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〇〇は『ケンカ戦国チャンピオンシップ』を観に行くそうです その11

『ナオト! あんた、それがどれだけ危険なことなのか分かってるの! もし、一回戦と同じようなことになったら、あんたは……!』


「大丈夫だ」


『バカナオト! 少しは自分のことも考えなさいよ! というか、さっさと辞退しなさいよ!』


「それはダメだ。辞退するくらいなら、俺があいつを倒す」


『ふざけないでよ……アメシストが言ってたでしょう? かなり危険なけになるって。だから、あんたがそんな力を使ってまで戦う必要なんて……』


「ミノリ、お前は少し勘違いしてるぞ?」


『えっ?』


「俺がここまで来られたのは、お前の……お前たちのおかげだ。だから、俺にできることは全部、俺がやらなくちゃいけないんだ」


『鎖の力と洞窟で手に入れた『若葉色の水晶(エメラルド)』の力と『黒影を操る狼(ダークウルフ)』の力を一つにするなんてことは前代未聞なのよ? それでも、あんたはやろうって言うの?』


「それが今の俺にできる唯一のことだからな」


『……分かったわ。もう止めたりしない。けど、これだけは約束して。必ず生き残るって』


「ああ、分かったよ。無傷で勝つのはちょっと無理そうだけど、必ず生き残ってやるよ」


『必ずよ? 絶対だからね?』


「ああ、絶対だ」


『よろしい。それじゃあ、暴れてきなさい。ナオト』


「そんなこと言われなくても、最初からそのつもりだよ。まあ、やれるだけのことはやってみるよ」


『そう。それじゃあ、頑張ってね。ナオト』


「ああ、じゃあ、またあとでな」


『うん、それじゃあ、気をつけてね』


 ミノリ(吸血鬼)との話し合いが済んだ直後、俺は新たな力を身にまとうことにした。

 まず、いつもの鎖の力を解放する。(この時、俺の髪は黒から白にひとみは黒から赤に変化する。そして、背中から十本の銀の鎖が飛び出す)

 次に体内にある『若葉色の水晶(エメラルド)』の力を両目に集中させた。(両目がエメラルドグリーンになった)

 最後に俺の影に住んでいる『黒影を操る狼(ダークウルフ)』を呼び、よろいになるよう伝えた。

 その黒いよろいを身にまとった俺からは今までとは比べ物にならないほどの力が溢れ出た。


黒影を操る狼の形態(ダークウルフ・モード)


 俺はこの形態をそう名付けた。


 *


 天使型モンスターチルドレン製造番号ナンバー 四の『ハル』は俺の方を見ると不気味な笑みを浮かべながら、こう言った。


「ニンゲンハ、コロス!!」


「お前がなんで人間を殺したがるのかは分からないが、お前をこのまま野放しにしておいたら大変なことになることは分かっている……。だから、俺はお前を止める!」


 俺は深呼吸すると、自分を強化している存在たちに対して、こう言った。


「なあ、鉱石と狼(おまえら)。あれは俺たちの獲物なんだろ? 余計な鎖はしまってやるから見せてみろよ。鉱石と狼(おまえら)の力!!」


 その時、俺の背中から生えている黒い十本の鎖はひし形のダイヤモンドのような先端だけを残して、体内に戻った。

 その後『若葉色の水晶(エメラルド)』の力を両目以外に送ると両目は狼の力を極限まで解放した状態、つまり【赤い瞳】になった。

 それが済むと、俺は勢いよく闘技場の床をり、『ハル』の方に向かって前進した。


「クラエ! ニンゲン!!」


 ハルは俺に向けて、両目(ピンク色)からピンク色の光線を発射した。

 俺は左腕でこれを防ぐと、右に回避し、そのまま前進した。


「あらよっと!」


 彼女は少し飛んでいるため、ダメージはあまりなかっただろうが、俺は彼女の左足のひざの少し下を攻撃した。(殴った)


「クソ! オノレ! ニンゲンメ! ヨクモヤッテクレタナ!!」


 よしよし、怒ってる、怒ってる。

 そうだ、お前は俺だけを見ろ。他のやつらには手を出すなよ。

 俺は先端がドリルになっている彼女のシッポを回避しながら、後ろ向きで前進した。

 その時、ハルは再び自分の翼から羽を複数、発射した。

 やっぱり厄介だな、あの技は……けど、今の俺なら!

