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〇〇は『ケンカ戦国チャンピオンシップ』を観に行くそうです その1

 四月十六日。この日、主人公ナオトは鎖の力の一つである『第二形態』の副作用によって、ショタ化してしまった。

 その後、色々あって今はスヤスヤと気持ちよさそうに眠っている。(不可視の結界を常時発動している巨大な亀型モンスターの甲羅の中心と合体しているアパートの二階にある彼の部屋の寝室で)

 ここは『神獣世界モンスターワールド』。

 彼がいた世界の日本と地形などが酷似しているパラレルワールドである。

 ナオトたちはモンスターチルドレンと呼ばれる者たちを人間に戻すことができるという薬の材料を探す旅をしている。

 しかし、昼になるまではナオトを寝かせておかなければならないため、今は全員、ひまなのである。


「あー、ひますぎるー」


 ミノリ(吸血鬼)がアパートの二階の部屋のお茶の間の床でゴロゴロと転がりながら、そう言うとコユリ(本物の天使)は彼女にピシャリとこう言った。


「静かにしてください。マスターを起こすつもりですか?」


「はぁ……分かったわよ。静かにすればいいんでしょ? 静かにすれば」


「よろしい。ところで、そろそろ見張りを交代する時間なのではないのですか?」


「んー? あー、そうだったわね。うっかりしてたわ」


「なら、早く交代してください。じゃないと、マスターに報告しますよ?」


「んー? なんて言うのー?」


「アホ吸血鬼がマスターの寝込みをおそおうとしていた、と」


「あー! 分かったわよ! 交代すればいいんでしょ! 交代すれば!」


 ミノリ(吸血鬼)は少し苛立いらだっていたが、さっと立ち上がって早足で玄関に行くと、ドアを開けて閉めるまでの動作を最短で済ませた。


「ふふふ、チョロいわね」


 その発言は、とても天使のものとは思えないものであった。


 *


 部屋の外に出たミノリ(吸血鬼)は見張りをしている子たち全員にこう言った。


「いくらなんでも、多すぎよ!!」


 部屋の中には、主人公ナオトとコユリ(本物の天使)とミノリ(吸血鬼)の三人がいる、もしくはいるが、現在、部屋の外には。


 マナミ(茶髪ショートの獣人ネコ


 シオリ(白髪ロングの獣人ネコ


 ツキネ(黒髪ポニテのアパートの管理人さんの姿に変身している変身型スライム)


 チエミ(体長十五センチほどの黄緑髪ショートの妖精)


 ミサキ(黒髪ベリーショートの巨大な亀型モンスターの本体)


 カオリ(ピンク髪ロングの首から下が包帯のゾンビ)


 シズク(左目を眼帯で隠している黒髪ロングのドッペルゲンガー)


 ルル(白髪ロングの白魔女)


 コハル(藍色髪ロングの藍色の湖の主。ミサキの妹)


 キミコ(ハチミツ色の長い髪が特徴的なきつね巫女みこ


 カリン(金髪ツインテの聖獣王)


 ライカ(紫髪短めツインテ悪魔)


 メルク(灰色髪ショートのハーフエルフ。大人?)


 フィア(四大天使の遺伝子を持つナオトの守護天使。長い髪と天使の翼と目の色は赤、青、緑、黄の四色である)


 なんと十四人もいた。(ルル、ミサキ、コハル、カリン、メルク、フィア以外の人物は全員、モンスターチルドレンである)

 彼女たちからは、絶対にここを死守する! という強い意志は感じられた。

 こちらを振り返って、何事かと口々に話している彼女たちにミノリ(吸血鬼)はこう言った。


「あんたたち、交代の時間よ。今からはあたしがやるから、あんたたちは中で休んでて」


『はーい!』


 彼女たちはそう言うと、ミノリ(吸血鬼)とハイタッチをしたのち、部屋の中に入っていった。


「はぁ……まったく。なんであたしが見張りなんてしなくちゃいけないのよー」


 転落防止のための鉄柵をガンガンと殴りながら、そんなことを言っていたミノリは、ふと、あることに気づいた。


「ん? なにかしら、あれ……」


 こちらに向かって、猛スピードで向かってくる人物が目に入ったからだ。

 ミノリは、すぐに他のメンバーを呼ぼうとしたが、もう遅かった。

 その人物は不可視の結界を無視して突っ込んできた。

 その人物は体が透明なミサキ(巨大な亀型モンスターの外装)の頭の上に乗ると。


「たのもー!」


 ミノリがいるところまで聞こえる声で、そう叫んだ。

 ミノリは身を隠しながら、よーく目をらした。その人物が何者なのかを突き止めたかったからである。

 分かったことは、男というよりおとこという字の方が似合っている顔と肉体と短めの黒髪と黒い目であったことと、服装が黒いタンクトップと濃い緑色の短パンであること。

 そして身長が百七十センチ後半ぐらいだということだ。


「俺はこの辺りにいるはずの誕生石使いの波動を辿って、ここまで来たものだ! 誰かいないのかー!」


 ミノリは、アパートの二階からシュタッ! と飛び降りると。


「用があるなら、あたしに言ってー!」


 その人物にそう言った。すると、その人物はこちらに向かって、ものすごいスピードでやってきた。


「もしかしてお前は、ここに住んでいるのか?」


「ええ、そうよ。まあ、あたしの他に十六人住んでるけどね」


「じ、十六人だと! ほほう、それはすごいな」


「まあ、そのうちの十五人は居候いそうろうだけどね……で? あんたは、ここに何しにきたの?」


「俺か? 俺は誕生石使いを探しにきたものだ。俺はあやまって誕生石を体の中に取り込んでしまってな。医者にもてもらったのだが、取り出すことは不可能だと言われた。だが、他の誕生石使いになら可能かもしれないと言われた。だから、俺は誕生石使いの波動を辿って、ここまでやってきたというわけだ」


