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○○は『ケンカ戦国チャンピオンシップ』を観に行くそうです その23

 ミノリとオメガの戦いは、まだ続いている。

 しかし、一瞬、ミノリが油断して彼の攻撃をまともにくらいそうになった。

 その時、彼の拳をガシッ! とつかんだ者がいた。


「おいおい、俺の時とはえらい違いだな。オメガ・レジェンド」


「ナ、ナオト!? あんた、さっきこおらされてたんじゃなかったの?」


「あ? あー、そんなもん、気合いでぶっ壊したよ」


「え? それって、本当なの?」


「詳しいことは、ミカンにいてくれ。それよりも今は、あんたを倒すことが先決だ! オメガ・レジェンド!!」


「君の攻撃パターンは、もう見切っている。それでも戦いを挑むのか?」


「最初から勝敗が決まってる戦いなんてないことくらい、あんたにだって分かってんだろう?」


「それは君のような命知らずの者が言うセリフだ」


「なら、はっきりさせようぜ。俺とあんたのどっちの意見が正しいかを!」


「……死んでも恨むなよ、少年!!」


「望むところだ!!」


 ミノリ(吸血鬼)は両者が放つオーラから感じ取った気迫を読み取ると、元の姿に戻りながら観客席の方へ飛んでいった。

 両者は少し後退すると、床を思い切り蹴り、相手の顔面めがけて、拳を打ち込んだ。


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』


 両者の拳の打ち合いは、次第に激しさを増していった。

 だが、鎧をまとった『オメガ・レジェンド』の動きは先ほどのようなものではなかったため、ナオトは背中から生えた十本の黄色い鎖のうち、一本をバレないように彼の足元へと移動させると。


「一本釣りいいいいいいい!!」


 彼の右足に巻きつけた後、空中へと放り投げた。


「『電光石火ジェットアクセル』!!」


 彼はそう言いながら、床を思い切り蹴ふと光の速さに近い勢いで彼のみぞおちに拳を打ち込んだ。


「俺の……勝ちだああああああああああああ!!!」


 ナオトの『みぞおちをえぐる拳(ストマック・ブロー)』で結界の内側の壁まで吹っ飛んだ『オメガ・レジェンド』は気を失った。

 その直後、彼の鎧は消滅。そのまま、地面へと落下した。

 うつ伏せで倒れたまま起き上がらない状態が続いたため、ナオトは拳を高々と天へと掲げると、こう叫んだ。


「よっしゃああああああああああああああ!!!!」


 ナオトの他にミノリ(吸血鬼)とミカン(翼が四枚生えている天使)とトワイライト・アクセルさんとオメガ・レジェンドしかいない会場にその声は響き渡った。


「ナオトが! ナオトが勝ったあああああああ!!」


「ナオトガ、カッタ! ナオトガ、カッタ!」


「ほんと、何者なんでしょうね。ナオトさんは」


 しかし、そう、うまくはいかなかった……。


「……『心臓を貫く光の槍(ライトジャベリン)』」


 ナオトが彼に背中を向けた瞬間、ナオトの心臓が光の槍に貫かれた。

 彼は何のアクションもできずに、うつ伏せで倒れてしまった。

 ゆっくりと立ち上がった『オメガ・レジェンド』は笑っていた。


「ふふふふふふ、はーはっはっは! はーはっはっは! 油断したな! 少年!! 君の最後の一撃はなかなか良かったが、私にとどめを刺すことはできなかったようだな! はーはっはっは!」


「ソン……ナ。ナオト……ガ」


「ミカンさん! しっかりしてください! ミカンさん!!」


 ショックで気を失ってしまったミカンの体を揺する『トワイライト・アクセル』さん。

 その時、ミノリ(吸血鬼)は別の反応をしていた。


「もう……許さない」


 彼女は猛スピードでナオトのところへ走っていくと『トワイライト・アクセル』さんのところまで猛スピードで運んだ。


「トワイライトさん。ナオトのこと、お願いね」


「えっ? あっ、はい!」


「それじゃあ、あとはよろしく」


 ミノリ(吸血鬼)はただそれだけ言うと、猛スピードで闘技場に向かった……。

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