表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

177/420

〇〇は『モンスターチルドレン育成所』に行くそうです その3

 ___四月十七日。モンスターチルドレン育成所では、二つの戦いが勃発した。

 ナオト(『第二形態』になった副作用でショタ化してしまった身長『百三十センチ』の主人公)対アイ(身にまとうもの全てが白の身長『百三十センチ』の先生。宇宙ができる前からこの世に存在している最強幼女)。

 そして、ミノリ(吸血鬼)(バーサス)九百十七番目の分身であるアイに操られたナオトの義理の家族と仲間たち。

 白しかない立方体の部屋で別々に戦っているが、この戦いはナオトとミノリのこれからを決める重要な戦いであることをまだ二人は知らない……。


「はぁ……はぁ……はぁ……な、なによ、あんたたち。操られているとはいえ、結構やるじゃない」


『………………』


「そう……やっぱり、あたしの声は届いていないのね。なら、とりあえず気絶させるしか……ないわね」


 自分の血液で作った日本刀を床に刺して体を支えていたミノリ(黒髪ツインテール)は疲労しきった体を無理やり動かし、立たせると。


「さあ、かかってきなさい! あんたたち全員を気絶させるまでは、例えこの身が肉片になっても戦い続けるわ!」


『……………………』


 その場にいる目のハイライトが消えた彼ら彼女らを気絶させるために、ミノリ(吸血鬼)は左手の親指の先端を噛み、もう一本、血液製の日本刀を作ると、その二本の日本刀を胸の前でクロスさせた。

 その後、彼女はそのまま突撃していった。


 *


 アイは両手には触れたものを全て白く染めてしまう呪いが宿っている。

 しかし、その効果を唯一無効化できる存在がいる。それはナオトである。

 高校時代の彼の担任だった『アイ』は、実は彼のことが好きだった。彼の父親……『本田 たかし』に似ていたからという理由だったが、次第にナオトという存在が好きだということに気づいた。

 しかし、いつもポーカーフェイスな彼女には、自分の気持ちを伝えることなどできない……だから。


「どうしたの? 私を倒すんじゃなかったの?」


 拳同士で語り合うという方法で自分の気持ちを表現していたのである。


「イタタタタ……おいおい、この世界の幼女の戦闘力はどうなってるんだ? 見た目と拳の重さが一致してないぞ?」


 白い壁にめり込んでいたナオトは苦しげに立ち上がると、そう言った。


「あなたこそ、『第二形態』になった副作用でショタ化したにしては、なかなかのものよ」


 それを聞いたナオトは、ふっ……と笑った。


「さすがは、俺の体をさっきまで解剖してたやつだな。俺の体の隅々まで把握してやがる」


 それを聞いたアイは、ふっ……と笑った。


「当然でしょ? 私を誰だと思っているの?」


 ナオトは、拳を構えながら。


「そんなの……知らねえよ。ただ、お前の一撃、一撃からビシビシ伝わってくる気持ちだけはわかるけどな」


 アイも拳を構えながら。


「そう……なら、とことん戦いましょう。おのれの全ての出し尽くすまで!」


 ナオトは白い床を踏みしめて思い切り蹴った。


「望む……ところだああああああああああああ!!」


 アイも白い床を踏みしめて思い切り蹴った。


「はぁああああああああああああああああああ!!」


 右半身が人間離れしたナオトと神々から恐れられるほどの実力者であるアイの戦いは、ついに本格的に始まった……。


 *


 その頃、ミノリ(吸血鬼)は。


「はぁ……はぁ……はぁ……くっ……!」


 かなり苦戦していた。


 モンスターチルドレン十人。


 獣人型モンスターチルドレン。上から二、三、一番。(他に七体いたらしいが全員キミコにられた。獣人型は全員が多重人格者らしい……。大体が二重人格。握力はこの世界で一番硬い金属を粘土のようにできるほど……ある)


【マナミ】(茶髪ショートの獣人ネコ


【シオリ】(白髪ロングの獣人ネコ


【キミコ】(ハチミツ色の長い髪が特徴的なきつねの巫女。色欲の姫君)


 スライム型モンスターチルドレン。一番。


【ツキネ】(黒髪ポニテのアパートの管理さんの姿に変身している変身型スライム。今のところ、回復担当だが……)


