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〇〇の本性? その5

 やれやれ、三人目はシオリか。(獣人型モンスターチルドレン製造番号(ナンバー) 三、モデル【ネコ】のシオリ)

 まあ、順番的にはそうだろうな。俺は、シオリをその状態のまま、お茶の間に移動させると、向かい合って座った。


「ナオ兄」


「なんだ? シオリ」


「私と……したくないの?」


「えっ? 何をだ?」


「わ、私と……セ、セ○クスしたくないの?」


 え、ええー! いきなり何言ってんだよ! シオリ! そ、そりゃ、みんなかわいいから、したくないって言ったらうそになるけど……って、本気になってんじゃねえよ! 俺! 相手は幼女だぞ! 手を出したら、終わりだ! お、落ち着け、落ち着くんだ、俺。ここはそれなりの対応を……。

 俺がそんなことを考えていると、シオリがこちらにい寄ってきて。


「ナオ兄……私とじゃ……イヤ?」


 うるんだひとみがいいタイミングで月明かりに照らされて、より一層いっそうかがやいている。

 その時、シオリの両手が俺の右手をゆっくりとにぎった。


「い、いや、別にいやとかじゃなくてだな」


「じゃあ……しよう」


「いや、それは、ちょっと」


「ナオ兄、私の目を見て」


「え? あっ、はい」


 シオリは俺の顔を両手で固定すると、自分の顔をこちらに近づけてきた。

 シオリは俺に近づくにつれて両目を静かに閉じ始め、少しじらいながらも口をほんの少しとがらせた。

 あと数センチ。あと数センチで、シオリのくちびるが俺のくちびるれそうになった時、俺は片手でシオリの顔を止めた。

 シオリは少し涙目になりながらも、こちらを見て、こう言った。


「どうして? ねえ、ナオ兄。どうして私の気持ちを受け止めてくれないの? ねえ、ナオ兄……どうして……?」


「……シオリ。それはな」


「……?」


 俺はシオリを抱きしめてから、こう言った。


「お前のことが大好きだからだよ」


「ナ、ナオ兄! いきなりは、ずるい……」


「すまない。でも、今の俺にはこんなことしかできないんだ。許してくれ」


「じゃあ、せめて理由を言って。じゃないと私、あきらめようにもあきらめ切れないよ」


「理由……か。じゃあ、俺の秘密ひみつを教えるよ。俺が実の母親にかけられたのろい以外の秘密を」


「ナオ兄の秘密?」


「ああ、そうだ。これは、俺しか知らない俺の秘密だから、誰にも言うなよ?」


「うん、分かった。誰にも言わない」


「よし、それじゃあ、言うぞ」


「うん」


 俺はシオリを抱きしめるのをやめて。


「……実は俺……誕生したその瞬間から呪われてるんだ」


「へえー、それはどんな呪いなの?」


「えっ? いや、それは……」


「ナオ兄が私を別の話題に集中させようとしているのは、おみとおし」


「……やっぱ、バレたか」


「ナオ兄のうそはすぐに分かる。ナオ兄の嘘はそういう嘘だから」


「そっか、やっぱりそうだよな。すまん、シオリ。本当のことを言うから許してくれ」


「うん、わかった」


「……コホン。では、改めて……実は俺……極度のマザコ……」


「嘘だ!」


「ひ、ひ○らしかな?」


「ナオ兄、仏の顔も三度まで……だよ?」


「わ、分かったよ、今度こそは言うよ」


「約束……だからね?」


「お、おう」


「じゃあ、本当のことを言って」


「いや、でも」


「言いなさい」


「はい、分かりました」


「よろしい」


 ついに本当のことを言うことになるとはな。でもまあ、仕方ない。

 シオリを本気でおこらせてしまったら、あとこわいからな。


「……実は俺……本当はロリコ……」


「ねえ、ナオ兄。どうしても、私としたくないの?」


「……別にそういうわけじゃないよ。シオリは時々、何を考えているのか分からないけど、無意識にネコ耳をヒコヒコ動かしてたり、寝る時間になった時にウトウトしているのは見ると、本当に可愛いと思う。いつもジト目だから顔の表情から気持ちを判断するのは難しいけど、お前のその表情はとても落ち着く。それから」


