、本能的にキスしたくなりそうな可愛らしい『おへそ』とか」


「お、俺はそんなこと、これっぽっちも考えてなんか」


 彼が最後まで言い終わる前に、ユヅキは彼の耳元でこうささやいた。


「ねえ、ナオトー。いい加減、自分がロリコンだって認めちゃいなよー。そうすれば、ナオトが知らない女の子の秘密をいーっぱい教えてあげるよー」


「お、俺が知らない……女の子の秘密……だと」


 ヒサメは彼を快楽へといざなうかのように、耳元でこうささやく。


「どうやら興味があるみたいですね……ナオトさん」


「そ、そんなことはない……はずだ……」


 ユヅキは彼の心の中にいる悪魔が勝つように仕向ける。


「自分に正直になりなよー。そうすれば、色々サービスしてあげるよー」


 彼はゴクリと生唾なまつばを飲むと、こう言った。


「サ……サービス?」


「はい、そうです。私たちのことしか考えられなくなるような気持ちいいこと……ですよー」


 ヒサメの人差し指が彼の首筋をなぞる。


「け、けど……俺は……」


 ユヅキは彼の首筋に小さな円をえがく。


「どうして躊躇ためらうの? ナオトは私たちと気持ちよくなりたくないの? それとも、私たちみたいなおさない女の子とそういうことはしたくないの?」


 今日の二人は、やけに色っぽいし、積極的だな。

 というか、こんなことされ続けれたら、俺は目覚めてはいけないものに目覚めてしまう。

 けど、ここから逃げるわけにはいかないし……。

 あー、もうー! 俺はいったいどうすればいいんだよー!!

 彼の心の叫びは、二人に丸聞こえだったが、二人はあえて、そのことは言わなかった。

 ※モンスターチルドレンは近くにいる人間の心の声が聞こえる。


「悪魔型モンスターチルドレン製造番号(ナンバー) ぜろ『ヒサメ』は、これよりナオトさんをめちゃくちゃにします」


「……え?」


「天使型モンスターチルドレン製造番号(ナンバー) ぜろ『ユヅキ』も、これよりナオトをめちゃくちゃにしまーす」


「は? お、おい、ちょっと待て。お前ら、いったい何を」


 彼が最後まで言い終わる前に、二人は彼の脇腹を人差し指でつついた。


「ひゃん!?」


 可愛らしい声をあげたナオトは、思わず脇腹に手を伸ばした。

 その時、彼は二人の作戦に気づいた。

 しかし、もう遅かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