 天使型モンスターチルドレン。一、四番。


【コユリ】(銀髪ロングの天使。翼は二枚……今のところは……)


【ミカン】(オレンジ髪ロングの天使。翼は四枚。先端がドリルになっているシッポが一本生えている。旧名は『ハル』)


 妖精型モンスターチルドレン。十五番。


【チエミ】(体長十五センチほどの黄緑髪ショートの妖精。十五人いるという特別なマスターのために作り出された存在。風魔法が使える。たまにナオトの髪を布団がわりにしている)


 ゾンビ型モンスターチルドレン。一番。


【カオリ】(ピンク髪ロングの首から下が包帯のゾンビ。憤怒の姫君。ゾンビ型に噛まれてもゾンビにはならないが、師弟関係になってしまう)


 ドッペルゲンガー型モンスターチルドレン。一番。


【シズク】(左目を眼帯で隠している黒髪ロングのドッペルゲンガー。嫉妬の姫君。眼帯で隠している左目は水色。『リヴァイアサンの左目』というものらしく『死と恐怖』のどちらか、またはその両方を相手に見せることができる。まだ使いこなせないため、眼帯をしている)


 悪魔型モンスターチルドレン。一番。


【ライカ】(紫髪短めツインテ悪魔。怠惰の姫君。ナオトのことを師匠と呼ぶのは、自分と互角以上に戦えた存在だから。旧名は『ベルモス』)


 なお、モンスターチルドレンは『五帝龍』の力を宿しているため、その気になれば、一体だけでも世界を滅ぼせる力を持っている……。


 四聖獣の三体(朱雀ヒバリと玄武。玄武はミサキコハル。外装ではなく、人型である彼女らこそが本体である)


聖獣王カリン】(陰と陽、光竜、麒麟きりんが合わさって誕生した存在。現在は……人型)


 白魔女の【ルル】(モンスターチルドレン育成所にいる副所長の一人。金属系魔法と白魔法が得意)


名取なとり 一樹いつき】(名取式剣術の使い手で名刀【銀狼】の所持者。ナオトの高校時代の同級生。普段は途切れ途切れにしか話さないが、武器のことになるとよく話す。両目を前髪で隠しているのは人見知りだから。今はナオトたちと共に旅をしている。存在感が薄い)


 ハーフエルフ族の【メルク・パラソル】(白魔法と身体能力がすごい。多分、大人)


 ナオトの守護天使【フィア】(ミカエル・ラファエル・ガブリエル・ウリエルの遺伝子を融合させて誕生した存在。元々はクロノスの命令で動いていたが、ミノリのおかげで自由の身となった)


 一月の誕生石使い【ブラスト・アークランド】(かなりの大男でおのを武器にして戦う。誤って一月の誕生石をその身に宿してしまったため、それを取り出す方法がないか探すためにナオトたちと共に旅をしている。『ケンカ戦国チャンピオンシップ』にナオトと共に参加した)


【ニイナ】(『肉体変形魔法』の使い手。常に黒いローブでほぼ全身を隠しているため、どんな顔をしているのかわからない。『例の大会』でのナオトの戦いぶりを見て、弟子入りすることを決意。見た目は幼いが凄腕の殺し屋である。旧名は『マリー』)


 ここに紹介した二十人のうち、【名取】と【ブラスト】と【ルル】以外の名前は全てナオトがつけたものである……。


 つまり、ミノリは一対二十……いや、一対二百万くらいの戦力差で戦っているのである……。

 これは『叛○性ミリオンアーサー』の一期最終話の状況と似ている……が、ミノリはこの状況下でも、まだ諦めていなかった。

 ナオトが帰ってきた時に笑顔で迎えてあげたいという思いを抱きながら戦っていたからだ。

 一人も気絶させることができなくとも、自分が時間稼ぎをしていれば何も問題ない。

 ナオトなら、もうこの場所を探し当てているだろうと思ったからだ……。

 だから、ミノリ(吸血鬼)は未だに立っていられた。戦意を失わずにいられた。

 一人でなんでもやろうとする彼……ナオトを放っておくわけにはいかないから……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