 発射された白い羽は赤い瞳以外が真っ白な『ハル』たちに変わり、俺を攻撃してきた。

 しかし、俺はその瞬間にベ○ータが自爆する時とほぼ同じことをした。

 まあ、ただ単に自分の気迫で吹き飛ばしただけなんだが。

 それから俺は彼女の方に大ジャンプして、ハルの左肩を攻撃しようとした。

 しかし、先端がドリルになっているシッポに攻撃されてしまったせいで闘技場の床に叩きつけられてしまった。

 俺は意識が朦朧もうろうとしている中、前進しようとした。

 しかし、さっきの仕返しなのか、ハルが俺の右肩に先端がドリルになっているシッポを突き刺してきた。

 その時、ミノリ(吸血鬼)が固有スキルを使って俺に『ナオト!』と言ったが、俺は「大丈夫だ」と言って前進し、彼女の背後に回った。


「ココデ、オマエヲ、コロス!!」


 ハルは、俺の方を向くと、再びピンク色の光線を俺の方に発射してきた。

 だが、俺はそれをうまくかわし、四枚の翼の内、俺から見て彼女の右下に生えている翼をむしり取った。


「グアッ! オ、オノレ! オノレエエエエエ!!」


 ハルは激怒し、先端がドリルになっているシッポで俺を攻撃してきたが、俺は先ほどむしり取った翼を身代わりにして、着地した。

 その直後、ハルは先端がドリルになっているシッポを高速で動かしながら俺に攻撃してきたが、俺はそれをひょい、ひょい、ひょいと華麗にかわした。

 俺の動きを見て、観客たちは驚きをあらわにしていたようだったが、俺は戦いに集中していた。

 俺は余計なシッポをなんとかしようと、それを右拳で殴った。

 しかし、俺の攻撃は軽々と弾き返されてしまった。

 俺はその勢いでほんの少しだけ後退したが、またすぐに前進した。

 俺が前進している途中に余計なシッポ攻撃が俺を襲ったが、俺はそれを左拳で受け流した。

 その直後、再び余計なシッポ攻撃が俺を殺そうとしてきたが、俺はこれを右拳で対処した。

 俺がふと右手を見ると、手がしびれて使い物にならなくなっていた。


「使ってやるから、もっと寄越せ! こんなもんかよ、鉱石と狼(おまえら)の力は!」


 しかし、俺は両腕を交差させながら、大ジャンプした後《のち】、ハルの右肩に乗ると、そのまま目の前の翼をむしり取ろうとした。

 これにはハルもバランスをくずしそうになったが、すぐに余計なシッポ攻撃で俺を弾け飛ばそうとした。


「……!」


 俺は、それに気づくと左腕の脇にシッポをはさんだ。

 それと同時に、その翼をむしり取った。

 俺はその翼がかなり美麗なものだということに気づくと、ついつい見惚みとれてしまった。

 しかし、ハルはそんな時間も与えてくれず、余計なシッポをつかまえている俺をそのまま闘技場の床に叩きつけた。

 ハルは勢いよく地上に舞い降り、闘技場の床に着地すると、俺の右肩に余計なシッポの先端に付いているドリルをぶっ刺した。

 俺の右腕は完全につらぬかれていたため、もう使い物にはならず、さらに激痛が体を襲ったが、ハルを倒すことだけに意識を集中すると、そのような痛みは消え失せた。


ってえ……なあ!!」


 余計なシッポを左手でつかむと、それを右肩から外して、床に突き刺した。

 俺は、すぐさま前進して左拳で彼女の顔面をねらった。

 しかし、それはあっけなく彼女の右手で防がれてしまった。

 俺はその体勢を利用して、彼女の腹を両足で蹴った。

 ハルが腹を押さえながら少し後退したすきに俺はブレイズの方に飛んでいって、血液が流れているような模様が描かれた黒い剣『魔剣デュランダル』を貸してもらうことにした。

 俺がぺこりとお辞儀をすると「……あ、ああ、分かった。あとで、ちゃんと返すのだぞ」と言いながら、ブレイズはそれをこころよく(?)貸してくれた。


「んじゃあ、少し借りるぞ」


 俺はそれだけ言うと、左腕だけでその剣を持った。その剣は結構重かったため左腕のリミッターを解除するしかなかった。

 解除した瞬間、左腕の鎧の隙間から赤いオーラのようなものが出てきたが、俺は特に気にせずハルの方に飛んでいった。

 俺が『魔剣デュランダル』を予想を遥かに上回る速度で振り回すため、ハルは対応できずにいた。

 別にルールを守っていないわけじゃないし、俺だって、さっきまで拳で戦っていたのだから、それくらい対応してくれてもいいと思う。

 ハルは俺の攻撃を一度だけ『真剣・白刃取り』で防いだが、俺は彼女の腹にもう一度、両足蹴りをして、それを強制解除した。

 ハルは俺が床に突き刺した余計なシッポを床から引き抜くと、俺めがけて飛ばしてきた。

 俺はそれを『魔剣デュランダル』で防いで難を逃れた。


「うん、ちょうどいい」


 俺はそうつぶやくと真後ろに後退。

 逆U字を描きながら、切っ先を彼女に向けて突進した。その時、俺が彼女に言った言葉は、こうだ。


「これなら……倒しきれる」


 最後の力を振り絞り、俺は自身の最高速度で突進すると彼女の左肩に、それを突き刺した。

 その直後、彼女は余計なシッポを俺の右肩よりちょっと右にずらした首に近い部分に突き刺した。

 しかし、それは致命傷にはならなかった。


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」


 彼女は気絶する前に、そのような断末魔を会場中に響き渡らせた。


「……ふう、なんとか倒しきれたな。というか、『魔剣デュランダル』って、こんなに重いのか。次から安易に借りないようにし……」


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』


 俺がその場に座ろうとすると、観客たちの歓声がその場を埋め尽くしてしまった。

 俺はそれに応えるかのように左拳を天に掲げた。


「二回戦終了! 天使型モンスターチルドレンを倒したのは『本田ほんだ 直人なおと』選手だあああああああああああああああああああ!!」


 実況の『トワイライト・アクセル』さんのテンションは上がりに上がっていたが、その横に座っている特別ゲストの『オメガ・レジェンド』さんはナオトのことをじっと見つめていた。

 俺がふと自分の右腕を見ると血が出ていなかった。これはきっと『若葉色の水晶(エメラルド)』の『安定』の力なのだろうと思い、深く考えなかった。

 その直後、ブラスト(一月の誕生石をその身に宿したおの使い)とブレイズ(魔剣デュランダル使い)とブレイク(聖槌せいついミョルニル使い)が集まってきて勝利を祝った。

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