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〇〇は『蒲公英色に染まりし花畑』に行くそうです その1

 四月十六日。午後四時……。

 巨大な亀型モンスターの甲羅の中心と合体しているアパートの二階の部屋に十一人のモンスターチルドレンとその他の存在たちと共に住んでいるナオト(『第二形態』になったせいで身長『百三十センチ』の少年になってしまった主人公)は、自分の守護天使である『フィア』(四大天使の遺伝子を持つ身長『百三十四』センチの守護天使)に他のみんながいる部屋とは別の部屋に敷かれた布団に押し倒されて、体を好きなようにされていた。


「フィア……そこは……やめ……!」


 上半身にまとっていた服を脱がされた状態で押し倒されたナオトは、フィアに体を好きなようにされていた。


「ナオト様……どうしてそんな声を出しているのですか? 私はナオト様の体に異常がないか調べているだけですよ?」


「そんなこと言ったって、お前の舌使いが……ひゃん! や、やめろ! 力が抜けちまうだろうが!」


「私がどこを舐めようと私の勝手です。それに、ナオト様には拒否権などないのですから、おとなしくするしかありませんよ?」


「いや、でも、これはさすがに……」


「おとなしくしないと、ナオト様の純潔を奪いかねませんが、よろしいですか?」


「……せ、せめて、優しくしてください」


「……それは、ちょっと無理な話ですね」


「お前、まさか……!」


「いっただきまーす♡」


「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 その時、彼は目を覚ました。だが、夢だと認識できていないナオトは、その直後に体を勢いよく起こすと、こう叫んだ。


「イヤだああああああ! 好きな人以外に純潔を奪われるなんて、イヤだああああああああああ!!」


「やっとお目覚めですか? ナオト様」


「あ、あれ? なんでフィアが俺のとなりで寝てるんだ? も、もしかして、俺……やっちまったのか?」


 フィアはムクリと起き上がると。


「なんのことだが、さっぱり分かりませんが、私はナオト様に何もしていませんし、されてもいません」


「そ、そっか。あー、良かった。てっきり俺がお前とやっちまったのかと思った」


「できれば、そうしたかったです……」


「……え?」


「もちろん冗談ですよ?」


「そ、そうか」


「本気にしましたか?」


「ち、ちょっとだけな」


「大丈夫です。私はそんなことはしません」


「本当か?」


「証拠がいるのでしたら、私のあそこを見てみますか?」


「……え、遠慮しとくよ」


「そうですか。では、そろそろ参りましょう」


「行くってどこへだ?」


「決まっているじゃありませんか。みなさんがいるところですよ」


「俺の体に異常はなかったのか? というか、どこからが夢だったんだ?」


「細かいことはどうでもいいです」


「いいのか……」


「ナオト様の体に異常はありませんでしたし、服だって脱がせていません」


「それじゃあ、どうやって俺の体を調べたんだ?」


「そんなの額に手を当てれば一発でわかります」


「なら、俺をここに連れて来る必要なかったんじゃないか?」


「……ナオト様の温もりが欲しかったので、ここに連れてきました」


「……そうか。じゃあ、そろそろ行くか」


「待ってください。あと一つだけ私のワガママを聞いてもらえませんか?」


「あ、ああ、いいぞ」俺が出来る範囲でなら」


「……! ありがとうございます。では、ナオト様は目を閉じてください」


「ああ、分かった」」


 ナオトが目を閉じると、フィアは両手で彼の両頬に触れた。

 フィアはゆっくりと自分のくちびるをナオトの額に近づけていくと。


「あなたとこれからもずっと一緒にいられますように」


 フィアはそう言ってナオトの額に優しくキスをした。

 ナオトの額から全身に向けて、そのほんのりとした感触が駆け巡ると、ナオトの体の中は一気に沸騰した。


「ナオト様、もう目を開けていいですよ……って、顔が真っ赤ですよ! 大丈夫ですか?」


 ナオトは目を開けながら。


「だ、大丈夫だ。べ、別にいきなりキスされたから照れてるわけじゃないからな!」


 フィアはナオトのその態度から察すると。


「ナオト様は、今さら私にキスをされて照れてるんですか? かわいいですね♪」


「そ、そんなわけないだろう! 俺は別に照れてなんか」


 フィアはいきなりナオトをギュッ! と抱きしめると、耳元でこう囁いた。(左耳に)