「……へえ、そうなんだ。でも、今は無理よ」


「なに?」


「あんたの言う誕生石使いは今、気持ちよさそうに眠ってるから起こすわけにはいかないのよ」


「そうか。だが、今回は事情が事情なんだ。だから、頼む。今すぐ誕生石使いを起こしてくれ」


「残念だけど、それは無理よ。お昼になるまで寝かせてあげないといけないから」


「そうか……それは、困ったな」


「まあ、気長に待つことね。それじゃあ、あたしは戻るわね」


 ミノリ(吸血鬼)が彼に背を向けて、アパートに戻ろうとした、その時。


「残念ながら、それは……無理な相談だ!」


 殺気と荒々しさが感じられる声が聞こえたため、ミノリ(吸血鬼)は自分の親指の先端をんで、瞬時に血液で【日本刀】を作ると、それで彼の武器を受け止めた。


「いきなり、何すんのよ! 危ないじゃない!」


「うるさい! こっちには時間がないんだ! 早く起こしてくれないと困る!」


 ミノリ(吸血鬼)は彼が振り下ろした巨大なおのを。


「そんなの……知らない、わよ!!」


 数メートル吹っ飛ぶぐらいの力で弾き飛ばした。

 巨大なおのはクルクルと回転しながら、彼から数メートル離れた場所に刺さ……らず、ポテッと横たわった。


「な、なんだ! 今の力は! お、お前は、いったい何者だ!」


 驚嘆の声を上げた、その人物に向かってミノリ(吸血鬼)は、キッ! とした目つきで名乗った。


「あたしは吸血鬼型モンスターチルドレン製造番号(ナンバー) 一のミノリ! 又の名を『強欲の姫君』よ!」


「……そうか。お前はモンスターチルドレンなのか。では、俺も名乗らせてもらおう!」


 彼は巨大なおのを磁力か何かで手繰り寄せると大声で名乗った。(フ○ースではない)


「俺の名はブラスト・アークランド! 一月の誕生石である『ガーネット・ドレッドノート』の所有者だ! そして、その力を宿した時に俺が手に入れた力こそが、この『大罪の力を解放する斧トリニティブラストアックス』だ! モンスターチルドレンの中でも、かなり強いという噂のある『大罪の力を持つ者』たちの封印を完全に解放できるものだ!」


 ミノリ(吸血鬼)は、ナオトの体の中に封印されている強欲ミノリ憤怒カオリ色欲キミコ怠惰ライカの力を解放できる人物が現れたということを理解したのち、ブラストを先ほど以上に敵視した。


「へえ、そうなの。でも、だからって、ここを通すわけにはいかないわ!」


「そうか……ならば、お前を倒してでも通らせてもらうぞ!」


 お互いが武器を構えながら距離をとると相手の出方をうかがい始めた。

 タイミングを見(あやま)れば自分がられるという状況下で、両者はまったくひるまずなかった。

 ____そして、ついに、その時はやってきた。


「はああああああああああああああ!!」


「うおおおおおおおおおおおおおお!!」


 両者はほぼ同時に走り出していた。巨大なおのと血液でできた日本刀が今にもぶつかりそうになった、その時。


「はい、そこまで!」


 その声が聞こえた直後、両者の武器はたった一本の銀の鎖に没収されていた。

 両者はお互いの武器が無くなったことに、一瞬気づかなかったが、そのことに気づいたのち、自分たちの武器の行方を目で追うと。


「ケンカは、するのも見るのも嫌いなんだよ。だから、もうやめてくれないか?」


『第二形態』になったせいで身長が百三十センチになってしまった『ナオト』がアパートの二階の外にある通路に立っていた。


「あ、あんた、なんで起きてるのよ! まだ寝てなさいよ!」


「いや、お前らがドンパチしてたから、起きたんだが」


「え? そうなの? でも、あんたにもしものことがあったら困るから、早く部屋に……」


「ミノリ」


「な、何よ」


「まずは、そいつの話を聞いてみようと思うから戦うのはやめてくれないか?」


「で、でも! こいつは、あんたが誕生石使いだってことを知ってるのよ! そんなやつと話をする必要なんて……」


「ミノリ、俺が信用できないのか?」


「う、ううん、そんなこと……ないわ」


「じゃあ、立ち話もなんだし、そいつを部屋まで連れてきてくれないか?」


「わ、分かったわ。連れて行けばいいのね?」


「ああ、頼んだぞ。あっ、そういえば、お前の刀、まだ返してなかったな、ほらよ」


「あ、ありがと。えっと、それじゃあ、ちょっと待っててね」


 二人のやりとりの一部始終を間近で目撃したブラストはモンスターチルドレンと人間がまるで本当の家族のようなやり取りをしていることに違和感を持った。

 それに部屋の中に、あと数人モンスターチルドレンがいてもおかしくないことに気づいたため、これ以上戦うのをやめることにした。

 そのため、彼は大人しく、ミノリの指示に従うことにしたのである。(ナオトはブラストの武器を没収したまま、部屋の中に入っていった)

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