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〇〇は『橙色に染まりし温泉』でまったりする? その23

 その頃……ナオトは……。


「おい、グレー。本当にこんなところにまちの人たちをモンスター化したやつがいるのか?」


 赤い鎧と赤い四枚の翼と先端がドリルになっているシッポと黄緑色の瞳が特徴的なナオトはグレー(灰色の火の玉形態)にそう言った。


「はい、間違いありません。私の記憶が正しければ、ですけどね?」


「そうか……。なら、とりあえず先に進んでみよう」


 ここは『ビッグボード国』の上空にある『空中要塞 デスカウント』の中である。

 そして、今、ナオト(第二形態になった副作用で身長が『百三十センチ』になってしまった主人公)とグレーは廊下にいる。


「まあ、お前らの目的って、いったい何なんだ?」


「私たちの目的……ですか?」


「だってよ、まちの人たちをモンスター化しても、あの様子じゃ、まともに戦えないだろ? 兵士にするにしても、もっと別の方法を考えるべきだと思うぞ?」


「まあ、『漆黒の裏組織(アポカリプス)』の幹部の一人である私の口から言えるのは、今回の一件はモンスターチルドレンがいなくても良くなる世界を作るための序章プロローグだということだけです」


「そうか……。けど、それだとモンスターチルドレンに代わる存在を生み出す必要があるんじゃないか?」


「そのためにも、今回の実験は必要不可欠なのです!」


「そうなのか? まちの人たちをモンスター化したところで『少子高齢化』っていう問題は解決しないと思うぞ?」


「モンスターチルドレンという恐ろしい存在をこの世から消し去るよりも、人類が彼女たちよりも強くなれば、モンスターチルドレンにされた子どもたちが差別されるようなことは無くなります。私たちは、それを実現しようと……」


「なあ、一ついいか?」


「はい、何ですか?」


「お前らはモンスターチルドレンのことをどう思っているんだ?」


「そうですね……。私たちは、モンスターチルドレンと人が手を取り合える日が来ると信じていますから、少なくとも、彼女たちのことを化け物だとは思っていません」


「そうか……。けど、あいつらってさ、元は俺たちと同じ人間なんだぜ? なのに、どうしてこの世界のやつらは、あいつらを化け物呼ばわりするんだ?」


「あなたは、彼女たちが『五帝龍』の力をその身に宿していることは知っていますか?」


「ああ、知ってるよ。あいつらの生みの親が幼い女の子をモンスターチルドレンにする薬の中に、『五帝龍』のうろこを液状化したものを入れたから、そうなったんだろ?」


「はい、その通りです。しかし、そのせいで、彼女たちはこの世界のパワーバランスを大きく崩してしまいました」


「ある日、モンスターチルドレンがモンスターチルドレン育成所から脱走したのは知ってるけどよ。その時に何があったんだ?」


「それはその時に脱走した虫型のモンスターチルドレンたちが近くのまちにやってきて、まちの人たちを襲ったことが原因です。まあ、虫型のモンスターチルドレンたちの戦闘力はそんなに高くなかったので、どうにか撃退できました。しかし……」


「どうせ、その時のことがトラウマになったやつらがモンスターチルドレンは恐ろしい存在だとか、あいつらは化け物だとかを近くのまちの連中に言ったんだろ?」


「はい、その通りです。それが無ければ、人類の希望になるはずだった存在が人類の敵になってしまうことなどなかったでしょうに……」


「そうだな……。けど、俺たちは自分ができる範囲でなんとかするしかねえんだよ。だから、まずはこの中にいるボスを倒す。そして、まちの人を元に戻す! 協力してくれるか? グレー」


「はい! あなたについていけば、なんだか面白いことが起こりそうですから、ぜひおともさせてください!」


「よし、じゃあ、とりあえずボスを倒しに行くぞ。グレー、ボスの居場所は分かるか?」


「そうですね……。おそらく、ブラック兄さんは、制御ユニットがある部屋に居ますから、そこを目指しましょう」


「よし、分かった。じゃあ、案内頼むぞ? グレー」


「はい! 任せてください! 『漆黒の裏組織(アポカリプス)』の頭脳担当である、この私の力をとくとご覧ください!」


 こうして、二人は四人いる幹部の中で一番強い『ブラック・ダイヤモンド』がいる制御ユニットがある部屋へと向かうことになったのである……。

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