「もういい」


「いや、でも」


「ほ、本人の前で、そういうことを言うのは反則だよ、ナオ兄」


「シオリ、顔が赤いぞ? 大丈夫か?」


「大丈夫、私は平気。はぁ……どうしてかな。私、まだナオ兄は私たちの中の誰ともそういう関係になりたくないのを知ってた。けど、今日はそれを知った上で私の気持ちを正直に言ってみたいと思ったの……」


「そ、そうか。というか、なんか俺、お前たちを苦しめてるよな」


「ナオ兄にその自覚がなかったら、ナオ兄は今頃、私にられてた」


「お、おいおい、そんなこわいこと言うなよ」


「えっ? 今の冗談だよ」


「冗談なのかよ……」


「うん、そうだよ。えっと、まあ、今回はこれで我慢がまんしてあげる」


「え? ちょ、シオリ。お前、いったい何を……!」


 シオリはいきなり俺の首筋にみ付いて、血を吸い始めた。

 ミノリ(吸血鬼)のように甘噛あまがみして、小さな口でチュウチュウと音を立てながら。

 数秒後、シオリはゆっくりと俺からはなれた。


「今回は、これくらいにしてあげる。でも来月は……もっと吸うからね?」


「それくらいなら、お安い御用だ。けど、吸い過ぎるなよ? 俺との約束だ」


「うん、約束」


 それから、俺たちは【ゆびきり】をした。シオリが言うには、嘘ついたら【ネコパンチ百回】をするらしい。それはそれで、おそろしい。

 だって、シオリの固有魔法は『重力制御グラビティコントロール』なのだから。

 俺がシオリを寝室まで【お姫様抱っこ】で運んでいる時に気づいたが、シオリの目はミノリ(吸血鬼)やマナミ(茶髪ショートの獣人ネコ)のようにひとみの色が変わっていなかった。

 俺はつい気になって、シオリにそのことをいてみた。


「私の願いはナオ兄に【おんぶ】してほしいっていう願いだったから、目の色はその時から戻ってるよ」


「えっ? そうなのか?」


「うん、そうだよ」


「じゃあ、ミノリとマナミの目の色は」


「今頃、元に戻ってると思うよ」


「そうか。でも、仮に戻ってなかったら、俺はどうすればいいんだ?」


「うーん、ほっぺにチューでもしてみたらいいかもしれないね」


「ははは、適当なこと言うなよ」


「ごめんなさい」


「いや、別におこってないぞ?」


「そうなの?」


「ああ、そうだとも」


「そっか。それじゃあ、おやすみ、ナオ兄」


「ああ、おやすみ、シオ……」


「……チュ」


「ふあっ!?」


「おやすみー」


 シオリは俺のほほにキスをすると、さっさと寝室に戻っていった。

 俺はシオリにキスされたところを手でさわりながら、こう言った。


「くそ……やられた……」


「はぁ……ほんとに、ご主人は無防備だね」


「そ、そんなことはないぞ! ……って、今の見てたのか? ミサキ」


「まったく、僕がいることに気づいていたのに、あんなことするなんて。いい性格してるよ、本当に。ねえ、ご主人。ご主人は幼女にしかかないフェロモンでも出してるの?」


「出してねえよ、それにあれはシオリが自分からしてきて……」


「はいはい、それは分かってるから次に行くよ。もう一時間もってしまったからね」


「もうそんなにったのか、早いな。なあ、ミサキ。もし、朝の三時までに全員の『心の暴走』をなんとかできなかったら、どうなるんだ?」


「知りたい?」


「ああ、教えてくれ」


「教えて! ミサキ先生! でしょ?」


「わ、分かった。教えて! ミサキ先生!」


「よくできました。はなまる! とまあ、前置きはこのくらいにして」


「前置きかよ」


「うん」


「そうか。じゃあ、手短に頼むぞ」


「はーい。えーっとね、時間切れになるとね、モンスターチルドレンはね……死んでしまうんだよ」


「……よし、分かった。なるべく早くまそう」


「おっ! やる気になったみたいだね、ご主人」


「この命がある限り、俺はみんなを死なせやしない。絶対にな」


「ヒュー! ヒュー! かっこいいよ! ご主人!」


「そうか? 俺は別に……って、次は順番的に『ツキネ』の番か」


「うん、そうだよ」


「そうか。じゃあ、行くぞ。ミサキ」


「うん!」


 こうして、俺とミサキ(巨大な亀型モンスターの本体)はツキネ(変身型スライム)の方へ向かい始めたのであった。

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