表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/420

○○は旅の目的を話すそうです 破

【俺はミノリたちが世界を救うために犠牲ぎせいになって欲しくないし、いつまでもそばにいてほしいと思っている】のだが、当の本人たちが俺と同じ考えとは限らない。

 でも俺はそんなことのためにミノリたちを死なせたくはない。

 たった数日間、一緒に暮らしただけでも俺にとっては、一人一人が大切な家族だ。

 だから、俺は絶対に旅には出ない。俺は心の中でそう決めていたはずだった。


「みんなには悪いが俺はお前らと一緒に旅に出るつもりはない。だけど、モンスターチルドレンを生み出したやつをぶっ飛ばしに行きたい。だから、俺をお前たちの世界に……異世界に連れていってくれ! 頼む、この通りだ!!」


 先ほどまで泣いていたはずの俺は本当の土下座をしていた。(頭を地面から数センチ浮かすやつ)

 またするとは思っていなかったが仕方ない。これが俺にできる精一杯のことなのだから。俺はミノリ(吸血鬼)の返答を待った。


「頭を上げなさい。あと、あたしの話を最後まで聞きなさい。旅に出るか出ないかは、それから決めてもらって結構よ」


 ミノリは、まるで話の続きがあるかのように、そう言うと、俺の頭を撫でてきた。俺は驚きを抱きつつも頭を上げながら。


「まだ話の続きがあるのか?」


 ミノリにそういていた。

 もし、ミノリの言うことが本当だとしたら、俺は話を最後まで聞かずに「問答無用!」と言って、とある首相を暗殺したやつと同類になってしまうことになる。

 俺はそんな風にはなりたくない……いや、なってはいけない。

 今の俺にできることはミノリの話を最後まで聞くことだけ……。なら、俺はそれを何が何でもやり通さなければならない。

 俺は新たな決意を胸に、ミノリの話を最後まで聞くことにした。


「……やっと落ち着いたみたいね。それじゃあ、さっきの続きから話すわよ」


「ああ、よろしく頼む」


 俺がそう言うと今まで静かだった他のみんなが、俺に声をかけてきた。


「ナ、ナオトさん! 大丈夫ですか?」


「ナオ兄、落ち着いた?」


「兄さん、無理しないでくださいね?」


「マスター、あまり無茶をなさらないでください」


 こいつらは本当に俺のことを心配してくれているんだな……と俺は改めて知ったが。


「だ、大丈夫。大丈夫だから、あんまり近づくなよ。お願いだから……」


 俺の顔をマジマジ見るのはやめてほしい。

 どうしてかって? それはみんなの視線がまぶしいというか、なんというか……うーん、うまく言えないがみんなにそうされると、とても恥ずかしくなってくるから……かな? まあそんな感じだと思う。

 うん、きっとそうだ。あは、あはははは……。俺は自分にそう言い聞かせたが、彼女らは違った。


「ナオトさん、もしかして私のこと、嫌いなんですか?」


「え? ナオ兄って、私と話すのいやなの?」


「兄さん! 私のどこがダメなんですか! 言ってくれないと分かりませんよ!!」


「マスター、私に改善すべき点があるのでしたら、どうぞ仰ってください。直ちに改善いたします」


 ま、まずい、このままだと俺は壁際に追い込まれてしまう……。

 四人ともさっきよりおかしくなっているのは、一目瞭然。

 それにこのままでは、俺がみんなと話したくないという誤解は一向いっこうに解けない! どうする! 考えろ、俺!!

 俺は必死になって迫りくる四人をなんとかしようとしていた。しかし、そんな俺の努力は一瞬で無駄になった。


「あんたたち! いい加減にしなさああああああああああい!!」


 そう言いながらミノリは俺の腕を取ると背負い投げをして、床に叩きつけた。


「グハァ!!!!」


 幸いにも血は吐かなかったが床に叩きつけられたダメージでき出してしまった。(唾液だえきを)だが、投げられる瞬間、俺はミノリの膨らみかけの胸に一瞬、触れてしまった……。

 別にやましい気持ちはない。ただそこに胸があったから、触れてしまっただけであって、俺は何も悪くない。

 俺は少しの間、そのダメージのせいで動けなかったが、その間ミノリは全員を正座させて説教していた。

 みんなは落ち込んでいたが俺は、あいつを信頼している。そうだな、例えるなら……。

 俺を標的ターゲットにしている狙撃手スナイパーが撃った弾に俺が気付いておらず、このままでは俺が確実に死ぬ絶体絶命の状況に駆けつけて狙撃手スナイパーが放った弾を左手の人差し指と中指で受け止めた後。


「あたしの未来の夫を狙撃しようだなんて、そこらへんにいる虫よりバカなんじゃないの!」


 そのまま、その弾丸を上に投げ、くるくると宙を舞う弾丸が地面に落ちる前に、こう言い放つ。


「地獄でその罪をつぐないなさい!! そして二度とあたしの未来の夫を狙撃しようだなんて思わないことね!」


 その後、弾丸が地面に落ちると同時にこう叫ぶ。


「必殺……! 極炎流星拳インフェルノメテオスマッシュ!!」


 ミノリの拳から放たれた一撃は狙撃手スナイパーひたいを見事に貫いた。ミノリは俺を見ながら。


「あんたの背中は、あたしが必ず守るから、慢心まんしんだけはしないでね?」


 そして俺は相棒ミノリと共に数々の困難を乗り越えていくのであった……。

 ____とまあ、俺にとってのミノリはこんな感じのやつだ。

 大袈裟おおげさだって? まあ、そこは勘弁してくれ。これでも少しは自重じちょうした方なんだから……。

 俺はミノリのことを家族だと思っているが本当はよく分からない。

 俺に【幼い頃の記憶の一部がない】のと関係しているのかもしれないができるだけ、そのことは考えないようにしている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