「顔を真っ赤にしながら言い訳をするナオト様はかわいいです。そして、左耳にいたずらをした時のナオト様の反応もきっとかわいいです……はむ♪」


「こ、こら! 甘噛みするな! や、やめろ! ち、力が抜けちまうだろうが!」


「ああ、このままナオト様が私のものになればいいのに」


「フィア……お願いだから、ちょっと離れてくれないか?」


「いやです」


「どうしてだ?」


「ナオト様がかわいすぎるのがいけないんです」


「理由になってないぞ?」


「……ナオト様」


「な、なんだ?」


「ナオト様は私のことをどう思っていますか?」


「どうって……俺はお前のことを……ひゃん! いきなり耳に息を吹きかけるな!」


「ふふふ……かわいい反応ですね」


「う、うるさい! 俺は昔からこうなんだから仕方ないだろ!」


「はい、知っています。あなたの守護天使ですから」


「いいから一旦、離れてくれ!」


「いーやーでーすー♪」


「この……いじわる守護天使!」


「なんと言われようと私はあなたのことが大好きです♪」


「はーなーれーろー!」


「ああ、そうやって抵抗するところもかわいいです」


 くそ! このままじゃらちが明かない! いったい、どうすれば!

 ナオトは頭をフル回転させて、一生懸命考えた。この状況を打破できる方法を……。

 それは案外、すぐに思いついたため、ナオトは早速、それを実行することにした。


「えいっ!!」


「きゃっ!!」


 ナオトはフィアを押し倒すと、フィアの両手首をつかみ、馬乗りになった。


「私の気持ちを受け入れてくれる気になったのですね。いいですよ、ナオト様になら、何をされても構いません……だから」


「すまない、フィア。俺はお前の気持ちに応えることはできない」


「なぜ……ですか? 私はこんなにもあなたのことを愛しているのに!」


 いつのまにか涙目になっていたフィアの目を見ながら、ナオトは。


「俺には好きな人がいる。その人は高校時代の俺の担任で俺の全てを救ってくれた恩師だ。名前はなぜか思い出せないけど、あの人の白というより銀に近いショートヘアや黒い瞳が今でも忘れられない……。やたら俺には厳しかったけど、うまくできた時には頭を優しく撫でてくれたし、俺のことを【自慢の教え子】だと言ってくれた。俺がいつから先生のことを好きになっていたのかは分からない……けど、俺はそんな先生のことが大好きで、それと同時に、お前を含めたみんなのことも大好きなんだ! だから……!」


「分かり……ました。あなたを自分のものにするのは諦めます」


「本当か!」


「ですが、いつでも私を召喚できるように完全契約をしてください」


「完全契約って、前にも言ってよな? でもそれって俺とお前が……」


「お互いの血を飲めば完全契約を結ぶことができます」


「え? そんな簡単な方法でできるのか?」


「はい、できます」


「そっか。なら、早速……」


「カプッ♪」


った! お前の関節どうなってんだ! いきなり首筋に噛みつきやがって!」


「プハア! さあ、今度はナオト様の番ですよ」


「いや、そんなこと言われても、俺は吸血鬼じゃないんだから、首筋になんて噛みつけないぞ?」


「では両手を離してください」


「わ、分かったよ。離せばいいんだろ? 離せば」


 ナオトがパッとフィアの両手首から両手を離すと、フィアは自分の親指の先端を噛み、少し血を出した。


「はい、ナオト様。あーん♪」


「いや、俺は普通に血を吸いたいんだけど……」


「あーん♪」


「フィア……お前」


「ほら、遠慮しなくていいですよ。あーん♪」


「あ、あーん」


 ナオトはしぶしぶフィアの親指の先端から出ている血を吸い始めた。


「ああ、ナオト様に私の血を吸われている。か、感激ですー♪」


「プハア! へ、変なこと言うなよ。勘違いされるだろうが!」


「え? 誰にですか?」


「え? あっ、えーっと、それは……その」


「困っている顔もかわいいですー」


「しつこいぞ! フィア! いい加減にしろ!」


「怒っている顔もかわいいですー」


「あー! もうー! 今ので用は済んだだろ! さっさとみんなのところへ行くぞ!」


「はい、分かりました。それでは、お互いの頬にキスをしましょう」


「え? なんでそんなことしなくちゃいけないんだ?」


「完全契約を結ぶには、お互いの血を吸うことと、お互いの頬にキスをしなければならないからです」


「あー、かったるいなー」


「あと十秒以内にしないと、ナオト様が吸った私の血があなたの体の中を壊し始めますが、よろしいですか?」


「よし、じゃあ、やろうか。フィア」


「はい♪」


 フィアめ! あとで絶対におしおきしてやるから覚悟しとけよ!

 こうして、俺とフィアは無事【完全契約】を結ぶことができたのであった。

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