表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

129/420

〇〇は『主人公がショタ化』するのを目の当たりにするそうです その4

 一方、その頃。『ナーラ』というまちでは。(日本でいうところの奈良県)


「なぁ、この辺に反応が複数感じられるのは、あたしの勘違いか?」


 杉元すぎもと 黒曜こくよう(杉元式激槍(げきそう)術の使い手。

 名槍『黒神槍こくじんそう』の所持者)がそう言うと。


「いえ、勘違いではありません。たしかに、私たち以外の反応があります」


 相馬そうま 夏樹なつき(相馬式操馬(そうま)術の使い手。どんな馬でも召喚でき、あやつれる)がそう言った。その後。


「たしかに……私たち以外に……ここに……来てる人が……いる」


 高木たかぎ 弓子ゆみこ(高木式射撃(しゃげき)術の使い手。どんな弓でも召喚でき、どんな位置からでも的確にまとに当てられる。そのほかの武器も手足のように使える)がそう言った。その後。


「やはり、僕たちと同じように『ナオト』に会うためにでしょうか?」


 時坂ときさか 賢太郎けんたろう(時坂式時間拘束術の使い手。黒髪と黒縁くろぶちのメガネが特徴)がそう言った。


「なら、路地裏にでも行って呼んでみようぜ。あいつらもそれでこっちの位置がだいたい分かるだろうから」


 杉元がそう言うと、四人は路地裏に向かった。


「さて、全員『おまもり』を持ったな。それじゃあ、行くぜ! せーの!」


 一列横隊になった状態で、杉元の合図と共に他の三人も呪文じゅもんのようなものを天に向かってとなえ始めた。

『白いおまもり』は卒業記念に先生から渡されたもので遠くにいても、これを持っていれば、それぞれの波長で位置が特定できる。

 先生の力で生徒全員が常にそれを身につけなければならないという意識を植え付けられた。


『聞け! かつての獄立ごくりつ 地獄高校の同士たちよ! 今、十年の時をえ、われらのもとに【先導者ナオト】はよみがえった! 我々の時代はまだ終わっていない! お前たちの気高い理想は……決して絶やしてはならない! 彼の意志いしは常に我々と共にある! 獄立 地獄高校の真理はそこだ! みな……! 先導者ナオトの同士であるのなら、今こそ、ここにつどえ!!』


 ____数秒の時が……流れた。その場にいる全員がずかしさのあまり、この場から立ち去ろうとした、その時……。


『呼んだ?』


 彼女らの目の前に、彼ら彼女らが姿をあらわした。(これからの『』は杉元、相馬、高木、時坂が言う)


「あれー? どうしてこんなところに君たちがいるのー?」


『黒沢式植物召喚術の使い手! 黒沢くろさわ すばる!!』


「久しぶりだな、お前たち。元気にやっていたか?」


『小宮式剣術の使い手! 小宮こみや ひかり!』


「待たせたな、貴様きさまら」


『加藤式忍法の使い手! 加藤かとう 真紀まき!』


「おいおい、俺のことも忘れてもらっちゃ困るぜ」


『月影式忍法の使い手! 月影つきかげ 悠人ゆうと!』


「えーっと、みなさん、どうしてこんなところにいるのですか?」


『坂井式撲殺(ぼくさつ)術の使い手! 坂井さかい 陽代里ひより!』


「おう! 久しぶりだな! お前ら!」


『布田式抹殺(まっさつ)術の使い手! 布田ぬのだ 政宗まさむね!』


 そこにあらわれた六人は、間違いなく獄立 地獄高校の元同級生たちであった。


「あー! なんか人数が多いから、数分置きに、まちの外に出て、ここじゃない場所で『釣り』でもしながら話そうぜ!」


 杉元がそう言うと、全員が「それもそうだ」と言って、まちの外に数分置きに出ることになった……。


 *


 その頃、ナオトたちは……。


「ナオト……気づいたか?」


 名取がまだねむっているナオトの近くにすわってそう言うと、ナオトは寝言(?)で。


「んー? あー、なんか、かなりの人数が一箇所に集まってるのはポケットの中にある『おまもり』でバッチリわかるぞー」


「俺は今からそこに行ってくる……そして、なんとかして、ここに連れてくる……」


「ああ、頼んだぞー」


「ああ……それじゃあ、行ってくる」


「ああ、気をつけてなー」


「ああ……任せておけ」


 その後、名取はナオトのアパートにいる十人のモンスターチルドレンとその他の存在たちに事情を説明し、チエミ(体長十五センチほどの妖精)の風の加護を受けてから、大空へと飛び立った……。

名取なとり 一樹いつき』。名取式剣術の使い手で名刀『銀狼ぎんろう』の所持者。

 前髪で両目をかくしているのは、人見知りだから。

 異世界の神社で再会してからはナオトたちと旅を共にしていた。

 しかし、今回から先ほど登場したものたちの元へ向かう。

 存在感がうすいが、武器のことになるとよく話す。


 *


 その頃『モンスターチルドレン育成所』では。


「……! 私の元生徒たちが一箇所に集まり始めたようね。ふふふ……そろそろ計画を第二段階に進める必要がありそうね。……待っていてね、ナオト。あなたは絶対に私が幸せにしてみせるから」


 先生アイは『例の高校』の元教師。身長『百三十センチ』。衣服類は全て『白』。

 宇宙が誕生する前から存在しており、あらやる能力値が測定不能。

 ナオトのことを愛しているが、いまだに言い出せずにいる。

 モンスターチルドレンを生み出したのは彼女であり、モンスターチルドレン育成所で彼女たちの教師とそこの所長を兼任けんにんしている。

 彼女は『ある人物』から依頼を受け、その計画を実行している。


【ナオト覚醒計画】


 本田ほんだ 直人なおとを覚醒させ、本来の姿に戻すために、彼女は『その人物』に手を貸している。

 ちなみに今日は自分の担当の生徒を自分の実像分身の一体に任せているため、ヒマである。

 彼女は白チョークで魔法陣を書いて、自室から外に移動すると、グリフォンの『クゥちゃん』を指笛で呼んだ。

 すると、バサバサと音を立てながら『クゥちゃん』が彼女のもとに舞い降りた。(育成所は地下にある)


「クゥちゃん、『ナーラのまち』までお願いね」


「クゥー! クゥー!」


 クゥちゃんは彼女が乗ったのを確認すると、大空へと飛び立った……。


 *


 そして、その頃。ナオトたちの住んでいるアパートでは。


「……ナオト様」


 フィア(四大天使の遺伝子を持つ守護天使)がねむっているナオトに膝枕ひざまくらをした状態で頭をでていると、ミノリ(吸血鬼)がやってきた。

 彼女はうでを組み、仁王立におうだちをすると『フィア』に話しかけた。


「あれ? あんた、人間がきらいじゃなかったの? フィア」


「……ナオト様は別です」


「へえー、そうなんだ。じゃあ、なんで人間嫌いだってことをナオトに言ったりしたのよ」


「私は……構ってほしかったのかもしれません」


「えっ? そうなの?」


「分かりません……。私は今までナオト様に、ずっとおつかえしてきました。ただし、姿を現してはならない、声をかけることもしてはならないという条件付きで」


「そうなんだ……けど、いいじゃない」


 フィアがその言葉に反応して、ミノリの顔を見た。


「えっ?」


「だって、あたしたちなんか最近出会ったのよ? それに比べて、あんたはずっとナオトのことをそばで見守ってきた。正直、うらやましいわ」


「そう……なのでしょうか?」


「ええ、そうよ。ねえ? みんな」


 ミノリがそう言うと、他のメンバーがぞろぞろと集まってきた。どうやら会話の内容は全て聞かれていたらしい。


「あたしたちはあんたを歓迎かんげいするわ! あんたは今日から、あたしたちの家族の一員よ! これからよろしくね! フィア!」


 みな、それに便乗びんじょうしたのか、口々にフィアを歓迎する言葉を言い始めた。

 フィアはそれを聞いているうちに、目から自然となみだあふれてきた。

 涙を服でゴシゴシとぬぐうと、彼女は全員に向かって、とびきりの笑顔を全員に見せながら、こう言った。


「はい! 不束者ふつつかものですが、どうぞよろしくお願いします!」


 それを聞いた全員がその言葉に反応し、祝福の言葉を口々に言い始めた。

 それと同時にナオトがゆっくりと目を覚ました。


「ん……うーん……なんかさわがしいな……って、あれ? フィア? 何してるんだ?」


「あっ、おはようございます。ナオト様。今から私もあなたの家族の一員です。私は今、うれしい気持ちでいっぱいです!」


「ん? あー、分かった。これからよろしくな、フィア」


「はい、こちらこそよろしくお願いします。ナオト様」


「うん……それじゃあ、昼に……なったら、起こしてくれ……」


「またねむってしまいましたね。ふふふ、やっぱりナオト様はかわいいですね」


『ごもっとも!』


 全員の息がぴったりあった瞬間であった。


 *


『ナーラのまち』……裏路地……。

 普通の人でもモンスターチルドレンと同様の力をしいと願う人々にその薬を販売している裏の組織があった。

 それが『漆黒の裏組織(アポカリプス)』。

 この組織を支えているのは四人の幹部である。現在、この組織に所属している人数は百名ほど。


【ブラック・ダイヤモンド】


【グリーン・コンペア】


【レッド・ネーム】


【グレー・アイランド】


 彼らの名前の由来は『金〇型四姉妹』の名前の一部とスカートの色であるということに、ナオトと名取は瞬時しゅんじに見抜いた。

 ____彼らは人に姿を見せることはない。しかし、彼らは金さえはらってくれるなら、誰にでもその薬を渡す。

 一瓶で金貨四枚(四千円)もする薬の効果は絶大であるが、成功する確率は『一パーセント程』であるため、あまりいい商売にはならない。

 しかし、平和なこの世界にも心のやみ膨張ぼうちょうさせたせいで、このようなものに手を出す人々がいるため、やめるわけにはいかない。

 なにせ、その薬を提供してくれるのは【長老会】のメンバーの一人なのだから。

(長老会とは『十六人の大魔法使い』で構成された、この世界の大黒柱とも言われる組織である)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